本と旅とそれから ものがたり水滸伝/陳舜臣

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ものがたり水滸伝/陳舜臣

初めて、大人向けの水滸伝を読んでみました(北方謙三版は最初の数冊で挫折してます)。

それでも「ものがたり」と頭に付くんですが――そもそもが中国の古典なので、純粋な翻訳版では、おそらく注釈の嵐になっちゃってちっとも楽しく読めないだろうと・・・思うんですが。
ものがたり水滸伝

ものがたり水滸伝/陳舜臣(中公文庫)

正直なところ、子供の頃初めて読んだ子供版水滸伝の方がはるかに面白かったと思うのです。たぶん、そうしたことは結構あるのかな、と――子供版は大人版よりいっそう「ものがたり」性が強く書かれていたわけですし。それに、読む方の感性も、今よりはるかに瑞々しいものがありましたし(目が遠くなります・・・^^;)。

子供の頃に読んだ時一番好きだった豹子頭林冲と智多星呉用が、やっぱり今回もよかった。でも、林冲が梁山泊に加入するまでの苦難の物語が、本書では比較的さらりと描かれていました。たぶん、原作でもさらりとしてるんでしょうね。子供版では挿絵も入っていたりして、もっとドラマチックでした。禁軍武術師範で素晴らしい技を持ちながら、権力者に妬まれて散々いじめられる林冲を、当時は思いっきり判官びいきしてました。

呉用が好きなのは、梁山泊の面々の中では唯一と言っていい知性派だからです(たぶん)。
三国志における諸葛孔明みたいな人・・・いや、孔明の方がずっとステキですが、でもやっぱりいい感じ。林冲も、武術の達人だけどやっぱり知性的な雰囲気あるんですよね。

というか、梁山泊の面々というのはそもそもお上に追われる犯罪者が多くて、野蛮人と形容してよいような人がごろごろいるんです。すぐカッとなって相手を殺す。相手だけにとどまらず、その場に居合わせた人まで見境なく殺してしまったり。
いやそれどころか、梁山泊の仲間に加えたいと思う人物に目を付けると、その人が梁山泊に逃げ込まざるを得ない状況を作るために、その人の主の子供を殺すようなことまでするんです(さすがにこのエピソードだけは、陳舜臣さんも「ひどい話だ」と書き添えておられました)。

とにかくやたらと人を殺した話が出てくるので、これを気にしないようにして読まないと楽しめません。がんがん殴ったら、脳みそが飛び散り、目玉が飛び出し、なんて描写が何度も出てくるし・・・。原作はもっとグロいことが書いてあるんだろうなと推測されます。拷問なんて毎度のことですし。子供版が楽しかったのは、このような表現が全部カットあるいは婉曲表現に換えられていたからというのもあるんでしょう。

先日のニュースで、中国では1年に何千人も死刑になっている、と伝えていましたが、現代でさえそうなんですから、宋の時代には人の命、特に一般民衆の命なんて、もっともっと軽く扱われていたんでしょう。日本だって昔はそんなもんだったと思います。

「ものがたり」と付いてはいますが、あまり脚色を感じない小説だったと思います。
何しろ、途中でやめてしまった北方版がすごかったので――同じ「水滸伝」とは思えないほど。北方版はとにかく男女の絡みのどぎつい描写が多くて辟易してしまったのですが、あれがなければ物語としては楽しめたのかなぁと思うのでした。陳版は、超長編の水滸伝を文庫本1冊の長さにしてしまっていて、端折りすぎかなとも思えましたし。

でも、子供の頃に楽しんだ水滸伝の豪傑たちにまた会えて、楽しかったです。


webcitron01.gif


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