本と旅とそれから 「風立ちぬ」

本と旅とそれから

「風立ちぬ」

「風立ちぬ」01


大好きなジブリ作品・・・なのですが、これまでの作品、必ずしも全部見ているわけではなく、特に日本を舞台にした作品の中には見逃しているものがちらほらあったような・・・「トトロ」とか。
今回も、見るかどうかは五分五分でしたが、またも仕事の前に時間が空いたため、見ることにしました。ちなみに、まったく同じ条件で「真夏の方程式」と二択だったのですが、こちらに。
とてもよかったです!
ストーリーもよかったと思いますが、何よりも「絵」の美しさが・・・最近のジブリ作品はもうどれもがそうなのですが、一瞬一瞬の画面の美しさに、息をのみます。物語の展開を追うことをしばし忘れて、大正末期から昭和にかけての日本の風景の、実物とはまた別の美しさに見惚れてしまいました。


「風立ちぬ」02


ストーリーは切ないものでした。
堀辰雄の「風立ちぬ」をある程度参考にされてはいると思いますが、これとはまったく関係のない、ゼロ戦を設計した三菱のエンジニア堀越二郎という要素が組み合わされているので、全体としてはほとんどオリジナルの筋書きのようです。

主人公・堀越二郎と菜穂子の出会い、恋、そして菜穂子の闘病と死。この恋物語はどちらかというと堀辰雄の「風立ちぬ」の色彩が強く、大変古風な美しさと、同様の悲しさを湛えています。
一方、天才エンジニアと言われた堀越二郎が、空への憧れと自らの天賦の才に導かれて、失敗にもめげず遂にゼロ戦を開発するまでの物語は、それ自体はちょっと前のNHKの「プロジェクトX」みたいです。
ただ、ゼロ戦が戦闘機であり、悲惨な戦争と日本の敗戦というその後の成り行きが言わずと知れたことであるだけに、開発に成功したぞオメデトウ!というわけには到底いきません。

優秀であるがゆえに戦闘機の開発を任される。戦闘機の開発だからこそ、非常時であってもそれに没頭することが許される。しかし、二郎が一途に夢見たのは、空を飛ぶ美しいものなのでした。
見る者がゼロ戦のたどったその後の地獄を知っていればこそ、青い空を滑って行く真っ白な夢の飛行機を見つめる次郎の姿が痛々しい。

菜穂子の最期についても、戦争のその後についても、物語の中ではその様子が直接描かれることはないのですが、ラストシーンはとても美しい描き方で、だからこそ胸に迫る悲しさと共に、見る者に伝えられます。
言うまでもありませんが、戦争を美化しているわけではなく、個々の人間の人生の輝きを描くことで、その輝きを全うすることを許さなかった戦争の理不尽を訴えているのだと思いました。


「風立ちぬ」03


しかし、主人公・二郎の声を演じている庵野秀明さんという方、私はぜんっぜん知らなかったのですが、映画監督&アニメーターさんなのだとか。つまり、声優さんじゃないんですね?
んー、どうなんでしょう、宮崎駿監督直々の依頼だったということなので、二郎のイメージにはぴったりということなのでしょうが、私は・・・いまひとつかなって感じでした。
ところどころ「棒読み」みたいに聞こえることがあって・・・^^;。そのもの慣れないところが、不器用な理系男子の感じでよいのかも知れませんけど。他がみなプロの俳優さん(声だけですぐわかるような方々ばかり)なので、次郎だけちょっと・・・。

ともあれ、ジブリにハズレはない、てとこです。

►「風立ちぬ」公式HPはコチラ


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