本と旅とそれから バッテリーⅠ~Ⅵ/あさのあつこ

本と旅とそれから

バッテリーⅠ~Ⅵ/あさのあつこ

すばらしい!!

さすが、あさのあつこさんの代表作として、常に真っ先に挙げられる作品です。
これまで、「だってキホン、児童書でしょー?」などと思い、積極的に読もうと思いもしなかったのですが(ひとつには、うちの図書館に入っている文庫版が、いつ見ても第一巻が貸し出し中だったせいもあります)。
今回、たまたま第一巻から棚に揃っていたので、まず最初の3冊を借りてきたのですが、あまりの感動に4巻以降は即購入、その後は、読み終えてしまうのが惜しくてちびちびちびちび読んでいたのですが、とうとう最後まで読んでしまいました(T_T)。
「バッテリーⅠ」「バッテリーⅡ」
バッテリーⅠ~Ⅵ/あさのあつこ
(角川文庫)


第1巻の末尾に、文庫版唯一、第三者による「解説」が添えられていますが、その著者が三浦しをんさんであるのも、大の三浦しをんファンであるワタクシには感涙ものです。 
「バッテリーⅢ」「バッテリーⅣ」そして、この「バッテリー」がいかに三浦さんを感動させたかということが、大変容易に想像されもします。少年たちの人間関係の描写、そのまま男女の恋愛関係の描写にも使えそうな表現がたくさん。恋愛とか友情とか、名称は異なっても、人と人が本気で惹かれあう場合の描写は似てくるものなのか、と思ったり。
とにかく、友情物語とか、スポ根物語とか、単純なラベルを貼って欲しくない、貼
「バッテリーⅤ」「バッテリーⅥ」らせないゾ、と、三浦さんは誰を相手かはわかりませんが、凄んでみせるのでした。

確かに、描き出される少年たちの人物像も心情も人間関係も、とても繊細で複雑で曖昧で、そんなにも繊細で複雑で曖昧な何かを描写できるとは、日本語も大したものだなー、そして日本語を操るプロのもの書きさんってすごいなー、などと思ったりしますが、それにしても、中学生の心理ってこれほどのものなんだろうか?

以前、恩田さんの「夜ピク」を読んだときに、高校生がこれだけのことを考えるだろうかと思ったものですが、「バッテリー」の主人公たちは中学生、しかも物語スタート時点では、これから中学1年生になるというような若さなんです。

自分が高校生の頃は、自分が中学生の頃は、なんて考えてみてもほとんど意味がない感じです。
そもそも、あまりにも昔のことになってしまって、明確に思い出せそうにないし^^;(たぶん前にもこんなこと書いたなー・・・)。
にしても、彼らのセリフ回しからして、あれは大人だー。特に中学3年の先輩陣のやりとりなんて、ほんっと大人の男って感じで――まあ、「俺も長いこと生きてきたけど」なんてセリフを、15歳の少年たちが真顔で言い合うなんてあたりが、子供っぽいという感じではあるのですが。

でも、やっぱり思いますが、文章に表した時点で、人の心情は大人っぽくなってしまうんでしょう。子供の心理は、詩にすることはできるかも知れないけど、散文にはおさめられない気がします。

半年だか1年だか前、TVで映像化された「バッテリー」を、ちょこっと見たことがあります。
小説の2巻目までぐらいだったと思います。おそらく、原作通りの中学生ぐらいの少年を起用してのドラマ化だったと思います。
その映像では、少年は、まんま少年でした。子供っぽい雰囲気の。そのイメージで小説を読んだら、小説の中の少年たちは、ずーーっと大人でした。

まあ・・・年齢だとか、少年か大人かなんてことも、あんまり重要じゃないのかも。
ただもう、そこにいる人間たちの、その、何というか、懸命さというか。今を生きるっぷりというか・・・何だこの日本語は!とにかく、そんな姿が愛しいというか何というか――やれやれ。

主人公・巧も大変個性的なキャラクターですが、彼を取り巻く人間は誰もかれもが非常にいい。
「巧」とバッテリーを組む、「豪」という名を与えられた少年はもちろん、巧の弟・青波、チームの先輩・海音寺キャプテン、同輩の少年たち、そして後半に登場する対戦相手の学校のメンバーたち。

どのひとりをとっても、軽く扱われていません。物語での出番の少ない登場人物ですら、何かこう、ずっしりと、重力分の重さを持って立ってるなって感じがします。きっと彼らには彼らが主役の別の物語があるんだな、と思わせるような。

最終巻のあとがきに、もしかすると将来、「バッテリー」のその後が描かれることがあるかもしれない、という含みを持たせたメッセージがあります。
是非是非、それが実現しますように。また、この素晴らしい物語の続きが読めますように。


webcitron01.gif


My Favorite Books(お気に入りの本のブクログ)
BOOKS INDEX(作家別感想文一覧)



関連記事
tag: あさのあつこ 
  1. 2013/03/25(月) 22:00:02|
  2. 2013
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

トラックバック

トラックバック URL
http://lazymiki.blog110.fc2.com/tb.php/1552-c1e9769f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する