本と旅とそれから 「英国王のスピーチ」

本と旅とそれから

「英国王のスピーチ」

The King's Speech 01


先日のアカデミー賞で、「インセプション」ほかをおさえて作品賞の栄誉に輝いた映画。
私は「インセプション」が大変よいと思っていたので(►感想はコチラ)、それをおさえて受賞するとは、どれほどの名作かしらと、むしろ少々懐疑的だったのですが・・・。

大変よい映画だったと思います。
いかにも英国モノらしいといいますか、語り口は地味なんだけど、じわじわと感動が迫ってきます。
現英国女王エリザベスⅡ世の父君ジョージ6世の物語。
次男坊だったバーティ(愛称。後のジョージ6世)は、ヨーク公時代から吃音のあがり症。マイクの前に立つと口から言葉が出て来ず、書かれたスピーチを読み上げることがまったくままならない。
それでもまあ、国王の座を継ぐのは兄だし、公爵でいる分には何とかなるかと思っていたところが、兄・エドワード8世は離婚歴のあるシンプソン夫人ウォリスと結婚するために突然退位、バーティはまったく望んでもいなかった国王の座に就かねばならなくなった。
そして時代は第二次世界大戦へと突入し、英国はナチスドイツとの開戦を迎える。国民にこの大いなる苦難を乗り越えようと呼びかけるべく、世紀のスピーチに挑むジョージ6世は果たして・・・といったところ。


The King's Speech 02


Wikiでジョージ6世の生涯など読んでみますと、何不自由ないはずの王侯貴族の人生にも、数多くの苦悩があったのだなー、としみじみさせられます。
特に吃音に関しては、気の毒になってしまいます。あれって、身体的というより精神的な要因によるもののようですが、極端に厳格な躾というのは、子どもを不幸にするのですねぇ。

その彼を支えたのが、私などはエリザベス皇太后として、ぽっちゃりしていつもニコニコしてたおばあちゃん、みたいな印象しかない王妃エリザベス。


The King's Speech 03


演じるのはヘレナ・ボナム・カーターさん――といえば、ハリポタのクレージーな魔女役しかこれまで頭に浮かびませんでしたが、とーってもいい感じでした。いかにも上流階級の生まれって感じのちょっと浮世離れした雰囲気を漂わせつつ、夫をがっちり支えるしっかり者の妻、愛情深い母という人物像。
私の記憶の中のエリザベス皇太后(たまにTVで見るだけでしたけど)が、きっと若い頃はあんな女性だっただろうなと思いました。

映画のメイン・ストーリーは、ジョージ6世と、彼の吃音矯正を助ける医師(正確には違うらしいですが)ライオネルの涙ぐましい努力と葛藤と友情の年月。
このライオネルというのがオーストラリア人なのだそうで、これまたいかにもオージーらしい(ってあたしゃよく知りませんけどっ)、おおらかで楽天的で、人なつこいキャラクター。

相手を王族と知りつつ、初対面から愛称で呼ぼうとするライオネルと、庶民ではない自分を意識せずにはいられないバーティ(つまり後のジョージ6世)。
この二人が、時に力を合わせ、時に衝突しつつ、個人&国家の直面する苦難に立ち向かうわけですが・・・。
最後のスピーチの場面は、物語の中でバーティを取り巻く人々と同様、映画を見る誰もが「バーティ、頑張れ!」とこぶしを握ってしまうことでしょう。

エドワード8世とシンプソン夫人のロマンスというのは、「王座をなげうって愛を選んだ」といって美化され賛美されることも多いお話かと思いますが、今回はジョージ6世夫妻の視点から見てますので、思いっきり批判的。
エドワード8世夫妻は、身勝手、無責任な人間として辛辣な描かれ方をしております。まあ、平和な時ならさほどのこともないのでしょうが、ヒトラーが台頭していた激動の頃でしたからねー。

・・・まあ、「インセプション」がアカデミー獲られたのも、しょうがないかしら。

►「英国王のスピーチ」公式HPはコチラ(音声あり)。
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  1. 2011/03/31(木) 22:30:01|
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