本と旅とそれから 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

「1Q84」でもそうだったのですが――予想に反してとても楽しめました!
「1Q84」も読んで面白かったと思えたのですが、確かあれはずい分と設定の風変わりな物語でした。
この「色彩を持たない」は、それと比べればずっと身近に感じられるお話だったのです。
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹
(文藝春秋)


う~む、これはどうしたこと?
村上春樹作品のどこがよいのかわからない、と言い続けたあの長い年月にとうとう終わりがきたということなのでしょうかっ(大げさ・・・)?

いやでも、ホント、面白かったんで・・・ホント、意外^^;。


村上作品の新作が出ると、比較的早いうちに読むようにしているのは、第一には、「今年こそは村上さんがノーベル文学賞を取るかも」という思いがあるからです。受賞された暁には、おそらく世の中あっちでもこっちでも村上作品について皆が語り合うに違いない。そんなとき、話についていきたいワ、ってことです。・・・ミーハーな理由とも申せましょう。
でも、過去の村上作品で未読のものがまだたくさんあるので、しかも、既読のものについてもほとんど記憶が薄れてしまっているので、熱烈なハルキストさんたちの話についていくのはかなり難しいだろうとは思うのですけれど。

第二の理由は、みんなが読んでるから・・・って、第一の理由とほとんど同じか。
要するに、この作家さんの作品なら面白いだろう、共感できるだろうという期待があるから読むというのとは違うということなだけですね。面白くないかも知れないけど、読むわけです。
そう考えると、今回は――まあ「1Q84」に続いて今回「も」なわけですが――予想に反して楽しい本読み体験をさせて頂きました!

主人公の多崎つくるは、現在30半ばの独身男性。東京の鉄道会社に勤務し、仕事は駅を作ること。学生時代から携わりたいと考えていた仕事に就けて、その点幸せな人です。
彼は名古屋出身なのですが、高校時代はその名古屋で、男3女2のメンバーから成る5人の仲良しグループのひとりでした。その後大学進学のため、つくる一人が、名古屋から東京に移ります。そして大学時代のある日、彼は名古屋に残った他のメンバーから突然、理由も告げられぬまま絶縁を申し渡されてしまいます。

その体験が、かなりの年月を経た現在でも、つくるの内面に大きな傷というかしこりとなって残っているわけです。物語は、現在のつくるが、これまで手を触れずにきたその過去の出来事に向き合う決心をするまでと向き合う過程のお話――と、いったところでしょうか。

読んでいて楽しめた理由の大きなものは、主人公・つくるの心理が理解できると思えたことでしょうか。仲良したちから突如絶交されたら、それがまだ感受性豊かな大学生の頃なら、きっとものすごくショックを受けるだろうなぁ。つくるはそれで、少なくとも当人としては死の淵まで行く苦しみを味わい、その体験の前後でいわば別人となるほど変貌します。・・・高校時代の友人関係って大きいものありますからね。

そして、その体験と向き合う気になるまでにこれほど多くの年月を要する――うむ、そうかも。ようやく一人の人間として、無意識ながらも足元がしっかりしてようやく、そしてガールフレンドの助言もきっかけとなってようやく、これまで避けてきた過去の謎を解明しようという気持ちになる――うむ、そうかも。

といった具合に、同じ経験をしたことがあるわけではないけれど、何となく想像できて共感できるような気持ちを持つことができたので、物語世界に入っていけたのでしょう。

あとは、物語のBGMとしてよく流れているリストの「巡礼の年」という曲。
メロディを思い出すことはできないけれど、昔聞いたことがあって、何となく素敵な曲だったような気がする、という、薄ぼんやりながらも記憶があります。もしかしてFMラジオで聞いたのだったか、曲を紹介するいかにもクラシック番組らしい、静かな男性の声も何となく頭に蘇ります。

当時の友人のひとりを訪ね、つくるは何とはるばるフィンランドまで出かけていきます。それまで一度も海外旅行をしたことのなかったつくるが、いきなり一人旅。まあ、ガールフレンドが旅行代理店勤務でいろいろ手配してくれたのがよかったでしょうが、そうでなくてもきっと行ったでしょうね、彼。
いつまでも暗くならない白夜のフィンランド。そして湖の畔にあるサマーハウスで、高校時代の友人(女性)と再会するつくる。イメージ的にも美しくて素敵。

おそらくは、いろいろと深~い読み方をできるのだろう本書を、たぶん私はかなり薄っぺらく読んでいるのだろうと思います。村上作品って、いつもそんな気がします^^;。
でも、私にとって本読み体験とは、結局のところ、読んでいる時間を楽しく過ごせたかどうかという、それがすべてだとも思うので――楽しくてよかったよかった。


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  1. 2013/06/28(金) 22:00:01|
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