本と旅とそれから 下町ロケット/池井戸潤

本と旅とそれから

下町ロケット/池井戸潤

これは――「プロジェクトX(NHKの)」ですね。同種の面白さです。
まったく初めての作家さんで、今回初めてお名前すら知りましたが、この本は2011年上期の直木賞受賞作なんですね!

ええ、たいっへん面白うございました!
重たい単行本を持ち歩いてしまいましたよ~、できるだけ早く先が読みたくて。
「下町ロケット」

下町ロケット/池井戸潤(小学館)

読んでいる間に、「これ、ドラマ化したら面白いだろうな」と思ったのですが、やっぱりすでにドラマ化されていました。WOWWOWで放映されたとか。
主役が三上博史さん・・・鳥羽上皇かー。こめかみに青筋浮かせた演技、いいですね、毎週。この物語では、研究者上がりの町工場の社長・・・まあ、別にいいかも、彼でも。


物語全体としては、よく考えれば特に目新しいものがあるわけではなく、むしろすごく定型の、先が読めてしまう構成になってたと思うんです。

規模は小さいけれど、キラリと光る技術力を持つ中小規模のメーカー・佃製作所。その社長は、かつて宇宙ロケットの開発に携わって失敗した過去を持つ人物。この佃製作所が巨大企業と渡り合い、宇宙ロケットの打ち上げにその技術とプライドをかけて挑んでいく、というお話。

誰でも、そりゃー、佃製作所を応援しちゃいますよねー。

ちょっと「ハゲタカ(私はドラマの方しか見ていないんですが)」も思い出しました。
TV版の方では、後半、やはり高い技術力を持ったとあるメーカーを外資が買収しようとし、それを防衛しようとする日本のファンドとの攻防が描かれるんです。

本書の物語は、最初は特許を巡る法廷闘争から始まり、大企業との駆け引き、夢を追いかける技術屋と現実派の社員の社内対立、そしてクライマックスのロケット打ち上げ、と展開していきます。
どう考えても、最後は宇宙規模のハッピーエンドになるに違いなく、次々と持ちあがる様々なトラブルも、ひとつひとつクリアされていくことは見え見えなんですが。

・・・なんですが、いちいちわくわくして、上手くいくと喜んじゃうんだなぁ~。
まさに「プロジェクトX」のパターン。

殿村さんが特によかったです。
メインバンクから佃製作所に出向している経理部長。最初は、銀行の回し者、仲間になりきれない余所者、みたいな役回りなのですが、そのうち、銀行をクビになってもいい、佃製作所はいい会社だ!ここが好きなんだ!って感じの言動が続くようになり、外面的にはすました銀行員みたいでも、ハートは熱いんだな、というのが表われてきます。
彼が、帝国重工の査察係の横柄な態度にビシっと言い返すシーンは、感動ものでした。

ロケットの打ち上げというのは、残念ながら実際に見たことはないけれど、ものすごく感動するそうですね。物語の終盤では、エンジン・テストと実際の打ち上げという緊張のシーンが続くのですが、成功の報に接して、大の大人たちが涙を流して喜ぶ場面は、読んでいてスターバックスで私もうるっとしました。

みえみえの展開なのに、それでもうるっとくる。
全力で努力して、それが報われる瞬間というのは、ものすごいパワーが生まれるんですねぇ。
それを真正面から描いていて・・・単純で力強い感動とでも言いましょうか。

暦造りや、箱根駅伝と同じ種類の感動でもあるような。


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tag: 池井戸潤 直木賞 
  1. 2012/05/09(水) 22:00:01|
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