本と旅とそれから 体育座りで、空を見上げて/椰月美智子

本と旅とそれから

体育座りで、空を見上げて/椰月美智子

うーむ、うーむ、果たして私はこのジャンルの小説が好きなのでしょうか?自分でもよくわかりません。ときどき読むことはあるんですが・・・。てか、椰月さんのこの1冊は、このジャンルの作品だとわかっていて借りてきたんだけど・・・。

とある少女の、中学生としての3年間を描いた作品です。
「体育座りで、空を見上げて」

体育座りで、空を見上げて/椰月美智子(幻冬舎文庫)

最近、あることがきっかけで同僚と「学校の先生って大変だ」という話をすることがあったのですが、私よりもずっと社会的な見識の広いその同僚によれば、一番大変なのは中学校の先生だ、ということでした。
小学校はまあまだ子供だ、高校生になればそれなりの落ち着きも出てくる、しかしその間にある中学校というのはそれはもう生徒が扱いにくい、ということなのだそうです。
・・・そうかも、と、とりあえず頷きました。


描かれる人物たちが落ち着きの悪い年齢であるだけでなく、読むワタシの気持ちも落ち着きが悪い。
ほかの人は、どんな心もちでこのジャンルの本を読むのでしょう。自分目線で読むのならやはり、自分が同じ年だった頃を思い出しながら読む――のかなぁ・・・。
年が上になればなるほど、記憶は薄れ、思い出せることは少なくなっていくものでしょうが、物語に描かれた小さな出来事のひとつひとつに、ほとんど消えかけていた思い出が復活させられるのでしょうか。

本書の巻末解説はあさのあつこさん。解説文はまるで一編のエッセイのように素敵に読めます。その解説の中にあさのさんも書いておられますが、本書の小さなエピソード、ちょっとした描写のいちいちに、「あ、こんなことが私にもあった」と頷きながら読む方が多い――のでしょうかね~。

そして自分の子供のある方の場合は、さらに母親目線も加わる、と。

でも、私はどうなんだろう。
主人公・妙子の心境に、自分の昔を思い出して共感・・・しないわけではないんだけど・・・。
「そうそう、そうなんだよ!」と、何度も深く頷く、までは至らない、というのが正直なところです。
つくづく思うに、私ってかなりぼんやりと中学時代を過ごしていたんじゃないかなぁ。

高校時代のことは結構思い出すこともあるんですけど。
私は中高一貫の学校だったので、友達もほぼ共通してます。主人公・妙子が通うような、一学年9クラスもあるような大きなところではなかったので、クラス替えで違う組になっても、それで交流が途絶えてしまうこともなかったし。あ、でも、クラスが変わってしまったために、それまで同じクラスでとても仲の良かった友人を、他の子に取られた、なんていう経験はあったなぁ。
・・・でも、それも高校になってからのことです。

中学の思い出・・・。
私の場合は、やっぱり中学と高校がひとくくりですかね~。それだったら結構いろいろ思い出あり。
ただ、妙子ほどには、思春期のどうしようもないイライラはなかったような。
確かに、むやみにあらゆることに腹が立つ、といった気持ちは覚えがありますが、身体の中に燃え盛る火の柱が立つ、とまで表現するほどの激しさはなかったんじゃないかな。

それに、妙子はそのイライラが高じて母親に暴力を振るったりもするのですが、さすがにそこまでは・・・。でも同時に、母親に暴力を振るったり暴言を吐いたりする自分について、こんなことをしたいんじゃない、お母さんは何も悪くない、自分はそれをわかっているのに、と心中でもがく思いがあるというのは共感できます。
おそらく世の中のお母さんたちは、その記憶があればこそ、自分の子供が自分に暴言を吐き、時に暴力に及んでも、じっと我慢することができるのでしょう。

最近よく思いますが、本を読むという行為は、1冊読んだことによって何か結論めいたものに至ることがなくても、ただ読んだことについてあーだこーだと自分で思いを巡らすことに意味があるんですね。「だから何?」という感覚しか最後に残らなくても、だからといってその本を読んだことが無駄だということにはならない。
当たり前かな。今さらそんなこと言ってるのって、マヌケかしら(たぶんそう)。

ともあれ、好き嫌いを超越して、多くの考えを引き起こしてくれた本というのは、貴重だと思うのでした。


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  1. 2013/07/08(月) 22:00:01|
  2. 2013
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