本と旅とそれから おやすみラフマニノフ/中山七里

本と旅とそれから

おやすみラフマニノフ/中山七里

「さよならドビュッシー」でこのミス大賞を受賞してデビューされた中山さんの、同じ探偵役を配したミステリ第2作目。・・・3作目が出るとしたら、「ごちそうさまガーシュウィン」とかか?のはは。

手に取った時は、シリーズっぽいからまあとりあえずって程度だったのですが、かなり楽しめました。
「おやすみラフマニノフ」

おやすみラフマニノフ/中山七里(宝島社)

この本を途中まで読んだところで関西に旅行に行ったのですが、夕闇迫る京都の某カフェでお茶していたら、本書で重要な小道具(?)となるラフマニノフのピアノ協奏曲2番が流れたのでしばし聞き惚れたのでした。
この曲は、初めてニューヨークを訪れた時、リンカーンセンターでニューヨーク・フィルの演奏で聞いた曲でもあります――大昔ですが。
その時すでに大好きな曲だったので、たいっへん感動したのでした。

確かオリンピックのフィギュアスケートの曲に使われたりもしたし、超有名曲なうえに「これぞロマン派!」みたいな、華麗にして甘く切ない旋律で、ファンは多い曲ですよね。

すでにして前作については忘却の海を漂い遠ざかりつつあるのですが、確か主人公は高校生だったような気がします。女子高生。
今回の主人公は音大の4年生、男子です。

愛知県の某音大で、国際的なピアニストでもある学長がソロを弾くラフマニノフ2番の演奏会が開かれることになります。オケ・メンバーは学生たちからオーディションで選ばれ、主人公は見事コンマスの座を射止めるのですが、間もなく、大学が所有するストラディバリウスのチェロが盗まれるという事件が起き、さらに・・・というお話。
今回は人が死なないので、ミステリーとしては大変穏やかです。
舞台が音大ということで、「のだめ」の空気を思い出したりもします。

ちょっと驚いたのですが、物語の中で愛知県地方を台風が襲い、大雨で主人公と探偵役(その音大の臨時講師にして新進気鋭のピアニスト)が避難する、というくだりがあるのです。つい先日、ちょうど同じ地域で同じような台風の被害が出たところでしたから、何というタイミングだろうかと思いました。
その避難所で、二人が奏でた渾身のチャイコフスキーが殺気立った人々の心を鎮める、というシーンは大変感動的です。

ラフマニノフの2番にしろ、このチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲にしろ、ほんのちょこっとクラシックを聴く程度の私にもすぐ主旋律が思い浮かぶような超のつく有名曲。なので、頭の中でいつものように物語をビジュアライズする時、今回はBGMまで付くという次第。
これが「1Q84」のヤナーチェクやら「アリアドネ」のショスタコーヴィチやらとなると、かなり詳しい人でないと音は浮かんでこないと思うのですが、その点、本書は親しみやすい感じです。

探偵役の若手ピアニストは、まあありがちな、才気あふれる昨今のヒーロー・タイプ。
天才的な物理学者だったり毒舌執事だったり美貌の運転手だったりと、どうも最近のミステリの探偵役ってあまり苦労もなくサイドビジネス的に謎を解いちゃう人が多いですねぇ。いや、最近の、じゃなくて、探偵役って昔からそゆものかしら。
その点、あれこれ調べたりバタバタ事情聴取したりする白鳥サンなどは珍しいキャラなのかなー。
でも、本書の探偵役・ピアニストの岬先生は、なかなかいい感じ。天才の余裕を漂わせる一方で、若者の共感を得やすい人当たりのよさも備えているキャラです。

ただ、「のだめ」でもそうだったんですが、曲の描写や演奏風景というのはすっ飛ばし気味に読んでしまうんですよね~・・・。つまらないということもないんですが・・・文字で読んで旋律が浮かぶ部分はそんなに多くなくて・・・もっとしっかり読めば違うのかなぁ。
もともとの旋律が記憶にない場合なんかは――文を読んで頭の中で映像化するというのは常にやっている作業だと思いますが、旋律化というのは・・・どうやるのか、よくわからないのでした^^;。


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  1. 2011/10/04(火) 22:30:02|
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