本と旅とそれから 天地明察/冲方丁

本と旅とそれから

天地明察/冲方丁

すばらしいすばらしいすばらしーーぃ(T_T)!

久しぶりに本を読んで泣きました。
ここしばらく、ワタシにしては珍しいことに忙しくしており(例によって記事は予約投稿です)、そうなる前にと大慌てで読み終えなければならなかったのがちょっと心残り。
文庫版が出たら、是非買ってまた読みたいと思います。

つらいこと悲しいことに遭遇した時、読み返したら何がしかの力をもらえそうな本でした。
天地明察

天地明察/冲方丁(角川書店)

昨年の本屋大賞受賞作ですが、私は少々出遅れて8月末に図書館に予約を入れたところ、年が明けてようやく回ってきました。
しっかしホントに・・・多くの人が読みたいと思い、読んで感動するだけの1冊だと思います!

先日やはりとても感動した「火天の城(►感想コチラ)」との共通点は・・・ひとつのことに全身全霊を傾ける人の姿、でしょうか。

なにしろ、作家さんの名前からして漢字が読めなかった^^;――「うぶかた・とう」さん、です。
多才な作家さんのようですが、時代小説はこれが初めての作品なのだとか。すごいというか・・・やれやれ。

徳川四代将軍の時代、囲碁をもって将軍家に仕える家の当主に生まれた主人公・渋川春海が、その算術の才を開花させて、日本の改暦(こよみを改める、です)を果たすまでの一大ドラマです。

冒頭、若い春海はふとしたことからひとりの算術の天才の存在を知り、その彼の前に自分の非才を思い知って打ちのめされます。凡人がどれだけ努力しても到達できない高みに、天才はポンと至ってしまう――なんか、「秀吉と利休」にもあったような話です――それを見せつけられた時、凡人は何とも言えない無力感に襲われるのですが、この春海の素晴らしいところは、それでもなお、凡人なりのペースとやり方で志した道を歩むことをやめなかったこと。

そして物語の最後まで読んでみれば、天才というのはひとつの型しかないものではなく、凡人のように見えてやはり春海もまた天才だったのだな、と思うんですけどね。

才能っていうのは努力する能力のことだ、と、あらためて思いました。
そして、「好きこそものの上手なれ」という言葉の大いなる真実。好きで好きで、何があってもやめる気になれないようなことがあれば、あなたはその道に才能がある、てことなんですね。

でも、私が何より共感をおぼえたのは、それほどに大好きだった道、つまり暦の研究ですが、それですら、大きな挫折を経験した直後は、見るのも嫌になってしまう主人公の姿でした。
自分自身に失望し、そして自分を支援してくれた多くの人々の期待を裏切ってしまったという罪悪感にさいなまれる・・・人間、上手くいっている時はどうにでもなるけれど、問題は失敗した時ですよね。

最愛の妻や、得難い理解者、頼りにしていた恩師、友人・・・そういった人たちとの死別もあります。
この春海という人は、人間関係については算術以上に才能があったんじゃないかと思うほど多くの素晴らしい人々に巡り合い絆をきずいていくのですが、それは裏返せば、そうした人々を失う悲しみにも次々見舞われるということ。喪失感に打ちのめされ、表向きの本職である囲碁でも大失敗をしてしまうといったつらい月日をおくった時期もありますが、やがてそれをも乗り越えていく。

一心不乱に打ち込むタイプなだけに、落ち込むときも半端ではありません。
いつこの地獄から上がって行けるのか予想もつかず・・・幽霊のようにフラフラと、惰性なのか無意識の義務感なのか、それでも歩き続けるうちに、彼はいつも、気づけば光の中に戻ってきているのでした。

自慢じゃないけど、算数がとてつもなくデキない私には、理数系の人が覚えるであろうような共感や感動はないのですが・・・。でもきっと、どんな道でもかまわないんでしょうね。
ここまで打ち込める道を見出した主人公が羨ましい。それは結果的には、それだけの才能を持った主人公が羨ましいと言っているに等しいのかと思います。

天体観測、計算、考察、その他もろもろ。
今の世ならば、数々のハイテク機器、何よりコンピュータを駆使して、短い時間でできてしまうかも知れないこと、そのすべてを手作業で行った江戸時代の人々。その根気、不屈の闘志。
到底それは、どれだけ熱意があろうとも、ひとりの人間にできる仕事ではない。それと同時に、どれだけの数の人間を動員しようとも、燃えるような熱意なくして成し遂げられる仕事でもない。
渋川春海という熱意のカタマリのような人間を中心に集まった、多くの才能と無私の志。その群像がまたあまりにまぶしくて、涙が出ます。

そして見事一大事業を成し遂げた主人公が振り返ると、そこにはまっすぐな目で自分を見上げる若い後輩がいる。その姿に、かつてこの道を志した当初の自分の姿を重ね合わせる。
・・・なんか、「バンビ(ディズニー映画の)」か何かにこんな感じのラストがなかったかしら?
泣いている小鹿に「強くなれ」と声をかける主人公が、やはり小鹿だった自分に同じような声をかけてくれた森の王の堂々たる姿を思い出す、それがまさしく今の自分の姿だった、みたいな。「シートン動物記」だったかも知れない・・・。

なんだか、読んでいる間は、後で感想文にあんなことを書こうこんなことも書こうと思っていたんですが、今はあんまり大した言葉が浮かびません(まあ、私の感想文っていっつもそーです^^;)。
とにかく・・・素晴らしい1冊でした。


webcitron01.gif


My Favorite Books(お気に入りの本のブクログ)
BOOKS INDEX(作家別感想文一覧)


関連記事
tag: 冲方丁 
  1. 2011/02/15(火) 22:30:01|
  2. 2011
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

トラックバック

トラックバック URL
http://lazymiki.blog110.fc2.com/tb.php/1238-64f90463
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメント

そんにすばらしいいのですか?

そうと聞いて図書館から借りてきました。
まだ読んでいないので、この記事はまだ目を
通していません。
  1. 2011/02/26(土) 19:44:30 |
  2. URL |
  3. bullet #aRQmiz5I
  4. [ 編集 ]

bulletさん、

本を読んでの感想は人それぞれですが・・・。
bulletさんもお好きなのではないかなぁ、たぶん。
お読みになったら、感想をお聞かせ頂けたら嬉しいです。
  1. 2011/02/26(土) 22:39:52 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する