本と旅とそれから ミレニアム2 火と戯れる女 上・下/スティーグ・ラーソン

本と旅とそれから

ミレニアム2 火と戯れる女 上・下/スティーグ・ラーソン

吉野梅郷で満開のままボキリと折れた梅の木を見て、「花も人も明日のことはわからぬのぅ」としみじみしたのはつい先日。
この世界的なベストセラー「ミレニアム」の著者・スティーグ・ラーソン氏についてもそうなのですね――彼は、この3部作を書き上げ、出版契約を結んだ後、その大ヒットを見る前に心筋梗塞で急逝してしまったのだそうです。
明日のことはわからない。来年を語れば鬼が嗤う・・・。ううう。


ミレニアム2 火と戯れる女 上・下/スティーグ・ラーソン
(ヘレンハルメ美穂・山田美明 訳)(早川書房)


シリーズ1作目は英語版を読みましたが、もともとがスウェーデン語なので、同じ翻訳なら日本語にしよう、ということで今回は邦訳で読みました。


邦訳で正解でした~。いろんな固有名詞に、ひとつひとつ詳しい注がつけてあるんだもの。
たまには、注がなくてもわかるのもあったけど、基本的にスウェーデン人向けって感じなので、知らないものがほとんど。わからなくてもストーリーが追えなくなるほどではないと思いましたが、結構たくさんあったので、やっぱりわかった方がすっきりします。
・・・1巻目もそうだったのか?テキトーに読んでたけど(英語版には注はなかった)^^;。

あとは、固有名詞のカタカナ表記が、思ってたのと違うのが・・・リスベス・サランダーと、頭の中で発音していた主人公の名前が、リスベット・サランデルだったり。マイケルで読んでたのがミカエルだったり(同じものとはいえ・・・)。その辺はやっぱり英語とスウェーデン語の差かと思うんですが、この邦訳版って、主にフランス語版からの翻訳なんですね。スウェーデン語の翻訳者さんてあんまりいないのかしら。

コトバはさておき、ストーリー。

ストーリーも非常によく組み立てられてて、複雑な伏線がうま~いこと物語を紡いでいってるんですが(やだ、エラそう^^;)、やはりこの2巻目で一番光るのは、主人公リスベットの人物像。1巻目は物語の筋立てが一番だったと思いますが・・・。

たまたまですが、この本の前に読んだ村上春樹さんの「1Q84」にも、リスベットと似たところの多い少女が登場します。
通常とはかけ離れた親と生い立ちを持つ少女・ふかえり。
他人とのコミュニケーションにいまひとつ難があり、しかし非常に頭がよく、そして映像記憶能力を持っている――「1Q84」では、サヴァン症候群という名称が出てくるんだけど、なんかそれってちょっと違ってる気もするんですけどね。

建築探偵シリーズの蒼くんも持っているという特殊能力で、パッと見たものを文字通り「脳裏に焼き付ける」ように記憶してしまう能力らしいです。

「1Q84」とミレニアムは特に比較する意味もないと思いますが、ふと考えてみれば、その他にも「暴力」、「孤独」、「原作者とは別の書き手がいるベストセラー本」などといった共通項があるのでした。

このリスベット、1巻目で読んだ時からすごく個性的なキャラだと思っていましたが、2巻目に入るとそれが「異常なまでに個性的」というレベルになります。
正直、好きとはいえない人物像。
コンピュータの天才で、ハッカーとしても超一流。何かを知りたいと思えば、あちこちのコンピュータに侵入して、どんな個人情報でもおかまいなしに取ってきてしまいます。

今の時代、人にとって自分のPCの中身というのは、ここまで大きな意味を持つものなのでしょうか。リスベットは、様々な人のPCに密かに侵入することで、その人の交友関係や大小様々な不正行為、あらゆる意図や計画を知り、その人物に対して圧倒的な優位に立つのです。
まるで、心の中を読まれるよりも、PCの中身を見られる方が困るって感じに。

彼女と近しい作中人物たちは、リスベットにはリスベット独自の確固たる道徳観念がある、と語り、リスベットを支持することがその人々の性格付けの一部を成しているとさえ言える感じなのですが――実際にリスベットに会ったことあるわけじゃないから、なんでこの人たちがこんなに彼女を気に入るのかわかりまへん。
彼女にこれほどプライバシーを侵害されて、なぜそれをさらりと受け入れてしまうのか。

確かに、終盤にかけて彼女がいかに不幸な生い立ちを持つかということを読むにつれ、「こんなにつらい目に遭っているなら仕方ないか・・・」という気にはなりますが。
そして、彼女の周りには、彼女をすら可哀相と思わせてしまうような憎ったらしー人間たちがわさわさしているのですが。

でも、面白いです相変わらず。
図書館、3巻目はもっとすんなり貸して欲しいゾ。


webcitron01.gif


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tag: スティーグ・ラーソン ミレニアム 
  1. 2010/03/23(火) 20:13:00|
  2. 2010
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第一作は、孤島の密室ミステリ。第二作はポリス、アクション。第三作はスパイ、リーガルストーリーという展開で、エンタテイメントのつぼをしっかりつかんでいます。スティーグラーソン
ほんとに急逝が惜しまれます。実は第4作が彼のパソコンの中にあって、彼の奥さんと親族が出版権を争っているとのことです。発表されるかは未定のよう。
  1. 2010/03/23(火) 22:35:00 |
  2. URL |
  3. bullet4071 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

