本と旅とそれから さびしい女神、先生の隠しごと/仁木英之

本と旅とそれから

さびしい女神、先生の隠しごと/仁木英之

なぜか待ち人がひとりもおらず、全部まとめて借りることができた、僕僕先生シリーズ既刊5冊。
ふやふやんとした雰囲気のお気楽モードで始まった第1巻、ちょこっとホロ苦さが加わった第2巻、結構辛口できたナ!の第3巻でしたが、第4巻は大変切なく、そして第5巻はどーんと重くなりました。
「さびしい女神」「先生の隠しごと」

さびしい女神、先生の隠しごと/仁木英之(新潮社)

さびしい女神とは、旱(ひでり)の女神・魃。
旱魃、と書いて「かんばつ」でして、女神の名前もズバリ「ばつ」。
この女神さま、神とはいっても大変可哀想なの・・・。

切ないラストです。
愛情とか、責任感とか、達観の結果とか、さまざまな思いのために究極の自己犠牲を選択する話って、どうにも切ないものです。
「銀の三角」とか「スター・レッド」とか「ブレイブ・ストーリー」とか、あと「パイレーツ・オブ・カリビアン」のオーランド・ブルームさんが演じたキャラもそうだったような記憶(すでに怪しい)。

魃は、「ちゃん」をつけて呼びたくなるようなキャラで、それだけに一層可愛そうで、そんな状況を作り出した根源であるところの帝江がヒジョーに憎たらしい。
バカもの。オマエがすべて悪いんじゃ。

にしても、外貌の美醜というのは残酷なものですね。
美しい僕僕先生と醜い魃ちゃんが対峙すると、まさに陽と陰、白と黒という感じで、日陰に生まれたものは、神といえども悲しい運命をたどらなければならないのか、と口惜しい気持ちになります。

せめて魃ちゃんに、心の平安がおとずれますように。うぅ。しくしく。

で、次の「先生の隠しごと」は、読み始めてすぐ篠田節子さんの「弥勒」を思い出しました。
「弥勒」はすごいインパクトのある小説です。
ロケーション的にはブータン、内容はポルポト政権下のカンボジアをモデルにしているらしきとある国を舞台に展開していく物語なんですが、もー、凄まじい。
「弥勒」を読んだあと、勢いでポルポト関連のノンフィクションの本を借りて読む気になったほどです。
それ読んで、さらにずーーんと落ち込みましたけど。

「先生の~」には別にそこまでの凄まじさはありませんが、それでも、これまでののんびりムードとはがらりと変わった深刻な雰囲気漂う展開でした。
――先生、結婚しちゃうし(相手は弁クンじゃないゾ!)。

でも、最後に、ラクスが後の安禄山であるかのように書いてあるんだけど、私の乏しい受験時代の記憶では、安禄山ってものすごいおデブだったんじゃなかったかしら?
(そんなことを覚えても受験には何ら役立たなかったことは言うまでもありません。)
どーでもいいけど。

先生はやっぱり仙人じゃなかった。神さまだったんです(え?これ別にネタバレじゃないですよね?)。
といってもこのシリーズでは、「神」と「仙」の間にあんまり区別がないようなのが不思議です。十二国記などでは、すごく違うんですが。

ともあれ、弁クンは頑張ります。えらいえらい。


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