本と旅とそれから 「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

本と旅とそれから

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

「マーガレット・サッチャー」01


メリル・ストリープさんがアカデミー主演女優賞を獲ったこの映画、「この演技なら受賞は当然!」と、ふかぁ~~く頷かされます。
才能と努力の両方がふんだんにあったからこそ、あのマーガレット・サッチャーだったのでしょうね・・・。
それにしても、英語と日本語の違いをしみじみ感じさせるこの映画タイトル。
原題は"The Iron Lady"なわけですが、それを「鉄の『女』」と訳さざるをえないために、「の涙」をくっつけないとキツすぎる感じになってしまうんでしょうねー。といっても「鉄の『淑女』」ってすごくヘンですし(中世の拷問道具にこんな名称のがあったような・・・)。

懐かしいなぁ、サッチャーさん。1979年から1990年まで英国首相だったということなので、ちょうどバブル期と重なりますね。アメリカのレーガンさんと仲良しでしたねぇ。日本では中曽根さん。
国際政治の舞台がものすごく華やかだったイメージがあります――レーガンさんのキャラのせいかしら。
そのレーガンさんはアルツハイマー病を患ってのち亡くなり、サッチャーさんも現在ご存命ではありますが、認知症でもはや表舞台に出てこられることはないとか。

映画とは関係ありませんが、レーガンさんがアメリカ国民に宛てたお別れの手紙、最後のところがすごーく悲しかった。
うう、バブル期の楽天的な雰囲気と併せて、今振り返ると何だか寂しい気持ちになります。


「マーガレット・サッチャー」02


それにしても、ほんっとスゴかったわ~、メリル・ストリープさん。
あたしゃ途中で、ほとんどサッチャーさんご本人がスクリーンに登場しておられるかのような錯覚に陥りました。外見的にもよく似てるような・・・。いえまあ、それはどうだかわかりませんが、声とかしぐさとか話し方とか、ものすごい努力でサッチャーさんを再現しておられることは間違いありません。

でも、彼女の演技がぐっと胸に迫るのは、英国首相として輝いていた頃のサッチャーさんよりも、現在の認知症をわずらった彼女を演じている時だと思います。


「マーガレット・サッチャー」03


誰しも、いつかはスポットライトの当たる舞台から降りねばならない時がくる。そして、どんなに優秀といわれる人であっても、自分がどう老いていくかは決して思いのままにならない。華やかだった頃の自分が輝いていればいるほど、その輝きを失った後の自分との落差が大きくてショッキングなんですね。

サッチャーさんの娘さんに、つい感情移入してしまいます。彼女こそが、その「落差」を一番近くですべて目にしている人でしょうから。つらいというか――寂しいことでしょう。
サッチャーさんは首相として英国を率いた大政治家だけれど、それが彼女のすべてではないという、考えてみれば当たり前のことを、映画の中のサッチャーさんは語っています。

当時の女性にとっては当たり前だった家庭人としての人生に満足することができず、険しい道であることを承知で政治の世界に足を踏み入れたサッチャーさん。その道を歩むことが、自分の幸せとも重なると信じてそうしたにもかかわらず、そして首相となったことでその道の頂点を極めたにもかかわらず、映画の中のサッチャーさんの姿にどうしても涙してしまいます。

彼女は果たして幸せだったのか。
というか――幸せだったのかどうかを云々することさえ、あまり意味のあることではないのでは、と思えてきます。豪快な女性だった、と、それだけは間違いなかったと思うのです。

と、メリル・ストリープという女優さんが演じているのだということをつい忘れて、サッチャーさんのことばかりを考えてしまう、素晴らしい映画でした。
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  1. 2012/03/31(土) 22:00:00|
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コメント

私も同意見です。
幸せだったかどうか・・・それよりも、豪快な女性だった。

私も何度か、錯覚を起こしました。
あれ?これは本物?!

見ごたえのある映画でした。

Mikiさんの映画感想、とってもわかりやすくて、うんうんって思いました。
  1. 2012/04/02(月) 23:24:11 |
  2. URL |
  3. tomate11 #-
  4. [ 編集 ]

おしまいまで観た後で、冒頭の買い物シーンをしみじみ思い出してしまうような映画よね。
回想シーンにしか登場しないから余計に心に引っかかる息子の描き方も、秀逸だと思いました。
おぼつかない足取りの歩き方を、朝ドラの時の夏木マリさんの演技とちょこっと比較してみたりもしてしまった(^^;
10年後に再び観たら、さらに感じ方が変わるんだろうか...
  1. 2012/04/03(火) 14:21:57 |
  2. URL |
  3. しの #-
  4. [ 編集 ]

tomateさん、

もともと興味を持っていた映画ではあったけど、tomateさんからもらったメールに「すごくよかった」とあって、それから数日後にしのちゃんが褒めていたので、俄然見たくなって映画館に走りました。
いい映画だったよー。
描かれている人物と、演じている俳優の両方にすごく感動したー。
「QUEEN」といい、「英国王のスピーチ」といい、イギリスの伝記ふうの映画は見応えありますのぅ。
  1. 2012/04/03(火) 21:09:30 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

しのちゃん、

最初の、ひとりよろよろとミルクを買いに行くシーンは、「えっ、ウソ、これがサッチャーさん?!」と、信じられない感じだったねぇ。
夏木マリさん、最初は「えー!いきなりあのヒトに替わるの?!」と思ったんだけど、見たら「やっぱり女優ってすごいねぇ」と見直した~。
ちゃんと若い頃を演じた女優さん(←名前調べるのがめんどい)と、何気ないしぐさを似せてあってエラく感心したよー。

10年後、かぁ。
サッチャーさんはもちろん、いろいろな人がもはやこの世にいないんだろうなぁ。
  1. 2012/04/03(火) 21:15:04 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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