本と旅とそれから 伏 贋作・里見八犬伝/桜庭一樹

本と旅とそれから

伏 贋作・里見八犬伝/桜庭一樹

なーんとなく気になっていて、「そのうち何かきっかけがあれば読みたい」と思っている作家さんは何人かいるのですが、そのうちのひとりがこの桜庭一樹さん。
ちょっと前に直木賞を取られるまでは、ぜんっぜん知らなかった方です――という作家さんは非常に多いんですけどー^^;。

めでたく(?)今回、初めて読むこととなりました。
「伏 贋作・里見八犬伝」

伏(ふせ) 贋作・里見八犬伝/桜庭一樹(文藝春秋)

表紙がちょっと怖いなー、髑髏のお面をかぶった白い犬。

曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」をベースにしたお話らしいので読んでみました。大好きだ、八犬伝。
といっても、私にとっての八犬伝は、子供の頃に読んだ子ども版「里見八犬伝」と、NHKの人形劇だけなんですが。今でも、頭の中に坂本九さんの歌声が響きます♪


で、そうした子供向けのものしか経験してないうえ、それさえもはるか昔のハナシなので、いくら子供の頃は今よりはるかに優れた記憶力を有していたワタクシといえども(←過去の栄光)、でもってその当時は「こんな面白いお話は他にない!」と熱狂したといっても、話の細部はほとんど覚えておりません。

それでも、この「贋作」が、本家とぜんっぜん違うことはわかります。

本家の八犬士は、犬の血をひいてたりしませんし。それに玉を持ってなきゃねー。
私はあのお話で、「仁義礼智忠信孝悌」って言葉を覚えたんだし。坂本九さんも、「いざとなったら玉を出せ、力のあふれる不思議な玉を~」と歌っておられるわけだし。

で、何よりすごいのが、浜路が少女ながらに狩人で、伏(ふせ)と呼ばれる犬の血をひく者たちを狩る(猟銃で撃ち殺すんです)ことを生業にしてるってこと。
物語は、伏という種(?)の発端となった昔の伏姫の話と、浜路が信乃たちを追いかける今(といってももちろん江戸時代ですが)の話から成り立っています。

伏姫の話はまあいいけど、活劇のヒーローであるはずの八犬士が、犬の血を引くがために血を好み、すぐに人を殺し、寿命も犬並みに短くて、というあたりは・・・ちょっとイヤかもなぁ。
キャラクター的には、浜路も信乃も道節(浜路の兄。犬山道節も、本家では八犬士のひとりなのですが、「贋作」では、浜路と一緒に伏狩人のひとり)も、嫌な人間には描かれてなくて、愛嬌あるんですけどね。

この伏という生き物たちの特徴がビミョーでして。
犬の血を引いているにしろ何にしろ、そのこと自体は彼らに責任があるわけではないので、それを理由に狩られて殺されるっていうのはまことに理不尽。
・・・ではあるのですが、彼らはこれが獣の性ということなのか、わけもなく人を襲うのでした。だから狩られることになってしまうのね。

浜路と信乃の関係というのも、狩る者と狩られる者でもあり、お互い何となく気になる男女でもあり――本家八犬伝では恋人同士でしたよね。でも、「贋作」の浜路は本気で信乃を撃ち殺そうと追いかけているし、信乃も本気で浜路を城の天守閣から蹴り落とす・・・。むむ。

子ども版八犬伝で私のお気に入りだった犬坂毛野(「智」の玉を持っている♪)が、冒頭いきなりさらし首で登場するのは「げげっ」でしたわー。
その破滅的にして切ないお話も、後で語られますが。

「げー」とか「むー」とか言いつつも、それなりに分厚い本を楽しんで読み終えられたのですが、これは果たして桜庭さんの筆力なのか、はたまた下敷きとなっている八犬伝の力なのか。
なんか、後者のようにも思える・・・。
ああ、大人版の本家の八犬伝が読みたいよぅ。現代語訳っていうのもいくつかあるんですね。
でも、「西遊記」がそうだったんだけど、あまりにも原典に忠実な現代語訳って、面白くなかったりするからなー。平岩弓枝さんも八犬伝書いておられるのか。これがいいかも。うーむ、どうしよう。


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  1. 2012/03/19(月) 22:30:00|
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