本と旅とそれから まほろ駅前多田便利軒/三浦しをん

本と旅とそれから

まほろ駅前多田便利軒/三浦しをん

よきかな!
好きです、ワタクシ好みです、この感じ。
万人向けとはもしかして言えないかも知れませんが、私は非常に非常に楽しみました。
もう1冊読んでそれが楽しかったら――あ、でも今すでに借りている三浦しをんさんの本は小説ではないので、もう1冊小説を読んでそれが楽しかったら、今後好きな作家を訊かれた時、三浦しをんさんの名を挙げることにしようかと思います。
「まほろ駅前便利軒」


まほろ駅前多田便利軒/三浦しをん(文春文庫)

これは三浦さんの直木賞受賞作。

バレバレで町田市とわかるまほろ市という町の駅前に事務所を構える個人営業の便利屋さんに、風変わりな昔の知人が転がり込んでくるところから物語が始まります。

この多田クンという便利屋さんと、その助手となった(ただの居候と呼ぶべきかも知れませんが)行天クンが遭遇する奇妙な事件と奇妙な人々が、連続短編の形で綴られていきます。

この二人をはじめとする、登場人物たちのキャラクターがよいのですねぇ。

多田クンは、何しろお人よし。
困っている人を見ると、渋々ながらも助けの手を差し伸べずにはいられないという人物。一見単純なのかと思いきや、彼には彼なりに引きずる過去もある、というのが終盤になってわかります。

行天クンの方は、脳天気というか八方破れというか、何をするやら予測のつかぬ人。
ただ、見た目がよくて愛嬌もあり、本人がその気になりさえすれば、人の好意を得ることはそう難しくはない――んだけれど、そうした通常の行動パターンをゆくことは基本的にないヒトです。
早い話が、ちょっとアブナイ人じゃないでしょうか。

このテのキャラのコンビって、他でも一度ならず見たと思うんだけど・・・咄嗟に浮かびません。
当人たちがどう感じているにしろ、傍から見たら「仲良し」に見える二人組。真面目でしっかりした方は、「あなたたちは仲良しですね」と指摘されて「とんでもないっ!」と懸命に否定するも、周囲には照れているとしかうつらない、というペアです。

しっかりした方がフラフラした方を一方的に助けてやっているようでいて、ふと気づくと、そのフラフラした相棒の存在が、しっかりしているように見える彼の心を支えている、という二人組です。
微笑ましいのですね。

その他の登場人物たちも、憎めないというか・・・いじらしいところがあったりして。
中でも、コロンビア人(自称)の娼婦とそのルームメイトの娼婦の二人。
せっせとチワワを可愛がったり、訪ねて来るその元飼い主の少女をもてなそうと心をくだいたり。大変情に篤い人たちなのです。
その他にも、まほろ駅周辺をウロつく人々が、とんでもない生業を持つ人々までもが、何となく憎めない人物に描かれております。

・・・というような点や、物語の展開のすべてが、実在の町田駅前をモデルにした場所を舞台にさりげなく描かれていながら、実は決してあり得ない、おとぎ話の世界を作り出しているのです。

ひとつひとつは小さな厄介ごとで、不平たらたらでそれを片付けていく便利屋さんですが、ひとつの依頼のたびに、小さな人のつながりが生まれ、いつしか彼の周りには、さらりとしてはいるけれどいざという時は電話をかけてみようかという思う人の存在が増えてゆく。
・・・素敵ですよねぇ、そんな商売が本当にあったなら。そんなことが現実にあったなら。

ファンタジーだよねぇ、と、うっとり読みました。


webcitron01.gif


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tag: 三浦しをん 直木賞 まほろシリーズ 
  1. 2012/01/15(日) 22:30:01|
  2. 2012
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コメント

こんにちは~!ちょっと(かなりか?)ご無沙汰をしておりました…
明けましておめでとうという期間もとっくにすぎてしまいましたが、
今年もどうぞよろしくお願いします。

三浦しおんさんだ!
私も、三浦さんのちょっぴり漫画チックなキャラが大好きなんです。
エッセイもなかなか良い味ですし。
文楽関係は読んだ事が無い(文楽を見た事も無い)のですが面白そうですね!
次に読んでみようかしら~

いま「舟を編む」を図書館に予約中なのですが、大人気のようで。
一体いつ回ってくるのやら…
  1. 2012/01/19(木) 12:25:24 |
  2. URL |
  3. yurinippo #-
  4. [ 編集 ]

yuriさん、

こちらこそご無沙汰しております<(_ _)>。
明けまして少々時間が経ちましたが、今年もよろしくお願いいたします。

「舟を編む」は、私も予約を入れております。
予約待ち順番何番だったかな、20何番かだったと思います。
これからばりばり三浦しをんさん読もう!とはりきっております。
「仏果を得ず」、エラく面白うござりました!
でも、張り切ってもそうでなくても、なんか毎年、感想文の数は50そこそこなんですよね(ブログが数えてくれる)^^;。
どゆこっちゃ。
  1. 2012/01/20(金) 21:23:15 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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