本と旅とそれから 格闘する者に〇(まる)/三浦しをん

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格闘する者に〇(まる)/三浦しをん

ここのところ間が空きましたが、三浦しをん全作品読破の個人キャンペーンは続行中です。
実は、三浦さんにとって長編デビュー作である本書を最後に、とりあえず主な作品は読破かな!と思っていたのですが、あれやこれやでちょっと三浦作品から目を離していたら、また何冊か新刊が出てました。「神去なあなあ~」の続編やら何やら、読破は先延ばしになりましたが、新しい本が出ていたのは大変嬉しいことです。早速図書館に予約入れました♪
「格闘する者に〇」

格闘する者に〇(まる)/三浦しをん(草思社)

ライトノベルみたいな表紙ですこと。
これは、三浦さんが大学を卒業してまだ間もない頃に書かれた小説ですね。きっと主人公のモデルは三浦さんご自身、登場する大学の友人たちも、(彼女のエッセイから推察するに)実在のモデルがいるとみました。
主人公の弟は――多少、理想が加味されているかも知れない、やっぱり三浦さんの弟さんですか?


漫画漬けの学生時代、そこから発展して漫画の出版社への就職を夢見て就活する主人公の行動は、まあおそらくここまで漫画っぽくはなかったでしょうけど三浦さんの実体験が基になっているのでしょう。
結局三浦さんは、出版社への就職はかなわなかったものの、早川書房への就職活動がきっかけで某編集者の目にとまって、著述業への道を歩み始めたということだったと思います。

まあ・・・世の中に、作家を志望する人間はごまんといるでしょうが、その中から直木賞作家となれるのは、えーと、毎年多くて4人だけですものね。そうした稀有な才能が世に出る陰には、やはり誰かしら編集者との出会いってものがあるってことなんですね。

が、本書中の主人公は、作品の時間枠の中ではそのような出会いを果たすには至らず、何となくゆる~いペースでK談社やら集A社の就職試験・面接を受けては不成功に終わる日々。
なのにさして切羽詰った雰囲気も感じられないのは、実際に三浦さんもそうだったのかしら。確か、古本屋さんでのバイトを続けていて、次第に物書きで生活していけるようになり、30歳になる前に見事直木賞を獲られるんだったはず。

そうした後の成功を知った後で振り返れば、憂しと見し世ぞ今は・・・てなことでしょうが、将来がまったく見えなかった頃に、絶望もせずグレもせず、マイペースを保っていくことができたというのは、何だかそれはそれだけで大した才能のようにも思えます。

主人公の弟クンというのが登場しますが、この弟は主人公の異母弟という設定。背が高くカッコよく、異母姉とはさらっと仲良し。
三浦さんのエッセイを読むと、三浦さんて少々ブラコンかしらってところもちらほら見られるのですが、そんな感覚が一層明確に、少々美化して描かれているような、作中の姉弟関係です。

大手出版社なんて、熱烈に就職を望む大学生が山ほどいることでしょう。でも実際に入社できる人数など数えるほどで、もしかすると彼らは直木賞作家に負けないほどの稀有な才能の持ち主なんじゃないかしら。その選抜のプロセスをちらりと垣間見る、面接試験のくだりなどは、大変面白く読みました。
・・・おそらく今は、三浦さんご自身にとってさえ、幻のごとく遠く思える日々じゃないかしら。

いろいろあっても、やはり楽しそうな若者の日々のお話でした。


webcitron01.gif


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tag: 三浦しをん 
  1. 2013/01/10(木) 22:00:01|
  2. 2013
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コメント

こんばんは
この本は知らなかったです。
また読む本が増えて嬉しいですね。

先ほど小暮荘物語を読み終えました。
また違ったしをんさんでしたね。
学生の時に下宿した
アパートと雰囲気似ていました。
天井に穴はなかったですが^^

  1. 2013/01/16(水) 20:29:15 |
  2. URL |
  3. 松風 #-
  4. [ 編集 ]

松風さん、

お返事が遅くなり、失礼しました。

私は音楽をあまり聞かないので、ほかの多くの方が音楽に求めているものを本で満たしているのかな~、などと思ったりします。
今にも倒壊しそうなボロ(あ、松風さんがお住まいになった下宿はもちろん違うと思いますが)下宿で、和気あいあいとした学生生活・・・。
ちょっと大人の童話のようです。

しをんさんの新刊、図書館の順番待ちは長いです^^;。
  1. 2013/01/20(日) 20:35:32 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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