本と旅とそれから フリーター、家を買う。/有川浩

本と旅とそれから

フリーター、家を買う。/有川浩

某検定が終わって、嬉々として図書館に本を借りに出掛けたものの、予約本はともかく、いったい何を借りようかしらと書棚の間をウロウロ。
あれこれ興味のある本があったはずなんだけど~、えーっと。

そうした時に思い浮かぶのが、いわゆる人気作家さんの名前ばっかりというのが何だか・・・^^;。
しかも、目にとまるのがTVドラマ化されたすごく知られた作品っていうのも何なんだか。

えーっと?主演は・・・相葉クン?二宮クン?どちらかでした。
「フリーター、家を買う。」

フリーター、家を買う。/有川浩(幻冬舎)

でも、ドラマはチラリとも見なかったので、ストーリーはまったく知りませんでした。アイドルが主演ということで、軽い話、もしかするとドタバタ・コメディなのかなと思っていました。
あ、アイドルが主演だからということだけでなく、有川浩さんの小説だから、というのもあったかな。やっぱり、「図書館戦争」シリーズの印象が強かったので。


「図書館戦争」シリーズを別にすれば、私は有川さんの本をあんまり読んだことがないのですが、それでも敢えて言えば、これまで読んだ有川作品の中で一番好きです。「阪急電車」は、私にはちょっと説教クサさが強すぎました。きっと素直じゃないせいですね、ワタクシが。

前半は結構暗い物語展開でした。
新卒入社した会社に馴染めず3か月でフリーターとなった主人公が、再就活するような、アルバイトするような、引き籠りなような、でもって父親ともケンカばかり、といった状況を続けるうち、気づけば母親が重度のうつ病を患うようになっていた、というのですから。

その母の姿に、そして嫁いで遠方に暮らすしっかり者の姉から明かされた長年にわたるご近所との確執の事実に、ようやく目を覚まされた主人公が、まさにそこから心を入れ替え、力強く自らの人生を切り開いていくのが中盤以降。
ある意味、あまりにも真っ直ぐな「頑張れば報われる」、「やれば何とかなる」な物語ですが、もちろんそこがいいとこなのです。

暗いまま終わってどうする。
そこはかとない希望、とかじゃなくて、主人公は苦難を乗り越えた後、明るい光射す世界に歩み出して行くのですよ!よしよし。読んでてスカっとしますね。

ちょっと、三浦しをんさんの物語世界に似た感じになってたかな、と思いました。

人物像もね。主人公もですが、心を入れ替えてからの彼が出遭うガテン系の人たちがよいですね。
学歴とは縁がないけれど、別の意味での賢さを溢れるほど備えた、工事現場のおっちゃんたち。彼らに、自らの、そして家庭の苦しい事情を話していて泣いてしまう主人公。その、ある程度距離が離れているがゆえに隠さず話せるっていうのは、よ~くわかります。
最近の知り合いだっていう点も結構カギなんですよね。

主人公が困難を極める再就職活動をやり通すことができたのは、ひとえにお母さんへの思いから。
この辺りも、労わるべき世代に入った親を持つ読み手には激しく共感できるところ。そこから彼の人生が明るく開けていくというのも、いかにもおハナシ的なんだけれど、嬉しい。

土木会社に再就職を果たした彼に、ほどなく後輩ができる。
この二人の後輩もまたいい人物たちなのですねぇ。このあたりも、ちょっと三浦しをん作品と共通する感じ。困ったところもあるんだけれど、生来の愛嬌みたいなものがあって人に受け入れられるという、ある意味理想の人物像。彼らが登場してからは、物語はひたすら明るさへ向かって進んでいきます。

本書を読んで、それまでの「有川浩さんはもういいかな」みたいな思いが消えました。
図書館で見つけたら、また読んでみたいです――が、初期の作品以外にしようかな^^;。


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  1. 2012/12/23(日) 22:00:01|
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