本と旅とそれから 小暮写眞館/宮部みゆき

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小暮写眞館/宮部みゆき

この本を手にとる直前まで、私は高村薫さんの「太陽を曳く馬」という本に大苦戦しておりました。上下本の上巻を三分の二ぐらい読んだところで、ついに断念してしまったのですが――。
「マークスの山」に始まる合田刑事のシリーズ第4作ということで期待も大きかったのですが、は、話の内容が重すぎるというか・・・冷たい鉄の塊をなめてるみたいな感じといいますか、とにかく「ダメだ、もう続けられん」と思ったのでした。

それで、本読みでまで疲れてちゃかなわん、と思ってたところに宮部さんの棚にこの装丁の綺麗な1冊を見つけて、ふら~っと借りてきたというわけです。
「小暮写眞館」

小暮写眞館/宮部みゆき(講談社)

ああ、春の色彩ってなんて柔らかくて心和むのかしら。
この風景は、物語の内容と、ちょっとだけ関係はあります。ちょっと、ですが。
700ページ強の、4つのほとんど長編に近いぐらいの中編から成るお話です。主要登場人物が共通で、時間的にもつながっているので、4話から成るひとつの長編といってよいかも知れません。


楽しめました。宮部さんの本なので、まずはずす心配はなかったけれど。
かつて写真館だった古いたてものに引っ越したとあるファミリーと彼らを取り巻く人々を巡る物語です。
主人公・英一(高校生)の1人称で語られているのですが、厳密にいうと、1人称というよりも1.2人称ぐらいの感じ。微妙な距離がある感じです。

全4話のうち、最初の3話は、ふとしたことで英一のもとに持ち込まれる不思議な写真の謎解きのお話ですが、その3話も入れて四つのお話はいずれも、人間物語なのですね。

何といっても魅力なのは、主人公とその家族、友人たちの人間関係。こんな家族っていいね、こんな友人たちがいたらいいな、と思わせる人々であり、それぞれのつながりです。
そういえば、私はこの本を読んでいる間ずっと、同時進行であさのあつこさんの「バッテリー」を読んでいる(現段階でまだ進行中)のですが、「小暮」の主人公の弟・ピカちゃんと、「バッテリー」の主人公(のひとり)の弟・青波(せいは)が、ちょっと似た感じです。

どちらも大変大人受けする可愛らしさをそなえていて、よく見たら背中に天使の羽根が生えているんじゃないかと思わせるような透き通った(?)小学生なのです。どちらも体が弱くて、両親や主人公である兄、そして兄の友人たちから愛され、大切にされる存在です。ビジュアル的には、日本人っていうより、金髪碧眼の少年を想像してしまいます。

「バッテリー」の感想文はそのうち大いに気張って書きたいと思いますが、そこに登場する少年たち(こちらは中学生)にしろ本書の高校生たちにしろ――うっそー、世の中の少年少女たちって、こんなに大人びてる~?エっらくしっかりしてるんですけど。もちろん、悩み迷うことも多いんだけど、その悩み迷い方すら大人びてます。恩田陸さんの「夜ピク」なんかでも思いましたけどね。物語に描かれると、人物像って大人びるんですかね。

高齢者ワールドへの入り口が次第にはっきり見えるようになってきたワタクシなど、本書を読みながら何度も「ワタシにこの対応はできない」と思いましたもの――「この対応」というのはつまり、これほどの立派な対応、ってことです。なんとまあ、彼らはしっかりしたものの考え方ができるものでしょうか。

・・・振り返ってみれば、確かにいたような気もしますけどね、私の「高校時代」にも。
どんな大人にも負けないような、しっかりした自分を持っているように見える同級生というのが。
どんな苦しい、あるいは忘れてしまいたいくらい恥ずかしい経験さえも、こんなふうに生きていればいずれしっかりと将来への肥やしになるんでしょうねぇ。
私なぞは、速攻ゴミ箱行き!みたいな経験が山積ですが(・・・というのもトホホなことです^^;)。

少年たちの身近にいる大人もいいんですねぇ。主に親ですが。
多くの場合、年上の友人のような存在です。社会的な役割をしっかり果たしつつ、適度にハメをはずしておバカな振る舞いもしつつ、彼ら自身もやはり悩み迷いながら、やはりやっぱり大人の存在感もある。

まあ、主人公やその友人たちについては、ちょっとのその余裕ある人間っぷりがウソくさく思えなくもないのですが、物語の中だと思えば読んでいて爽快でもあります。
「青春の煌めく日々」みたいな、クサ~いフレーズがちょっと頭をよぎったりしたのでした。


webcitron01.gif


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  1. 2013/03/25(月) 22:00:01|
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