Mikiさん、こんばんは~。
この本、おもしろいんですか?
海外原作本、あまり読まないんだけど、今度チャレンジしてみようかなぁ。
厚みがどれくらいあるのか分からないけど、出来れば、3巻一気読みしてみたいですね。
と、・・・その前に、果たして図書館に置いてあるのだろうか・・・。
検索してきます!!!
  1. 2010/03/24(水) 20:50:00 |
  2. URL |
  3. のんびり猫 #79D/WHSg
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To bulletさん、
リスベットちゅのも、とことんダイハードな人間ですね~。
[2]のラストなんて、ほとんどゾンビでしたね。
それにしても、ダン・ブラウン小説(あれも続編が出るだか出ただかですね)の時も思いましたが、肝心な時に「一瞬呆気にとられて」とか「何が起きているかがのみこめず」みたいな話で、主人公たちが目の前で人を逃がしたりさらわれたりしちゃうのにはムズムズしました。

第4作?!印税が誰の手にわたるかは勝手に争ってもらって、出版の方はさっさとお願いしたいですね~。
  1. 2010/03/24(水) 22:06:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To のんびり猫さん、
をを!
のんびり猫さんは本読み猫さんでもあったのですね!すばらしぃ。

ミレニアム、3部作のうち、私は現在2巻目まで読み終えたところなんですが、面白いですよん♪たぶん、1巻より2巻、さらに3巻と、面白くなっていくんだと思います。
1巻の前半は、主要登場人物と読者が仲良くなる(?)まで、ちょっと物語展開がスローな気がしないでもありませんが、いったんリズムにのってくると、後はスリリングにどんどこ進んでいきます。
つい最近映画化された小説なので、きっと猫さんとこの図書館にもあるのでは♪^^
  1. 2010/03/24(水) 22:09:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

lazyMikiさん、こんにちは
本はいっぱーーーい読んでますが、残念ながら小説までたどり着けない今日この頃です(笑)。
そうそう、図書館で借りるのがいいですね、本は。僕もよく図書館で本を借りますが、予約を入れても忘れてしまうことがあります。年のせいでしょうか?
明日から晴れるといいなあ。新幹線の待ち合い室より。
  1. 2010/03/25(木) 20:18:00 |
  2. URL |
  3. アッキーマッキー #79D/WHSg
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To アッキーマッキーさん、
いっぱーーーい、ですか。素晴らしい!
私はいまいち読むのが遅くてあまり読めてませんが、それでも、読んだ本をすべて買っていたら、すぐに本の上で寝ることになってしまうと思います。
というか、今現在ペーパーバックが本棚からあふれてきてるんですが。
ペーパーバックってBook offは買ってくれないと思うんですよね!困った・・・。
私も図書館に入れた予約のことをよく忘れ、通知メールに「ほぉ、こんな本が」と驚きます。

明日から数日は、晴れて寒いといいんだけどな。
で、来週中ごろからしばらく、晴れて暖かく、風がないといいんだけどなぁ。
はい、新幹線がまいりま~す、お忘れ物のないようお願いいたしまーす。
  1. 2010/03/25(木) 21:48:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

登場人物が多く、ヴェンネストレムとみたいに同じ名前の人が出てきたりして
混乱しやすく、見開きの人物の名前はよく見ました。
長靴下のピッピ、実は図書館から借りてきたのですが、
小学中級からの本なので、すべて振り仮名がふってあります・・・・・w

赤い毛で、顔はそばかすだらけ、左と右と色の違う長い靴下に、
ぶかぶかの靴をはき、勉強は苦手でも、腕の力は百人力、でも心はやさしい
九つの女の子。その上ありあまる金貨も持っている・・・・

サランデルとまったく一致していますね。
  1. 2010/03/25(木) 23:35:00 |
  2. URL |
  3. bullet4071 #79D/WHSg
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To bulletさん、
作者・ラーソン氏は、よっぽどリンドグレーン作品が好きだったんでしょうね^^。
かくいう私も、ほんっっっとに好きでした。いや、最近読んでませんが、今でも大好きです。
ピッピは、リンドグレーン作品の中でも低年齢向けですもんね。

ピッピとサランデル・・・そうですね、似ているところ、多いですね。
でも、ピッピのような天真爛漫な性格には欠けていたようですが・・・。
今でも印象深いピッピのセリフに、「わたしのお母さんは天使で、お父さんは海賊の船長。こんなステキな両親を持った子はほかにいないでしょ?」というのがあります。
父親と殺し合うサランデルは本当に哀れですよね。

登場人物一覧、私も何度か見ました。
英語版には、もちろんそんな便利なものもついてないし、ラーソン氏って、ファーストネームとラストネームをごっちゃごちゃに使うので、1巻目はその辺苦戦しました^0^;
  1. 2010/03/26(金) 21:46:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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