本と旅とそれから 風が強く吹いている/三浦しをん

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風が強く吹いている/三浦しをん

すばらしい!
というか、えー、何だろう、とにかく、とにかくよい!よかった!
まだ2月ではありますが、2012年に読んだ/読む本の中で一番感動した本はこれです!
本年残り10か月分も先取りしてそう言ってしまってもまず間違いないと思います。
「風が強く吹いている」

風が強く吹いている/三浦しをん(新潮社)

前記事「夢のような幸福」の感想文にもちょっと書いたのですが、2月は私、ちょっと仕事でキンチョーする局面があったんです。詳細はおいときますが、何といいますか、寄る年波とつのるぐーたらが功を奏する・・・ぢゃなかった災いしまして、その仕事の始まる3日前ぐらいから、キンチョーのあまり、指先が冷たくなったり食欲が落ちたりという症状を呈すようになってしまったんです。

こうした場合の正しい対処法はおそらく、その仕事に備えて資料をさらに読み込むとか、ネットで関連サイトを見て勉強するとかだと思うのですが、そうわかっていながらそれが出来ない。
集中できないんですね。

で、たまたま図書館から借りてきてあった本書を開いたところ、ハマってしまいました!
んー、もしかすると、潜在的な現実逃避願望がいっそうそうさせたのかも知れないんですが・・・。まあとにかく、ここらでやめようと頭で思ってもどうにもできない。途中からもう、読めるだけ読んじゃおうと開き直りました。

その仕事も何とか無事に済んだ今振り返ると、ほんっと「我ながらしょーもない自分」って感じなんですが、でもその時はねぇ。しょうがなかったんです――たぶんね。
で、あの時の私を助けてくれることができたのは、おそらく三浦さんのこの本しかなかっただろう、みたいに思えるのです。てか、あそこまで緊張する必要はまったくなかったんですが、なんかもうわけもなくガチガチになってて・・・だから、夢中にさせてくれて、ついでに元気づけてくれるような本が手近にあればそれが最適だったんですね。



そもそも私は、古びた下宿を舞台にした物語が好きなんじゃないかと思うんですよ。
篠田真由美さんの「灰色の砦」も、内容はとにかく、古びた下宿が舞台だったので好きでした。
扉絵の、下宿内の部屋割りを描いた挿絵を何度も眺めては、アタシだったらどの部屋がいいかしら、なんて思ってみたりして。しょーもない。

その下宿・竹青荘に集った大学生たちが、4年生・ハイジ(ヘンな名前・・・)の強力なリーダーシップの下、青天の霹靂的展開で箱根駅伝を目指すことになる、という物語です。

箱根駅伝、かぁ。

ふと思うに、これってかなり関東向けのイベントだと思うんですが、関西の人も知ってるのかしら。テレビ中継なんて・・・あるのかなぁ、日本テレビ系列。
とある知り合いはかつて、「お金をかけずにすごい感動体験をしたければ、正月三日に大手町の読売新聞の前に行くといい」とか言ってました。箱根駅伝のゴール地点。
感動するだろうなぁ、と、それは容易に想像がつきます。

とはいえ、いきなり普通の大学生が箱根を目指すったって、そりゃ無理でしょう!
・・・なんですが、一応このハイジというリーダー格が、見込のありそうな人間に密かに目星を付けて下宿に集めているということになってます。そして、最後の切り札として下宿にやって来るのが、天才ランナー、その名も走(かける)。この走を得たことで、とうとうハイジの大いなる夢、ちゅか野望が実現に向けて動き始めるのです。

しかし、これまで一度も出場したことのない大学にとっては、箱根の本選以前にまず予選会が大難関。
というより、物語に登場する大学生たちにとっては、駅伝の1区間20キロあまりを走りきることからしてかなり大変なんです。
走やハイジはもともとランナーだから別格だし、陸上経験があったりサッカー部出身だったりするメンバーはよいとして、私がとにかく心を寄せたのは王子(もちろんあだ名)。

下宿の床が抜けるんじゃないかというくらい部屋にマンガをため込んでいる彼は、話が持ち上がるまでほとんど走るという行為と縁がなかったような御仁。
だのに、リーダー・ハイジにこれまでいろいろ世話になってるからという理由で、箱根チャレンジを承諾し、それから苦難の日々に突入するんです。

「まほろ駅前」もそうでしたが、この辺は三浦さんが魔法のように紡ぎだす、大人の童話的世界。
どう考えたってこんな状況はあり得ない。こんな人間はいないだろうし、こんな人間たちをひとつのチームに集められるわけはないし、そのチームがあんなふうに進んでいくなんてありえないよ。
・・・でも、「そんなことももしかしてあるかも」と思うことにして物語を追いかけていくと、ああもう、どっぷりハマってしまう。やられたー、です。

奇跡的に箱根駅伝本選出場を果たし、とうとう当日を迎える彼ら。
懸命な練習を重ねてきた末に迎えるその時ではあっても、やはりものすごいプレッシャーに押しつぶされそうになります。
支え合って来た仲間がすぐ近くにいるといっても、走る時はひとりだから。

物語が駅伝当日の話に入ってからは、気分的に、毎ページ泣きながら読んだって感じです。

大学によっては、プロそこのけの「結果がすべてだ」みたいな姿勢があるのかも知れない。でも、「風が強く吹いている」に描かれるのは、自分の持てるすべてを出す、全力を尽くして頑張ることを称えるアマチュアスポーツの限りなく感動的な世界です。

ハイジのキャラクターもいいんですよね~。
理想の指導者(教育者かも)像。走が惚れ込むのも無理もない。

「天地明察」の時にも感じた、人間の懸命な姿からあふれ出る感動を、さらに強く感じた本でした。
三浦さん、ありがと~。


webcitron01.gif


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  1. 2012/02/23(木) 22:30:02|
  2. 2012
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コメント

よまなくちゃ!

大変なお仕事だったんですね。お疲れさまでした。
無事に終わって何よりです^^

それにしてもこの本、私も読みたい読みたいと思ってはや…いつからだっけ?
ってなくらいだったのです。

箱根駅伝、TV見てて感動するはするんですけど
見てるだけで苦しくなってくるので(走るの嫌いだし)
あれはわたし少し苦手だな~と思っておりました。

でもここまでMikiさんが絶賛するなら、これはもう読まなくちゃ!
図書館に予約入れます!
  1. 2012/02/28(火) 14:16:02 |
  2. URL |
  3. yurinippo #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

yuriさん、

>大変なお仕事

と、労って下さるのはとてもありがたいのですが、実は違うの~。
おそらく10年前の私なら、大して大変とも思わずこなしていたであろうと思われるようなレベルの仕事でした。
寄る年波と、磨きのかかるぐーたらぶり、それゆえのドタバタにほかなりません。
ああ、年はとりたくないもの。ぐーたらには陥りたくないものです。

箱根駅伝は、私にとってお正月のBGM的存在です。
一応出身校の順位を気にかけはしますが、同じくらい、挿入されるCMも楽しみです。お正月っぽくのんびりしてていいのが多いの♪

よいですよー、この1冊。私は早速文庫版を購入しました。
帯に記されたところによると、「ダ・ヴィンチ」のランキングで、「背中を押してくれた本・ナンバーワン」だそうです。
でも、文庫版だと下宿の見取り図が小さすぎてよく見えないのが残念。
  1. 2012/02/28(火) 21:42:37 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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