本と旅とそれから 西行桜/辻井喬

本と旅とそれから

西行桜/辻井喬

この季節は、書名に「桜」という文字を見ると、ついつい手が伸びてしまいます。
ましてや「西行桜」――図書館の返却本の棚にあった本を、即つかんで借りてきました。
岩波書店の本を読むのは久しぶりじゃないかしらね~・・・。ところで、辻井喬さんってどんな人なんでしょ。
「西行桜」


西行桜/辻井喬(岩波書店)

と思ってちょっと検索したら、あ、セゾングループトップだった堤清二氏のペンネームだったのですね。
私、この方のことは「詩人」だとばかり思ってましたが(うちの母がいつも「詩人の方のセゾンの、本妻さんの息子のお兄さんの方の」とか言ってるもので)、小説も書く方だったんですね。

それにしても、ついでにこの方の父上の、西武グループ創業者・康次郎氏に関するWikiの記述を読むと・・・いやはや、昔のいわゆる大立者って、すさまじいですね^^;。
妻妾の数は知れず、子どもの数は、認知されているだけでも12人、その他一説には100人以上、ですって。

岩波書店刊の本書には、どこを見ても著者略歴的な記述がありません。大抵の本にはどこかに書いてあると思うのですが――たぶん意図的に本名を記載してないんでしょうね。理由はわかりませんが。
ただ、書かれていないので検索してみる気になるし、そうすると、堤清二氏本人だけでなく、堤ファミリーの「華麗なる一族ぶり」まで出てくるので、読んでびっくり、となるんですけどね。

著者プロフィールはさておき、小説そのものについて。
本書は中編4作から構成されていて、それぞれの題名は「竹生島」、「野宮」、「通盛」、「西行桜」。
表紙の写真からも知れることですが、能楽の作品名です。
・・・情けない話ですが、ワタクシ、これまでお能の舞台を見たことはたったの1回しかございません(^^ゞ。
しかも大昔で、何も覚えてませんし。最近は、某検定の受験勉強の一環でちょこーっとずつ読んだりしてますが、舞台を見たことがないのに知識だけ読んでも、ほとんど身にならないのですよねー・・・。

「西行桜」に関しては、それこそ一部ブロガーさんの西行桜に関する記事に添えられた文章などで、聞いたことだけはありました。
辻井氏ご自身による「あとがき」によれば、それぞれの能楽作品が小説の基本構成に関連してはいるらしいのですが、小説はどれも戦後の話ですし、能楽作品を知らなくても、まったく問題はない・・・んじゃないでしょうか。

4編のうち、最後で表題作の「西行桜」が、一番よかったと思います。
老境に入ったもと伯爵の、時代に取り残されたような姿を娘の目を通して描いています。
正直なところ、「いやー、ここまで時代遅れの価値観を持った人は、扱いに困るだろうな!」と思わずにはいられませんでした。暗くなってきたからと、「無断で」雨戸を閉めたら激怒したとかいうんですから・・・。

この「西行桜」に描かれている人間像については、それなりに私も感想を持つというか、共感にしろ反発にしろ自分の中にリアクションがあったのですが、他3編については、読むには読んだものの、さらーっと終わってしまって、「別に何という感想もなくて・・・」って感じでした。
不遜なことを言ってしまうと、もしかしたら本業の物書きさんの作品ではないのかと思ったのですよ、最初。
学者とか、何か別分野を本業とする人が書いたものなのかも、と思って作者を検索してみたのです。
ある意味、堤清二である辻井喬氏は、そういった属性の人と言えなくはないと思うのですが。

一番の感想はといえば――もうちょっと能楽のことをわかりたい、というところでしょうか^^;。


webcitron01.gif


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