本と旅とそれから みずうみ/川端康成

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みずうみ/川端康成

昨年後半から続く川端作品との・・・なに?・・・葛藤・・・?
その美しさとか透明感といった漠然としたものは何となく感じられるものの、表面的ないかにも浅いところより奥に入っていけずにいます・・・。



みずうみ/川端康成(新潮文庫)

(余談ながら、この新潮文庫版の表紙は平山郁夫さんなのですねぇ。やはりモチーフは北山杉のように見えます。)

たこさんが、学生時代に「川端作品の中で好き」とおっしゃっていたという、でも、変わった作品でもあるという、はてどんな物語やら、と読み始めてみたところ――。

おや・・・ストーカーのハナシ・・・?
って、これまた文芸評論家氏に「川端作品への冒涜」とか叱られてしまいましょうか。

巻末解説(中村真一郎氏)にちらりと触れられていたところでは、「みずうみ」を読んだ三島由紀夫は「不快な読後感」を持ったのだとか。

いや、だって――ストーカーなんだもの、この主人公。
心惹かれる女性を見かけると、条件反射的に後をつけたり、散歩コースで待ち伏せしたり。
その異常な行動の裏の心理・・・というか、心象風景(妄想とも呼べる・・・)が描き出されております。
うーん、関口巽クンなら彼に親近感を覚えるんじゃ・・・。

しかしですね、「雪国」(これまで読んだ数冊の川端作品の中で、No.1代表作のこれが一番わからない・・・)を読んでホワイトアウトした頭にも、この「みずうみ」は、一応それなりの像を結ぶのです。

主人公には身体的なコンプレックスがあり――といっても、足の指の形が醜いという程度のものなのですが――、それが、彼の様々な屈折の引き金となっているかのように、あるいはそれを象徴しているかのように描かれています。水虫、なんていう、美しさの対極にあるようなものについても、ちょっとしつこいほどの記述がなさたり。

そして、表題である「みずうみ」。
これは、主人公幼少期の思い出の場所であると同時に、ことあるごとに彼の脳裏に浮かぶ、暗く、底深い存在・・・う、この辺は、もっとしっかり読みこまないと、納得のいく言葉に表せません。

屈折したストーカーの心理なら想像つきます――なんて、いろんな意味で「いやいや、そんな気分になるだけで、わかってるわけじゃないよ」なのだと思います。でも、異常な人物ではあるでしょうが、「みずうみ」の主人公のような人の話題を、私たちは毎日のように耳にしている、ということはありますよね?
なんだか、馴染みがあるんですよ・・・。

とはいえ、これまでの川端作品すべてがそうなのでしょうが、描かれている事柄――「みずうみ」では、あるストーカーの行動や心理――というのは表面的なものであり、それがさらに示すもの、象徴するもの、というところまで到達しないと、本当の意味で「みずうみ」を読んだ、とは言えないんでしょうね。

それでも、「わから~んっ!」と髪をかきむしらずに読めたし、もしかしてこれまで読んだ川端作品で一番いいとこまでいけた一冊かも。
・・・それがストーカーの話ってのが寂しい気もしますが^^;。


webcitron01.gif


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  1. 2010/01/16(土) 10:00:00|
  2. 2010
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コメント

こんにちは!
あの後さっそく再読したものの、どう感想を書いてよいのやら…
すっかりコメントが遅くなってしまい、ごめんなさい。。。

そう。。。ストーカーの話なんですよ。
しかも、先生で教え子にも手を出しちゃってるという、反社会的な主人公。
20年前に読んだ本、今回はどう感じるんだろうかと、正直なところ不安でした。
でも、、、やっぱり、この話の持つイメージにハマってしまいました。
心の奥のみずうみにいつまでもイジイジとこだわるところとか、その為なのか美しいと思うものに付きまとっては自分をダメにしていくところとか、、、
この話が生きているみずうみで、自分が取り込まれるような気がしてしまうんですよね。。。(なんだそりゃ;;)

それにしても、三島由紀夫は、なにが気に食わなかったのでしょうか。
う~む、そこまで読切れない~。
たいして成長してなかった自分の読書力(?)に、がっかりです。
ちゃんと向き合おうとすると、高い壁が~!!

あ、あと! たこは、変態でもないし、付きまといの経験もありませんよ!
気に入ってるのは、ソコじゃないですから! たぶん…
  1. 2010/01/29(金) 18:00:00 |
  2. URL |
  3. たこ #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To たこさん、
わざわざ本を読み直して下さったのですね。
こんなお気楽ブログのへろへろ読書感想文のために、ありがとうございます(T_T)。
お手数おかけしまして~<(_ _)>。

三島って川端の熱烈なファンだったんですね。
・・・というか、むしろ師弟関係にあったというべきか。
川端のノーベル賞の推薦文を三島が書いていたり。
私もその後、「沈める滝」読みました(感想文UPまだなんですが)。
今は、川端と三島の往復書簡集を読んでます。
最初の方はほとんど三島から川端へのヒジョーに高尚なファンレターのようです。

そんな三島にしてみたら、「みずうみ」に描かれる主人公の暗さ(←もっとぴったりする言葉がないか考えたんですが、見つけられず・・・)が、川端作品として認めがたかったのかなぁ・・・。
て、川端も三島もまだほんのちょっとしか読んでないし読んでもわかってないんで、謎なんですけど~^^;

むつかしーですよね。やっぱり、「文学作品」て。

>気に入ってるのはソコじゃない

のはは、了解です^0^
  1. 2010/01/29(金) 22:47:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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