本と旅とそれから モルフェウスの領域/海堂尊

本と旅とそれから

モルフェウスの領域/海堂尊

海堂さんの作品というと、そのジャンルはメディカル・ミステリー・・・とでもいうのでしょうか。
でも、本書はすでにSFですね。
コールドスリープといえば、「夏への扉」と同じテーマだし。
「モルフェウスの領域」

モルフェウスの領域/海堂尊(角川書店)

時間的にも、物語はわずかながら未来の時点までカバーしていて、その先まで続いていく動きを見せつつ終わります。
そして、物語の準主役となるのが、「ナイチンゲールの沈黙」、「医学のたまご」にほとんど別人のようになって登場していた佐々木アツシくん。
その変貌の謎が解き明かされるのが本書――単に大人になったってだけではなかったんですね、彼。

にしてもやっぱり、海堂さんは手元に大きな表みたいなものを作っておられるのに違いない!
ヨコ軸が1980年代から2020年ぐらいまでの年月軸で、タテ軸は・・・物語の舞台かしら。表の中ではそれが全部つながっているんだけど、海堂さんは自分の執筆計画に合わせてその表の部分部分を切り取って物語を展開しておられるんだと思うのです。

本書の主人公・涼子が幼い頃にアフリカで出遭った医務官というのも、あの人じゃないかしら、ホラ、「ブラックペアン」に出てきた、腕はいいけど飲んだくれだったドクター。
・・・あー、ホントまずい。細部や固有名詞がどんどん消え薄れてゆく。

ただ、海堂作品の中では、今回の1冊はさほど・・・という感があります。
海堂さんは、ほとんどすべての作品の中で日本の医療行政を辛辣に批判しておられるんだけど、あまりそれが目立つ作品は興ざめに思えてくるのです。
そのほか、「ジーン・ワルツ」のような、しみじみ真面目な主題なものもあまり好きとはいえないかしら。
海堂さんご本人の意図とは違うと思うけど、エンターテイメント性の強いミステリーがやはり私は好き。
その点、私はもしかすると海堂ファンの中では少数派かも知れません。

コールドスリープのような架空の物に関しても、日本の官僚はその対応を批判されてしまうのですねぇ。

そういえば、巻末の著者紹介を見たら、つい最近まで「勤務医」となっていたと思う海堂さんの「本業」、今はドクター・田口の肩書きかと思うような○○センター・△△室長というものに変わっていました。
そろそろ、著述業の方が本業になったのかしら――余計なお世話ですけど。


webcitron01.gif


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  1. 2011/02/05(土) 22:30:01|
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海堂尊「モルフェウスの領域」

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コメント

読みましたよ

たしかに今回名前が文中には出てこなかったですが
渡海医師ですね。アフリカに来た運命は名前にある
という台詞もありましたね。私は淡々と物語が進行して、
最後はそう来るか・・・という印象でした。
  1. 2011/02/26(土) 20:48:47 |
  2. URL |
  3. bullet #aRQmiz5I
  4. [ 編集 ]

bulletさん、

そうでした、渡海っていう名前でしたね。
カンペキに近く忘れておりましたがっ^^;。
物語が5年進んだら、また涼子さんは出てきそうですね。
睡眠学習して、スーパーウーマンになってるんでしょうか。

「螺鈿迷宮」をまた借りてきました。
先へ進む前に、ちょっこし復習しておきます。
  1. 2011/02/26(土) 22:46:15 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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