本と旅とそれから 光/三浦しをん

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光/三浦しをん

ぐ、ぐぐぐ~~。
重い小説でした。途中でちらりと「読むのやめようか」という考えもよぎりましたが。
でも、すごい小説、とも言えるのかなぁ。パワーある・・・。しかしィ・・・。
「光」

光/三浦しをん(集英社

三浦さんの著作って、爆笑エッセイ以外の小説については、私の中では「爽やかキラキラ青春小説」と「何となく背筋ひんやりの冷たい現実小説」に分かれるのですが、「光」はとことん後者。

三浦さんの著作にはどれも英語タイトルがついていますが、この「光」の英語タイトルは"The Dark Light"。


Dark Lightって、何だか自家撞着的言葉って気がしますが・・・。
でも、「光」よりも物語の内容を的確に反映した言葉な気もします。

この小説の初出は2006~2007年。
物語の冒頭で、主人公の少年が暮らす島が津波に襲われ、主人公のほかわずか数名をのぞいた島民がすべて死亡するという大惨事が起きます。
どうしても大震災と重なってきて戦慄するのですが・・・そこは何とか読み進みます。

そして、物語は十数年の歳月を飛び、成人し、それぞれの生活をおくる主人公とかつての恋人、友人たち。しかし、島での過去は、ある日再び主人公に暗く覆いかぶさってきて・・・というのも、津波に襲われ、死に満ちた島で、主人公はさらにある殺人を犯していたからなのでした。

この主人公の死生観が独特です。
一部引用しようかと思いましたが、長くなるのと、鉛のように重く冷たい文章なので、やめときます。
もう、この世のすべてについて冷めているというか。諦めているというか。
結局、何があろうと何も変わらない、死ぬまで生きるだけのことだ、というような――。

多感な思春期に、身の回りのすべてを失い死に覆い尽くされる経験をすれば、こんな考えを持つようにもなるのでしょうか。
これについても、どうしても、震災のせいでそんな立場に置かれた少年が実際にいるのだろうか、いるのかも知れない、と考えてしまいます。

確か、「きみはポラリス」の中の短編にも、若い頃に殺人を犯しながら、その過去を隠し、背負いつつその後の人生を別々に生きていく元恋人たちの物語がありました。
人に言えない恐ろしい過去を抱えたままずっと生きていくのは、どんなに重苦しいことでしょう。
それとも、ものの見方や考え方を変えれば、心を軽くすることができるのでしょうか・・・。

良心の呵責や、露見する恐怖に苛まれて破滅していく、という人間像の方が、嫌だけれど納得はできるように思えるのですが、それって前時代的な考え方なのかしら。
殺人に至る動機について自分が深く納得していれば、罪悪感や恐怖を乗り越えることができるのでしょうか。

最後に、結局は妻と娘の元に戻ってくる主人公。
実はすべてを知ってしまった妻は、それでも何もなかったように夫を迎え入れる。
そして主人公は、妻がすべてを知ってしまったことに何となく気付きつつも、二人はその後の人生を再びおくり続ける――。

うひゃー。
塩水か何かでじっとり湿った服を着たまま布団に入って寝て下さい、みたいなぞっとする話です。

しっかし三浦さん、どうしてこうした物語を思いつくかな~^^;。
どうしてこうした物語を、本1冊分書き上げようと思うかなぁ。そこのところはすごく疑問です。

途中でやめずに最後まで読んでよかったと思いますが、この本を再び読み直そうと思うことはないんじゃないかとも思うのでした。


webcitron01.gif


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tag: 三浦しをん 
  1. 2012/06/16(土) 22:00:01|
  2. 2012
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今日、本を買いました。
「君はポラリス」
恋愛短編小説ですが、いきなり最初から切ない~

Mikiさんのブログを読んで、いつも読んでみたいな~って思っていました。本屋に行くと目の前にあったので、よし!これ!と買ってみましたよん。
  1. 2012/06/30(土) 19:50:35 |
  2. URL |
  3. eikita #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

eikitaさん、

「君はポラリス」ですか^^。
不思議な設定の恋愛小説が詰まってますよねー。
三浦しをんさんのシリアス系の小説って、ものによっては(この「光」なんかその最たるものですが)「作品としてはすごいんだろうと思うけど、私はちょっとパス!」と言いたくなるものもあるけど、「ポラリス」は私も「いいなー」と思いました。
長編がおイヤでなかったら、「風が強く吹いている」も、いつか読んでみてねー。
箱根駅伝の話で、感動すると思うな~。
  1. 2012/07/01(日) 17:18:31 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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