本と旅とそれから さよなら、スナフキン/山崎マキコ

本と旅とそれから

さよなら、スナフキン/山崎マキコ

この本は確か、以前にも図書館から借りたことがあったものの、その時には結局読めないまま返したのではなかったかな。
その時もおそらく、「スナフキン」の一語が目にとまって手に取ったのだろうと思います。
今回は読めました――で、思ったよりもかなり面白かった♪
「さよなら、スナフキン」

さよなら、スナフキン/山崎マキコ(新潮文庫)

様々なコンプレックスを抱え、現状打破の必要性も願望も感じているのに、これといった行動を起こすこともできず、「あー、アタシなんてダメだ、結局ダメなのがアタシなんだ」みたいな感覚にどっぷり浸かった日々をおくる女子大生のお話です。

著者略歴欄を見るに、主人公のモデルは、作者本人なのかな。


で、スナフキンとは何ぞやといえば、あのムーミンのスナフキンで、主人公の「すきなもの」のひとつなのですが、そこから転じて、主人公にとって、自分よりはるかに広い世界を知っている大人な存在を指します。そして主人公はそんなスナフキンのような誰かに自分を必要とし、心配してもらいたいという願望を持っている。

そして、たまたま出会ったバイト先の「シャチョー(=社長)」にそのスナフキンの姿を見た・・・と、少なくとも出会った当初は思うのでした。
まあそのあと、あれこれあって、最終的には「さよなら、スナフキン」となるわけですね。

ぐだぐだうじうじした主人公の日々は、スナフキン=シャチョーに出会って、少なくとも毎日の活動量の観点からは大きく変わります。シャチョーのために頑張ろうと張り切るので、これまた少なくとも出会った当初は精神的にも大きく高揚します。
そんなある意味有頂天な日々が段々と冷めたものになっていくのは、これはやっぱり、新しい環境や人間関係に慣れていくうえで、当然の仕方ないことなんでしょうかね。

目新しい頃は素晴らしく思えた事も人も、落ち着いて見てみるとやはり欠点も裏もあり、さらには隠された部分も見つけてしまったりする。
そして主人公は再び、何とか現状を変えたいと思いながらも何もできず悶々とする日々に帰る。

でも、短いながらも高揚の日々を過ごした後の主人公には、少しだけ以前には見えなかったものが見えるように、思い及ばなかったことに思いが及ぶようになっている・・・ように見受けられました。

主人公の悶々振りは、「だーっ!イライラするっ!」と心の中で声を上げるほどの情けなさですが、同時にこの、「何かしなきゃと思うんだけど、でも、何にもできないのよ、アタシって」という無力感というか、自分を不甲斐なく思う気持ちには、かなりの共感を覚えもするのでした。
世の中には、自分の置かれた逆境をぐいぐい切り抜けていく人々の成功譚が溢れているようですが、そんなの私とは無縁だわ~って気がしますもん、私も。

でも、目の前に幾つも並べられるチャンス(物書きとしてデビューできるかも、というチャンスです)を、これといった理由もなくダラダラと無駄にしてしまう主人公の姿には、さすがの私でさえ「あんまりもったいなさすぎる!」と思いましたけどね。チャンスをチャンスとして認識できず、後からそうとわかって悔やむというのだったらまだしも・・・。買いかぶられているという思いがして怖くなるっていうのはわからないでもないんだけれど・・・。

現実世界での主人公、というか著者・山崎さんはその後ライターとなり、さらには小説も書かれているようなので、ぐだぐだうじうじの果てに、道が開けたってことですね。

これからもっと読んでみたい作家さんです。

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  1. 2013/08/15(木) 22:00:00|
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