本と旅とそれから Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎ほか

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Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎ほか

はじめの一歩じゃなくて、はじまりの一歩――おそらく熟考の末決定されたタイトルだとは思うのですが、いまいちよくわからない気もします。
本書は、伊坂さんほか6名の人気作家(だと思います)さんの短編を集めた1冊。
共通のテーマはタイトルの通りで、何かをきっかけに人生の心機一転を経験する人々の物語です。
「Re-born はじまりの一歩」

Re-born はじまりの一歩/伊坂幸太郎ほか
(実業之日本社文庫)


7つの短編の中で、ダントツで印象に残ったのが、中島京子さんの「コワリョーフの鼻」。
私は残念ながらゴーゴリの短編「鼻」を読んだことがないのですが、中島さんのこれを読むと、ゴーゴリの方もすごく読んでみたくなります。
なんかエラく荒唐無稽な話みたいですけど。


冒頭からとにかく鼻の話ばかり。一人称の語り手・主人公(ふつうの、花屋でパートにいそしむ主婦)の頭の中は鼻のことでいっぱいです。
でまた、この主人公の夫なる人物も、あり得ないほど高い教養を持った人物のようですが、この人もまた鼻の話ばっかり繰り出す。
そうした夫婦の話題に上るのがゴーゴリの「鼻」。その主人公がコワリョーフです。
なんかね、そのコワリョーフってロシア人の鼻がなぜかある朝失踪してるらしーんですよ。
で、服なんか着ちゃってね。持ち主(「飼い主」って雰囲気ですが)が探しに行って見つけると、帰りたくないんだか何なんだか、ウソまでつくらしーんです。なんのこっちゃ。

なんでこの主婦は、そしてこの夫婦はこんなに鼻の話ばっかりするんだろう?
なんでこんなに熱心に?
・・・のタネ明かしはすぐにありますけど。当事者には切実かつ深刻でもある問題だけれど、傍から見ていると何だか笑っちゃう――笑っちゃいけないけど笑っちゃう、みたいなお話。

ちなみに、私はこの短編を読んでいる間中、ちょっと前に朝日新聞に掲載された、タリバンに強要された夫の手で鼻をそがれたアフガニスタン人の女性の写真、というのがずっと思い浮かんでいました。
これはもちろん、笑いとはまったく縁のない現実の話で、この女性が美しい人なだけに、すごいインパクトのある写真なのです。

醜くされた造形の顔を隠さずにカメラを見つめる女性の顔は、「美しい」と表現できる力を感じさせました。特にその目。悲しんでいるわけでも、怒っているわけでもない、むしろ微笑をたたえた表情のその人の、恐るべき蛮行の跡をとどめた顔を見ると、ぞっとします。そしてタリバンへの強烈な怒りもわきます。そして、人間はどこまで愚かなことができるのかと、かなりヘコみます。

ま、それはさておき。
この1編が印象的なのは、中島さんが上手に文豪ゴーゴリの力を借りているからだと思えました。

あとは――もともとこの短編集を読む気になったのは伊坂さんの作品が収録されていたからですが、きっと「トリ」として一番最後に入っている伊坂さんの「残り全部バケーション」は・・・ん~・・・そこそこ、のような。

いかにも伊坂さんらしい、ここまで深刻な話をここまで軽い調子で語るか!な文章です。
片や夫の浮気で崩壊したばかりの3人家族。片やヤバい仕事から足を洗って無職になったばかりのチンピラ。この4人が、ふとした偶然からひとつの車に乗ってドライブに出るお話。
これまた、なんのこっちゃ^^;。
しかもチンピラ氏、足を洗ったと思ってたら洗えてなくて、コワイ人たちに連れ去られて終わるし。

もしかすると、伊坂さんもそろそろRe-bornしてくれないかしら。
森見さんの「ペンギン・ハイウェイ」みたく。

その他の短編については・・・まあもともと私が長編好きってこともあるでしょうけど、あんまり印象に残らなかったなぁ。水泳を頑張るおじいちゃんとコーチの大学生の話はちょっとよかったかも。


webcitron01.gif


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tag: 伊坂幸太郎 瀬尾まいこ 中島京子 
  1. 2011/09/11(日) 22:30:01|
  2. 2011
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そうそう!そういえばこの本でわたし中島京子さんを発見したのでした。
鼻の話、面白かったですよね。あとおじいさんに水泳教える話以外は
あんまり記憶に残ってないんですけど…

伊坂さんはいろんなこういう短編集?に短編書いていますが
やっぱり長編のがいいなー、と毎回思うような気がします。
  1. 2011/09/14(水) 23:54:27 |
  2. URL |
  3. yurinippo #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

yuriさん、

ほぉぉぉ~、この鼻話がyuriさんにとって最初の中島京子作品!
何となく不思議。
奇妙な短編ですよね。面白いけど。

短編って、読むのにかかる時間が短いせいもあるんじゃないかと思いますが、ちょっと「いいな」と思う程度の作品だと、なかなか長くは印象が残らないような気がします。
その点、星真一とか志賀直哉とかはやっぱりすごいんですねー。
  1. 2011/09/15(木) 21:16:26 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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