本と旅とそれから 新源氏物語/田辺聖子

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新源氏物語/田辺聖子

すばらしい!
源氏物語をここまで楽しめるとは期待していませんでした。源氏が須磨にわび住まいするくだりを読んでいたときなど、熱中したあまり電車を乗り過ごし難儀しました(T_T)夜11時過ぎに・・・。
「新源氏物語(上)」「新源氏物語(中)」「新源氏物語(下)」


新源氏物語(上)(中)(下)/田辺聖子(新潮文庫)

源氏物語を古文で読むというのはどう考えても私にはできそうにないので最初から論外なのですが、現代語訳版にしても、何しろ長編なのでなかなか手を出せずにいました。
それが先日、図書館の文庫本の棚に田辺聖子さんのものを見つけ、これならとっつき易いかしらと期待して借りてきました。

「『新』源氏物語」とつくだけあって、おそらく「超」がみっつぐらい付きそうな現代語(訳)版。
何しろ、スタートがいきなり「空蝉」で、あの有名な(受験勉強で?)「いつの時代のことでしたか」という始まりではないし。

それ以降はかなり原典の筋に忠実なのだ、と巻末の解説にありました。
どの部分についても、なんとなく「ああ、知ってる、あの場面だな」と思うのですが、全編通して現代語訳を読んだことのない私がなぜそう思うかといえば、やっぱり大和和紀さんの「あさきゆめみし」のお蔭でしょうね。・・・でもあれも、最後の方は(貸してくれる人がいなくなったので)読んでないので、紫の上の最期や宇治十帖がどんなふうかは知らないのです。さぞかし美しく描かれていたのだろうなぁ。

ちなみに、宇治十帖は本書には含まれていないので、また後で読みたいと思います。

それにしても、昔も今も、いまひとつ光源氏には共感できぬ私です。
あそこまで女性にルーズな、手当たり次第で見境のない男もないかと思います。いやまあ、そりゃ架空の人物なんだからといえばそれまでですが。
私が好きなのは夕霧と柏木ですよ。第二世代ってとこですね。

夕霧は真面目でいいじゃないですか。
真面目な人といっても、「面白みのない人間」というニュアンスが強い場合もあるけれど、夕霧は一途で誠実だもの。それなりの美しさや風流はちゃんと身に付けているし。
女二の宮に言い寄ったあげく思いは遂げられず、空しく朝帰りとなったものの雲井雁の元に帰るのも格好がつかなくて、結局、育ての母である花散里ののところに行くなんてあたりは、大の男の近衛の大将だというのに、可愛らしいというか、花散里にしてみたら、ホントに愛しいだろうなと思います。

柏木はただもう哀れ。
女二の宮を落葉の宮なんて言うくだりは「ひどい男!」とも思いましたが、最後にはそのことを後悔もし、源氏への良心の呵責に苛まれ、女三の宮にも結局は心を通わせられず、空しいままはかなくなってしまうというのは・・・可哀想にねぇ。誰にも真相を打ち明けられず、親友・夕霧にただ笛を渡すところなんて・・・うぅ、つらかっただろうなあ、柏木よ!
しかし、女三の宮は、命をかけた恋をするに値するような女性でしょうか。
それについては、朱雀院の養育方針についても大いに疑問を感じるのでした。

そういえば、「あさきゆめみし」では、女三の宮が、いつも猫を抱いている、虚ろな目の少々気味悪い女性に描かれていたのが印象的でした。まるで、源氏にも紫の上にも柏木にも不幸を運んで来る存在のような。まあ実際そんな役回りなのですが、その大もとは朱雀院なんですからね。彼女自身は、いわゆる「白〇美」といわれるタイプの、身分は高く美しいけれど頭の中はかなり空っぽ、という人で、でも、別にそれは彼女の「罪」ではないだろうと思うし。

女性は誰がいいかといえば、まあこれはやはり紫の上かしら?平安の昔も今も「理想の女性」で通る、美しく賢く優しく、そして可愛い人ですね。
あとは・・・やっぱり花散里もよいですね。困ったときや寂しい時にばかり思い出されるような存在だそうですが、恋人としてはともかく、友人として、あるいは夕霧のように母と慕う女性としては貴重な人と思えます。

そんなわけで、どうにも共感できない光源氏ではありますが、衰弱して死の床についた紫の上を看病する彼の姿にはさすがに同情しました。
柏木、女二の宮の母・御息所、そして紫の上と、終盤は人が亡くなる場面が続き、なんとも寂しい雰囲気が漂います。どれほど身分の高い人、美貌や才能に恵まれ、人に羨まれるような人にも死は隔てなく訪れ、また愛する人を失う悲しみもまた人を選ばない。
それは、やはり昔も今も変わらぬこと。

でも、貴族には出家という道があるのが何だか羨ましい。
生きながら世を捨てる、なんて真似は、今の世ではなかなか出来ないことですものね・・・。


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