本と旅とそれから 星間商事株式会社社史編纂室/三浦しをん

本と旅とそれから

星間商事株式会社社史編纂室/三浦しをん

あらやだ。
ワタクシ、タイトルからしてこの小説は三浦しをんさん初のSFかと思ってましたわ。
星間商事は、「ほしま」商事という名の単なる現代日本の商社だったんですが、私ったらてっきり「せいかん」商事で、惑星間の貿易を行う未来の会社のお話かなー、なんて思ってた。

ともあれ、面白い1冊でした^^。
「星間商事株式会社社史編纂室」

星間商事株式会社社史編纂室/三浦しをん(筑摩書房)

タイトルはズラズラと漢字が並ぶばかりだし、表紙は何の愛想もないただ四角いばかりのビルだし、で、何を期待してよいのやらよくわからずとりあえず読み始めたのですが、とても楽しいお話でした。

愉快な仲間、成し遂げるべき使命、少しのスリル、かすかなほろ苦さ。
充実の日々(と、当人が思っているかどうかは不明なれど)。


会社組織におけるいわゆる窓際部署に所属するということは、例えば今の私なんかから見ると「いーじゃない、羨ましいよ」って感じがするのですが、当事者にとってはなかなかそうは言ってられないものがあるみたいですよね。特に、同期入社の知人・友人がバリバリやってる姿がすぐ近くにある場合なんかはそうだろうなぁ。

自分で自分の現在の境遇が結構気に入っている場合でも、それが世の中の主流と(大きく)離れていると、やっぱり引け目を感じてしまうというのは、共感できるわー。
仕事にしても、個人の境遇にしましても、ね。

三浦さんの小説が読んでいて心地いいのは、その視点が決して社会の主流派の上から目線じゃない、っていうことがひとつあるように思います。
自分の好きなもの、選んだ道は、世の中の主流じゃない。でも、だからといって無理に主流派になろうとしても、それでは自分が幸せを感じられない――そのジレンマに悩まずにいられない姿がとても共感できるのでした。

しかし、この主人公のオタク趣味。
ゲイの恋愛を主題にした小説を書いて友人と同人誌を作り、それを同人誌イベントで売る。主人公は、その趣味をひた隠しにしつつも、その趣味に夢中でもあるのでした。もしかすると、仕事に向ける熱意以上のものをこの趣味に向けている主人公――はは、その姿にも何となく共感できる。

「やおい」なんて言葉は、手持ちの電子版広辞苑には収録されておりません^^;。
まあ、人の趣味はいろいろです。でも、自分は別にゲイじゃないのにゲイの恋愛小説(しかもかなりドギツイものも含むらしい)に熱中するというのは――いや、だからまあ、人の趣味はいろいろですって。
変わった趣味で、しかものめり込み度がハンパでないために、「オタク」という呼称をもらってしまうわけですが、何と呼ばれようと好きなものは好きで、熱中している時はとても楽しい。

いいですよね。あれこれを忘れて熱中できることがあるって。たとえそれが「オタク的趣味」と呼ばれることであっても。そのちょっと後ろ暗いようなところが、逆に刺激になったりするのかしら。
ただ、オタク趣味って、いわゆるカミングアウトして開き直るまでが結構大変そう。開き直ってしまえば、もしかして同好の志なんかも見つかって楽しくなってくるのかも知れないけれど。

これは単なる推測ですが、結構多くの人が、人には言えないような、あるいはあんまり大きな声では言えないような趣味を持っていたりするんじゃないのかなー。
ワタシは・・・んー、ブログに書いていないような(てか、書くのを憚られるような)趣味、となりますと・・・趣味とは呼ばないようなことだったらば・・・ひっひっひ。全然ない、とは言わないかも。


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  1. 2012/05/27(日) 22:00:01|
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