本と旅とそれから スキップ/北村薫

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スキップ/北村薫

これまで、「ある本を読んで楽しいと思うかどうか」という問いの答えを決めるのは、一にも二にも、その本が読み手、つまり私の好みに合っているかどうかだと思っていました。
最近は、それにプラスして、自分がその本を手に取るタイミングというのも大事なんだな、と思います。
・・・まあそういえば、最初に「西行花伝」を読んだときと二度目に読んだときで、ぜんっぜん違う本読み体験をしたというのも、タイミングのせいだろうと思うのですが。
「スキップ」

スキップ/北村薫(新潮文庫)

いやはやそれにしても、本の感想文を書く以前に、ここのところ自分という人間のモタつきぶりに呆れておりまするよ。なんなんだこの要領の悪さは。「時間をもっと効率よく使うよう心がけたい」などと、あちこちで言っているクセに全然実行にうつせていない。
以前はここまでひどくはなかったはずだけれど。これもオババ効果なんでしょーか。


意図的ではありませんが、この感覚はちょっと、本書「スキップ」の主人公に降ってわいた不可解な体験に通じるものがあります。
主人公の少女・真理子は、高校生だったある日、昼寝をして目覚めたら、25年という歳月を飛び越して、高校生の娘を持つ40歳代の女性になっていたのです。で、目覚めた時点を現在として物語が進行していきます。

まったく見知らぬ美少女が自分の娘だと言い、まったく見知らぬ中年のオジサンが自分の夫だという。
両親はどうしたわけだかすでに他界していて、昼寝の前までは制服の高校生だったというのに、今ではガラの悪い若者に「ババア」呼ばわりされる身の上。
さらに、現在の彼女は高校の先生だということで、もうあと数日で春休みが終わり、新学期が始まってしまう。どーするんだ、自分が高校生(しかも2年生)だというのに、高校の先生やれるのかっ?!

で、話があちゃこちゃ飛びますが、冒頭に「ある本を読んで楽しく思えるかどうかは、その本を手に取るタイミングにもよると思う」と書いたのは、私がこの本のこの辺り――つまり、いきなり時間をスキップしてほとんど見知らぬ世界に放り込まれることになった主人公に、大きなストレスがのしかかる辺り――を読んだとき、私はあんまりそうしたストレスフルなお話を読みたい気分じゃなかったからなんです。

だもので、実をいえば、この本の前半を読むのは、ちょっとしんどかったです。お気楽に楽しめなかった。戸惑う主人公。困難に直面する主人公。物語の中の主人公は、少なくとも内面的には若干17歳の少女だというのに、いやむしろそれだからなのか、困難を前にしても後ろを向いて逃げ出すことなく敢然と立ち向かい、ひとつひとつそれを乗り越えていく力強い人物なのですが、読んでる私の方が、「こんなん大変すぎる!パスしようよ!とりあえず学校は退職!」なんてヘコタレ気分だったんですよね。

明らかにこの読み方は違う。

本の読み方に正しいとか間違っているということはない、というのがもしかすると正論でしょうが、いやそれにしてもこの読み方は間違っているよ~。
「困難を乗り越える主人公の姿に励まされる」ためには、せめてその困難がどんなものかを読んで了解しなくっちゃ始まらないでしょうに。

私の場合、そこら辺を読んでいた時にちょっと本を離れました。1週間まるまる本を読まずに、仕事でもそれまでと全然違うことを1週間やりました。
・・・そしたら思いがけずリフレッシュ。

で、再び「スキップ」を読みだしたら、ストーリー的にもそのあとは困難を「乗り越える」方へと展開していったので比較的ラクに、楽しんで読めたのでした。

青春時代から人生で最も華やかな頃にかけての25年が自分の中からスッポリ抜け落ちるという、なかなか想像し難い経験をしながらも、なお前へと進んで行く主人公、強し。
そして日々少しずつどこからともなく滲み出すように知れてくる、スキップしてしまった年月を生きていた「自分」が、いかに周囲から愛される、よき人であったかということ。

忘れてしまうにはあまりにも惜しい年月。
しかも、周囲には「忘れてしまった(=記憶喪失)」としか説明できないものの、本人の中ではどうしても「年月を飛び越えて過去からいきなりやって来た」という感覚なわけですからねー。釈然としないわねー、まったく。

結局、「スキップ」の謎解きは何もなされぬまま、ただただ主人公の前進エネルギーだけが光り輝く中、物語は終了します。力強いんだけど――ワタシ的にはちょっと気圧される感じも残る物語でした。


webcitron01.gif


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