本と旅とそれから 親鸞/五木寛之

本と旅とそれから

親鸞/五木寛之

うぅぅむ、面白き本でございました~!
私がその著作をこれまで1冊として読んだことのない大物(有名)作家さんというのは恥ずかしながら大変多いのですが(^^;)、この本を読むまでは、五木寛之さんもそのひとりでした。

本書「親鸞」は、書店で平積みになっていた頃、私がしょっちゅう前を通る書店のポップに「読みだしたらやめられない」的な宣伝文句が書いてあるのを見て、「宗教家を主人公にした小説にそこまでのめり込めるもんなんですかァ~?」などと思いっきり懐疑的な目を向けていたものですが――。
「親鸞(上)」「親鸞(下)」

親鸞(上)(下)/五木寛之(講談社)

いやー、ホント、のめり込んで読みました。
で、結構あれこれ目からウロコでした。というか、単に自分の不明が明らかになっただけってことなんでしょうけれど。
例えば、「他力本願」というような言葉について、親鸞聖人ご自身から、懇切丁寧なご説明を頂き、大変ありがたいことでございました。


布教も選挙も、本来複雑かつ微妙なアイディアを多くの人に広めんとすると、単純化による歪みというリスクを伴うものなのですねぇ。

ひと言念仏を唱えれば、それだけで救われるのか。
どんな悪人だって救われるなら、悪事はし放題でよいのか。
専修念仏という考えは、ひとつ間違えば社会に大混乱を招く教えでもある。
情けないことにワタクシ、この問題について小説中で読んでいる時は「ふむふむなるほどー」なんて思ってましたが、本を離れてさあ説明できるかと考えれば――できません^^;。

物語は、天台仏教を学ぶべく比叡山に入った青年が、やがてお山を下り野の聖となって法然上人の弟子となり、念仏を通してさらに先の境地へと進んでいく姿を描いています。
そして、主人公は最後に越後に流罪となり、その出発に当たってようやく「親鸞」という名を名乗るようになるのでした。

本書には、続編があるのです。非常に楽しみ!

親鸞上人って、親鸞という名前になるまでにずい分名前を変えているんですねぇ。最初は俗世の子供として登場しますが・・・そっかー、親鸞って日野一族の出だったのか。
・・・だから日野誕生院に親鸞産湯の井戸とか残っているのか(まだ行ったことありませんが)!ひゃー、今頃知った・・・。
「これが後の親鸞である」みたいな文はまるでないのですが、さすがに主人公だからそのうち親鸞になるんだろうなーと思って読むわけですが、なったのはほんとに最後の最後でした。

それから安楽房遵西(あんらくぼうじゅんさい)にもびっくりしたー。
何年か前に東山の安楽寺を訪れたとき、この寺を建てた安楽と住蓮のもとで、後鳥羽上皇寵愛の女官が上皇に無断で出家してしまったせいで、ふたりは上皇の怒りをかって死罪になった、という話は聞いていたのですが、小説に登場する安楽房遵西が「あの」安楽だとは、最後にその事件の話になるまで気づかなかった^^;。

でも、そうそう、安楽寺には確か親鸞聖人のものだという笠が置いてあったんでした。親鸞もその一件に関連して流罪になるとは覚えていたけれど、「安楽って親鸞の弟子だったのかな?だから親鸞は監督不行き届きの責任を取らされて流罪になったのかな?」とか思ってました。
――違います。
安楽(住蓮もだけれど、小説には名前しか登場しません)も親鸞も法然上人の弟子じゃ。

本書中の安楽房はかなりエキセントリックな人物に描かれており、これは「あとがき」にも、まったく五木さんの創作だとことわってあります。
あの端正なお寺の佇まいからは想像し難い人物像ですが、大変インパクトあります。

4回も天台座主になったという慈円大僧正なんかも、これまでは百人一首カルタの坊主めくりの1枚ぐらいにしか思ってませんでしたが(あ~ら罰当たり・・・)、いやー、頭の中ですごーく生き生きした人間として像を結びました。この後きっと続編でもまだ出て来るわね。ちょっと不気味な人物でもあるから、いったい・・・。ぐふふ。

それにしても、信仰が人々に、社会にこれほど深刻、重大な意味を持っていた時代の姿というのは、とても遠いものに思えます。
野の聖としてみすぼらしい姿で京の町中を歩き回る親鸞の物語を読みながら、ふっと、あの京都駅前の巨大な二つの本願寺の威容が頭に浮かびました。浄土真宗、一向宗といえば、織田信長と戦ったりもしたのですよね。信仰の力ってすごいものです。あらためてつくづく思いました。


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  1. 2012/09/08(土) 22:00:02|
  2. 2012
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コメント

をを~、しぶい本を選択しましたな。感想を聞いてると読みたくなった。
宗教関係といえば、私は「面白いキリスト教」がなかなか面白いにもかかわらず、途中のまんまです。これも終えねば。仏教版も出たことだし。

慈円大僧正!
確かに百人一首でしか認識してないよね(^^)

三浦しをん全読破を目指していたのだねえ。
私は先日「白い蛇~」を読みました。初めての三浦しをん作品にして、とっても好きなタイプの世界観の作品だったので喜んでます。
  1. 2012/09/12(水) 14:30:04 |
  2. URL |
  3. しの #2nAugjbc
  4. [ 編集 ]

しのちゃん、

お久しぶりィ♪

タイトルだけ見ると、渋そうな本なんだけど、かなり冒険活劇ちっくでもあるんだよ。今続編を読んでいるけど、越後の親鸞聖人は一層ワイルドです。

三浦しをんさん、もうあとちょっとで大方制覇できる予定。

>初めての三浦しをn作品

じゃ、ないじゃん。
しのちゃん以前、「まほろ駅前~」を読んでいるじゃないかー。
ほら、町田駅前で営業してる、二人組の便利屋のにーちゃんたちの話だよ。
「白い蛇」がお気に召したらば、次は「神去なあなあ日常」なんかオススメでーす♪
  1. 2012/09/12(水) 21:44:47 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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