本と旅とそれから 震度ゼロ/横山秀夫

本と旅とそれから

震度ゼロ/横山秀夫

横山秀夫さんの本、久しぶりです。
一番最近が・・・「ルパンの消息」かしら。印象の強さでは、その前に読んだ「クライマーズ・ハイ」の方が上です。あれは、登山の話と日航機墜落事故を組み合わせた迫力ある物語でした。

今回は、某県警の一課長の失踪事件と、阪神大震災が組み合わせられたお話です。
「震度ゼロ」

震度ゼロ/横山秀夫(朝日文庫)

N県警ってことですが・・・長野か新潟ですね。
官舎、というか、社宅でもそうなんでしょうが、つまり、同じ職場で働く人間が、家に帰っても同じ場所に集まっているといるというのは、いかにも息苦しいことです。
職場では夫たちが、家では妻たちが、出世のために計算し、疑い、時に陰謀をめぐらす。うわー・・・。


物語が始まる「時」は、阪神大震災の起きた日。最初は小さな数字から始まった死傷者の数が、時間が経つにつれてどんどんと大きくなっていく。一刻も早く、救助の応援のために現地に向かいたいと、日本中の警察がそればかり思っていた――はずのその頃、このN県警本部では、幹部たちが、ひとりの課長の失踪を発端に、自分たちの出世や保身や縄張り争いに没頭していた。

まず第一に、いくら何でも日本の警察、ここまで堕ちてはいないでしょう?!と、思います。
こんなことじゃ困るっていうか恐ろしいですよー。
あちこちの小説やドラマで、警察組織の黒い内幕が描かれますが、現実は決してこんなひどいものではないと思うんですが・・・期待もありますけど。

でも、結束が固くて内部を覗くことが難しい組織は、本当はどんなものなのか部外者にはわかりませんからねー。もしかしてとんでもないことやってるかも。その逆に、実はごくごく良識的な組織なのかも。

これまで読んだ横山作品(まだ今作で4冊目ですが)はどれも、最初に提示される謎がずーっと最後まで引っ張られて、ラストで「実はその裏に、こんなにも切ない物語があったのです」と明かされて終わるというパターンでしたが、今回もまあ、その型にはまっていると言えます。でも、その最後に開かされる切ない真実に、私はさほど心動かされることがないのですが・・・波長が合わないというようなことでしょうか。

だからといってつまらないと思うわけではないのですが。

阪神大震災という大災害を背景に配することで、それにすら大して注意を向けずに自分たちのことばかりを考える警察幹部の利己的な姿を際立たせる、という効果が意図されているのだと思いますが、どうなのかなぁ、いまひとつ大震災のインパクトが小さかったような気がします。

自分たちのことしか見えない警察幹部たちの中で、唯一良識(というか、普通の人の感覚)を保っていたのが、子供を失った悲しい過去を持つ準キャリアの部長。彼の存在がかろうじて、読み手の「このN県警って警察、狂ってるんじゃない?!」という思いをなだめてくれます。

この小説は映像化されているらしいのですが、その主演が上川隆也さんだというのですね。
どうやら彼が演じているのが、その保身に汲々とする警察幹部のひとりらしいのですが・・・えー(ワタシはかなり上川さんのファン)。わからないけど、見てみたい気もするのでした。


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  1. 2013/04/30(火) 22:00:01|
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