本と旅とそれから おまえさん/宮部みゆき

本と旅とそれから

おまえさん/宮部みゆき

よいです~。
内容もよいし、すごーく長編であることも嬉しいし。
いきなり単行本と文庫版が同時に出版されたそうで、即買い(文庫の方ですがっ)。上下両巻とも文庫ながら600ページ超のボリュームです。ぐふふ、たまりまへんな~(≧∇≦)ノ彡。
「おまえさん(上)」「おまえさん(下)」

おまえさん(上)(下)/宮部みゆき
(講談社文庫)


「ぼんくら」シリーズ第3作。
ぬぼーとした八丁堀同心・井筒平四郎を始めとする、お惣菜屋さんのおかみ・お徳や、平四郎の甥っ子・弓之助、下っ引きのおでここと三太郎たちお馴染みの面々が、三度の大活躍。


こうした本が手元にあると、仕事の準備をつい怠けて「読書の秋」とかつぶやいてしまいます。
こんな時の「読書の秋」には、本来あるべき(?)趣深い意味合いはあんまりなくて、どーも、「怠惰」の二文字が透けて見える気がします――自分で言ってちゃどーしよーもありませんが。

八丁堀の湯屋の朝湯の湯気がほわほわと立ち上る感じとか、夕暮れ時に「お徳屋」の店先に漂う煮物の匂いとか、八丁堀の旦那が走る時に黒い羽織の裾が翻る様子とか、なんか、ページをめくる度に様々な光景が五感に感じられるようで、下手な映像を見るよりよっぽど豊かな体験ができます。

そうした意味では抜群の娯楽本読み体験!なんですが、宮部さんの作品には、いつもちょっとこう、楽しい一方でもないね、という要素が織り込まれていて、それが物語の重しになっています。
その要素を担いでいるのが、今回初登場、平四郎の同役にして後輩の青年・間島信之輔。
きりっとしてるし仕事はできる、剣術の腕はたつ、家柄だってそれなりにちゃんとしてるし、性格だって真面目で爽やか――なのに、えー、何というんですか?その、ご面相が頂けないそうで。

何度も出てくる描写が、「金壺眼」。
辞書にあるところによると、「くぼんで丸い眼」をいうとか。
失礼ながら、すぐ頭に浮かんだのは、ずっと前にNHKの「コメディーお江戸でござる」に出ていた桜金造さんだったんですが(^^;)、今ちょっと画像を検索してみたら、んー、違うかも。

それはともかく、なまじほかの要素にすべて不足がないだけに、この容貌に(かなり)恵まれないということが、この間島殿――信さん(と、お気楽平四郎は呼ぶ)には、重~いコンプレックスとなって日々のしかかっているわけです。

すごくよくわかる気がしますけど。信之輔の切ないココロ。
何しろ、事件の被害者遺族の小町娘に想いを寄せるようになったりもするので・・・。

でも、逃げない信之輔はつくづくエライなぁ。
きっと、宮部さんはいずれ彼に何かご褒美を下さるに違いない。うん。きっと。

メインとなる連続殺人事件のほかに、ちょっとしたサイドストーリーも大小織り交ぜて、一部少々説明クサい部分もありましたが(って、あたしゃ何サマ?)、とにかく楽しかったです。
あんまり楽しかったから、また「ぼんくら」やら「日暮らし」やら読み返したりしております。

まさに、秋の夜長に開きたい1冊・・・といっても、考えてみればワタシの場合、夜の長さと本読み行動の間には、たぶん何の関連性もないんですけどね~。


webcitron01.gif


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コメント

色々なサイドストーリーが平行していて、最高に楽しませてもらいました。
とっても読むのに時間がかかりましたが、私はこの作品大好きです。
こちらともうひとつトラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
  1. 2013/10/18(金) 16:55:32 |
  2. URL |
  3. 藍色 #-
  4. [ 編集 ]

藍色さん、

いつもTBありがとうございます。
「ぼんくら」のシリーズはホント、楽しめますね。

私もTB送らせて頂きます。
  1. 2013/10/19(土) 22:02:46 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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