本と旅とそれから 日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか/竹田恒泰

本と旅とそれから

日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか/竹田恒泰

ちょっと前のことになりますが、朝日新聞だったか、サウジアラビアでは日本の人気が大変高い、という内容の記事が出ていました。サウジのあるTVのバラエティ番組で、東京のどこかの公園にお金の入った財布を置いておき、それを見つけた人がどうするかを隠し撮りしたところ、子連れの若い夫婦がやって来て拾い、当然のごとくそのまま近くの交番に届けたのだそうです。
視聴者からは「ヤラセじゃないのか?」との問い合わせが殺到したとか(サウジで同じことをしたところ、見つけた人はお金を抜き取って財布は捨てたそうです)。
そんなTV番組等の影響もあり、サウジでは目下、日本が大変人気の国なのだとか。
「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」

日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか/竹田恒泰
(PHP新書)


その他、大震災直後の海外での日本関連報道では、日本が様々に褒められたという話をここのところちらほら見たり聞いたりしていたので、そうしたことをまとめて、ちょっと学問的な視点から考察してある本なのじゃないかしら、と借りてみたのが本書。
・・・まあ、ヒト様が自分を褒めてくれるのを聞いてホクホク喜びたい、みたいな心理があったわけですね、簡単に言うと^0^;。

で、結論から言いますと、ひっじょーに、不愉快な本でした。

あまりに不愉快だったため、感想文を書く前にAmazonのレビューを見てみたところ、賛否がかなりはっきりと分かれ、でも、絶賛に近いレビューの方が多数であるとわかりました。
多くの日本人が、褒めてもらいたい、それによって自信を取り戻させて欲しい、と思ってるんでしょうか。

内容は、最初の方はいわゆる「クール・ジャパン」についてで、日本のアニメや漫画作品への興味から日本語を学ぶ外国の若者が増えている、といった、昨今よく耳にする話について語られています。
それから、ミシュラン・ガイドで日本のレストランが非常に高い評価を受け、星の総数で言ったら東京はパリをしのぐという話、続いて、2005年にノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリー・マータイ氏が紹介して世界に知られるようになった「もったいない」という日本語やその精神などについて述べられています。

その辺りまではまあよかったわけですが。

後半に入ると、話はなぜか日本の歴史、それも、天皇(「すめらぎ」と読まねばならぬようで)を中心とした日本史、日本の歴史は天皇の歴史、日本は世界で唯一2000年にわたりひとつの王朝が続いてきた素晴らしき国であり、今後も天皇が続いていく限り、他の何が失われようとも日本は安泰だ、と続いていきます。

ここらにきて、ようやくワタシは、「ところで、この著者って誰だったっけ?」と、著者名及びそのプロフィールを確認して(新書なので、つい、きっとどっかの研究者が書いていて、名前聞いても知らないに決まってると、ロクに著者名を見てもいなかったのでした)、「あ、なーんだ、あのヒトかぃ」と、ちょっと気が抜けたのでした。

著者・竹田恒泰氏は、旧竹田宮家の人で、明治天皇の玄孫(曾孫の子、ですね)に当たる人。
私には、数年前に現皇室に男子の跡継ぎがないため、愛子さまを女帝とすることを認めるべきかという論争があった時、まっ先に反対を唱えた人物、という記憶がはっきりしているのですが。

そんなことを聞くと、戦前の御仁かと思いそうですが、1975年生まれですからねぇ。
職業は「作家」とあり、皇室がらみの著書が数冊あるそうです。

ご出自からして、天皇家を擁護したり賞賛したりするのはまあ、そゆものかなと思わないではありませんが、それを客観的、学術的な考察であるかのごとく書いてあるのが、私には非常に違和感を覚えさせました。
結局は自己陶酔に近いものにすぎないように思えます。

天孫降臨、を文字通りそのまま信じている人なんて、そうはいないと思いますよー^^;。
日本は様々な美しきことをそなえた国だと数々語った後で、結局そのすべては天皇が存在したお蔭であるというところに収れんしていくのでした。やれやれ。

天皇制反対、とか、天皇なんて要らない、という意見を身の回りで聞くこともありますが、私は皇室というのは今後とも存続していって欲しいと思います。
災害その他で苦しむ人々が、天皇陛下のお見舞いを受けるだけで大いに元気を取り戻す、といった状況は事実としてあるわけですし、そうした人工的に作り出すことのできない歴史的な存在意義みたいなものは、やはり貴重だと思います。

でも、この竹田氏のように「真実と事実は違う」と開き直り、進化論より天孫降臨を支持するようなことを真顔で言われると、苦笑せざるをえません。個人的にそう信じるのは自由ですが、「もと皇族」という「肩書き」と共に主張するというのは、どーもね~・・・。

この本、結構人気らしく、図書館でもしばらく待ってようやく回ってきたのです。
「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」という題は、著者ご本人ではなく、放送作家の方につけてもらったものだそうです。
・・・内容と合致してません。本を売るために付けた題名という感じがします。実際、その題名に興味をひかれて読んだ私のような読者も結構いるのではないでしょうか。

竹田氏のような方には、歴史における日本の暗い面についても研究して頂きたいものです。


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  1. 2011/08/04(木) 22:30:01|
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