本と旅とそれから ガソリン生活/伊坂幸太郎

本と旅とそれから

ガソリン生活/伊坂幸太郎

まとまって回って来た図書館の予約本、2冊目です。

素敵な話でした!
エピローグではうるうるっときました。
もしかすると、ちょっと子供っぽいと感じる人もあるかしらと思いましたが、私は好きです。
「ガソリン生活」

ガソリン生活/伊坂幸太郎(朝日新聞出版)

主役は、母親と息子ふたり娘ひとりの望月ファミリー、の、ファミリーカー。呼び名は「緑デミ(みどでみ)」――緑色のマツダデミオです。

人間たちは知らないし、車の方でも人間とのコミュニケーション手段を持たないけれど、車というのは実は知性と感情をそなえ、車同士や、電車と話をすることができるのです(バイクや自転車とは、お互い言語を理解できないけど)!


童話のような設定ではありますが・・・でも、もし本当にそんなだったら。自分を所有する人間についつい肩入れしてしまい、仲間の車とのお喋りでも、彼らのことを誇らしげに語ったり、時にはかばったり、彼らが病気で最近ちっとも自分を運転してくれないと寂しがったり。一番恐ろしくて考えることさえイヤなのは、いつか自分がほかの車に買い替えられる日がくるだろうということ・・・。

ああ、もしそんなふうだったなら、人間は到底マイカーを「買い替える」なんてことはできないでしょう。その存在はペットのようなものですね。しかも、人間と遜色ない知性レベルなんですから。
人間同様、車にも性格があり、また環境が車の性格に影響を与えたりもするようですが・・・タクシーの車は、自分たちが常に走って仕事をしているという自覚から、大抵ちょっと威張っている、とかね。

まあ、業務用車やレンタカーはおくとしても、自家用車たちは自分の持ち主に深い愛着を抱いています。
そしてどうやら、みんなあんまり邪悪なココロは持っていなさそう。犯罪者が利用する車は、自分たちが犯罪に加担していることが恥ずかしく、悲しくてならないんですよ。
そんなこととは知らない人間たちは、車を雑に扱ったり、乱暴に運転したり、自分ちの車を悪く行ったり、平然と、「そろそろ買い替えようか」なんて話をその車の座席でしたりする。それを聞いた車が、走りながらどれほど悲しい思いをすることか・・・。

緑デミといえば、以前、玉木宏さんが宣伝していたアレですね。あのCMを見たときは、「こんなド派手な色の車に乗るってどんな人!」と思いましたが、すぐに街のあちこちで見るようになったので、人気俳優の影響力ってすごいなと感心したものでした――最近、またあの色は見なくなりましたね。デミオはよく走ってますけどね。

望月ファミリー(主に二人の息子。10歳の次男坊が、到底小学生とは思えぬ大人っぷりであちこちで人を驚かす)が巻き込まれるあれこれの事件が展開しますが、この本の魅力は、望月ファミリーを始め登場する人間たちの誰ひとりとして知ることのない車たちの世界。彼らのコミュニケーション模様。
車ならではの表現も、何ともいえず面白く、可愛らしく感じられるぐらい。たとえば、人間ならば「あっと驚く」というようなとき、車たちは「ワイパー動く」と言うのです。エンジンがかかってもいないのにワイパーが動くんじゃないかと思うくらいびっくりだ、てわけですね。

拗ねることもあれば、見栄をはることも、知ったかぶりをすることもある。時にはウソもつく。
でも、彼らは運転手の操作には従う以外に道はなく、事故で壊れた車を見れば、胸つぶれる思いを抱く。素直。無邪気。一途。

そういえば、車で出かけ、車から離れて長時間観光などした後に駐車場に戻ってきて、じっとそこで待っている自分の車を見て、「けなげなヤツ」みたいな愛着をおぼえたことはあるかな。言うまでもなく、それは単に、どこかに置かれた物が、盗まれなければ何時間か後にも同じ場所にある、という現象(?)にすぎないのですが。私なんて、コンパクト中のコンパクト・カーしか持ったことがないから、高級車や大きなワゴンに囲まれて停まっている自分の車がいじらしく思えたりすることもありますね。

あーでも、エピローグがよかったです。亨、ありがとう!


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  1. 2013/09/07(土) 22:00:01|
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