本と旅とそれから どちらかが彼女を殺した、悪意/東野圭吾

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どちらかが彼女を殺した、悪意/東野圭吾

最近、通りすがりにいつも眺める地下街の本屋さんとはたまたま違うお店を覗いたところが、「ナント!あのシリーズの最新刊が出ているではないかっっ!」と驚喜する、ということが何度か続いております。
すぐさまケータイから図書館に予約を入れたり、図書館の順番が待てずにその場で購入してしまったりしてますが、この東野さんの加賀恭一郎刑事のシリーズは、比較的おとなしく、じっくり待ってこつこつ読んでる感じです。
「どちらかが彼女を殺した」「悪意」
どちらかが彼女を殺した
悪意/東野圭吾(ともに講談社文庫)


最新作「麒麟の翼」に向けて、第1作目から読み始めた刑事・加賀恭一郎シリーズの、この2冊は、第3作目と4作目。
初出は前世紀なんですね。息の長いシリーズですこと♪

どちらも、ミステリとしてはちょっと変わった形式をとっていて、作家さんとしてはもしかして実験的なつもりだったのかしら、などと思ったりします。

「どちらかが彼女を殺した」は、表題が示す通り、犯人が最初から二人に絞られています。
といっても、それがあまりにも明示されているため、「と見せかけておいて、実は自殺なのか?でなければ第三者の犯罪なのか?」などと気を回してしまったのは、たぶん私だけではないと思うのですけど。
「もしかして、あんまり登場しない被害者の隣に住んでる女の人が犯人か?」とかも思ったのでした。
なんかね、もしかしてこの本、以前読んでいるかしら、と思ったんです。で、「そーだよ、犯人はこの二人のうちのどちらかだ、と散々におわせておいて、実は隣りの人が全然違う理由で殺したんじゃなかった?」と、かなり強力に思えてきたのでした。

違いましたけどね。
たぶん、「相棒」あたりに、そんなような物語展開があったんじゃないかと。
でもって、この本読んだのも初めてだったと思いますよ、やっぱ。まったくもー。

加賀刑事が謎解きをするにはしますが、本作にはもうひとり謎解き役が出てきます。
被害者の兄・康正ですが、彼自身が警察官なのです。といっても、彼は交通課所属だし、そもそも名古屋の方で勤務しているので東京で起きた今回の事件は管轄外。

でも、警察的な捜査の仕方は心得ているし、警察手帳も外側だけなら見せられるし(開くと所属違いがバレます)、軽い検査なら知り合いの鑑識の人の手も借りられます。
そんな彼が、東京の警察には任せず、自分の手で犯人を見つけようとするのは――自分の手で、愛する妹を殺した人間を処罰してやろうと考えたから。

事件の第一発見者である彼は、そのために、東京の警察の捜査を妨害さえするのです。
おかげで加賀刑事は、犯人のトリックばかりか、この兄の証拠隠蔽にまで捜査を攪乱されるのでした。
てか、同業者であるこの兄が、まさか自分の仕事を邪魔しようとしてるなんて、そもそも思わないですものねぇ。まずそこに気付いた加賀刑事がエラいと思います。

でもこの兄も、ね。可哀想だわ。
早くに親を亡くして以来、大切に見守ってきた妹を殺されてしまうんですもんね。ラストが切ないです。

いやしかし、そのラスト。
結局、二人の容疑者のうちどちらが犯人かがはっきり示されないのですよ^^;。
緻密に読めばわかるらしいんですが(巻末解説に指導アリ)、緻密に読んでないから・・・。

「悪意」は、大部分が犯人と加賀刑事の手記という形で構成されている点が独特。
読み始めてしばらくは、「これはクリスティの『アクロイド殺人事件』パターンなのかなぁ?」と思ったりもしましたが、すぐに違うとわかります。
いくら何でも、超有名な古典ミステリと同じトリック使うわけないですよね・・・といっても、犯人が明らかになるまでの展開が犯人自身の手記の形で語られるというのは同じです。

ですがこの小説の主眼は、犯人が誰か、ではありません。
なぜ犯人は被害者を殺害したのか、です。つまり、動機。

犯人がわかった時点で、いったんその動機は明らかにされます。
私なぞは、そのくだりを読んで「被害者、なんてヤなやつ。犯人に同情しちゃうよ」などとプンプンしたのですが、すぐに加賀刑事に、それが犯人の意図したところだと指摘されて「^0^;」です。

この、子供の頃からの友人同士である被害者と犯人の関係を追求するため、何十年も昔に遡って捜査をしていくあたりは、ちょっと「砂の器」を思い出しました。
「砂の器」では、それによって悲しい過去が見出されるのですが、この作品で明らかになるのは、何と言うか、やるせないような暗い何かです。

「何か」というのは、ネタバレを避けようとしてそう書いているのではなくて、それが名状し難いものに思えるからです。東野さんは敢えてそれを「悪意」と名付けておられるわけですが。
人間には、名状し難い美しいものや、逆に名状し難い醜いものが、あれこれそなわっているのですねぇ。

大学を卒業してすぐ、中学校の教師として勤務していた頃の加賀刑事の話も語られます。
「それまでの人生で最大の敗北」と、彼自身が回想の中で呼んでいる事件。
「人間ってしょーもない生き物だなぁ・・・」と、タメイキひとつつきたくなるようなお話でした。


webcitron01.gif


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