本と旅とそれから なりたい/畠中恵

本と旅とそれから

なりたい/畠中恵

しゃばけシリーズ第14弾…らしい。
もはや、シリーズ何冊目だとか、内容がどうだとか、あんまり関係ないような気が。
ただひたすら、このほんわりした長崎屋の離れの、若旦那の居間の陽だまりの癒しが心地よくてページをめくっているように思います。
なりたい

なりたい/畠中恵(新潮社)

○○になりたい、を共通テーマに、5つのお話が収められた中編集。若だんなはますます虚弱さにみがきがかかり、仁吉の作る薬湯を主食に、分厚いふとんにつぶされそうになりながら、ほとんど離れから外に出ることなく、常連の妖たちに指令を飛ばして、謎を解き、もめごとを治めていきます。
ふつうの人の目にはほとんどの妖が見えないわけですから、まるで若だんなが超能力者のように映るでしょうねえ。


それにしても、今回感想文を書いた3冊の本は、偶然にもすべてファンタジー。
「鹿の王」は異世界ファンタジーだけれど、あとの2作は、ふつうの人たちの周りに、ふつうの人たちの目には見えない妖精的な存在が常にいる、というお話。そしてその妖精的な存在たちは、人間と平和的な、友好的な共存をしていきたいと願っているのです。

そんな存在が本当にあるならどんなに楽しいことだろう、という願望が根底にあって生まれた物語ですね。人間は、自分たちと同じ知的レベルにある(と思われる)生き物が他にいないので、ある意味孤独なのかしら。しかも、人間は時にいがみ合い、社会の冷たさに心が寒くなることもある。そんなとき、人間じゃないけれど、気持が通じて、異種であるからこその知恵に満ちたアドバイスをくれることのできる存在がいたら、どんなに気持ちが安らぐだろう。

そんな気持ちが生み出す、コロボックルや妖たちなのでしょう。

そして、この妖の存在するしゃばけの世界では、輪廻転生がしっかりシステムとして確立されています。人間、生まれたらいつかは必ず死ぬ。でもそこで終わりではなくて、死んだものはいつか必ず別の命に生まれ変わる。それを繰り返す。なので、不治の病に侵されたとある町人も、何度か生まれ変わればまた会えるだろう、と、旅行の計画についてでも語るような口調で語り合う若だんなや妖たちといるうちに、病で死ぬことももう怖くはない、という気持ちになれる。

ここにも、作者である畠中さんの願望が表れているのかな、と思います。
そうした気持への共感が、このシリーズの人気の理由のひとつかもしれません。


webcitron01.gif


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tag: 畠中恵 しゃばけシリーズ 
  1. 2016/04/25(月) 22:00:02|
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コメント

妖と若だんなの活躍が楽しみで読み続けています。
今回もおもしろかったです。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
  1. 2017/01/10(火) 11:07:45 |
  2. URL |
  3. 藍色 #-
  4. [ 編集 ]

藍色さん

妖といえば、最近お獅子が出て来ませんねえ。
毎度毎度、のんびりほんわかとしていて、和めます^^。
TBありがとうございました。
私も送らせて頂きました。
  1. 2017/01/10(火) 21:29:31 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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