本と旅とそれから 魚の棲む城/平岩弓枝

本と旅とそれから

魚の棲む城/平岩弓枝

久しぶりの平岩弓枝さん。
「御宿かわせみ」のシリーズ、早くちゃんとチェックして(どこまで読んだんだっけ?)、セカンド・ジェネレーションの物語も読まなくっちゃー。

・・・は、ともかく。ああ、いいなぁ~、時代物の王道って感じがします、平岩作品。
水もしたたるいい男、的な田沼意次。
「魚の棲む城」

魚の棲む城/平岩弓枝(新潮文庫)

小学校時代の「日本の歴史」のお勉強では、確か田沼意次は、「政治的にはいいこともいろいろやったが、贈収賄が横行する原因を作った」みたいな、功罪半々といった評価だったように記憶するのですが。
で、これまたちょっと読んで止まってしまっている池波正太郎氏の「剣客商売」にも、確か田沼意次って出てきていたわね?彼の隠し子の女の子が主人公の妻になるんだったかしら?とにかく、田沼意次は好意的な描かれ方をしていたと思うのです。

この「魚の棲む城」を読みつつワタクシ、あらあらあら~、大河ドラマにしてちょーだい、これっ!でもって、それがかなった暁には、いったい誰に意次を演じてもらったらよいかしらっ?!などと考えて、頭の中に二枚目俳優さんの姿をあれこれ思い浮かべておりました。

結局、具体的に思い浮かばなかったんですけどね。
昨今は、「絵に描いたような二枚目」っていう俳優さんもそういないのでは――どなたも、個性を強調するクセというか、ヒネリというか、そんなものをそなえておられるようで・・・。
いやまあ、私が知らないんですよね、俳優さんをあんまり。

田沼意次が、大奥に節分の豆まきに入るエピソードが面白い。

豆まき役は従来、老中のひとりが務めることになっていたのですが、男子禁制の大奥に男が入って来る、というので大奥の女性たちが興奮して(?)、豆まきにやってくる老中にあれこれといたずらし、ひどい時には胴上げしてそのまま床に落とすようなことまでし、見た目ボロボロにされるばかりか足腰が立たぬメに遭わされることもあるというので、老中たちが恐れをなし、当時側用人の職にあった意次に、豆まきしてこい、という話になるのです。

意次も、命令されて仕方なく大奥に入って行くのですが、いつイタズラされるかと心配しながらもきっちり豆まきをすませ、まったく無事に退出を果たします。はてな、と思っていたところが後で、正装した意次の姿があまりに凛々しく美しいので、大奥の女性たちがイタズラすることを忘れ、ため息をつきながらただ見惚れていたということがわかる、というのです。

カッコいいし、頭がいい。人望もある。情けも篤い。
しかも、幼なじみ・お北に情熱的な愛情を注ぐ、魅力的な恋人でもあるのです。

このお北と、蔵前の大店の札差・龍介が意次の幼なじみ。
龍介は武家から町人になりますが、その後その財力で意次の政策をバックアップしていきます。もう、意次のためなら身代つぶしてもいい、ぐらいのすごい惚れ込みようなのです。

田沼意次、あまりに爽やか。
視野も広いし、開明的。彼がもしもう数十年遅く生まれて、幕末という時代に生きていたら、あの動乱の時代にどう対処したのだろうかと、興味がわきます。

実際の意次は、ぐぐっと傾いた幕府の財政立て直しに取り組むわけですが、浅間山が噴火したり冷害があったりと数々の困難がふりかかり、いかに賢明な策をもってしても、なかなか成果が挙げられず、苦労します。
そうするうちに、意次のことを「成り上がり」と敵視する松平定信みたいなのが現れ、まず意次の息子(当時、若年寄を務めていた)が暗殺されます。そして、二代にわたって意次を重用してきた将軍が病で亡くなると、意次は禄を召し上げられ、与えられた領地に建てた城も壊され、寂しい末路をたどることとなるのです。

ラストが寂しかった・・・。
息子が殺され、厚い信頼関係にあった将軍が亡くなるという、意次にとって非常に大きな悲劇が続き、その後間もなく、意次自身も亡くなってしまうのです。

この田沼意次は、女性作者の描き出す、理想の男性像のひとつの形だと思えます。
女性の目から見た素晴らしい男性って、例えばこの意次みたいな人ですね。ついつい支えたくなる、というのでしょうか。この人のためなら、一生日陰の身でもいいわ!みたいな^^;。

あ、本木雅弘さんなんかいいかも?どかしら?


webcitron01.gif


My Favorite Books(お気に入りの本のブクログ)
BOOKS INDEX(作家別感想文一覧)

関連記事
tag: 平岩弓枝 
  1. 2012/05/07(月) 22:00:01|
  2. 2012
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

トラックバック

トラックバック URL
http://lazymiki.blog110.fc2.com/tb.php/1429-f9f06cfc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する