本と旅とそれから 百万の手/畠中恵

本と旅とそれから

百万の手/畠中恵

電車の中での読み物が必要なのだ!
・・・と、図書館の文庫本棚を睨んでいて、「ゆめつげ」と一緒に見つけた「しゃばけ」の畠中さんの1冊。

でも、これは今まで読んだことのないジャンルの畠中作品でした。



百万の手/畠中恵(創元推理文庫)

まず時代小説ではないし、語り口も全然違う。
たぶん、執筆する作者の姿勢もずいぶん違っていたんだろうな、と思います。
ちょっと宮部みゆきさんの小説みたいな感じです。


これは、不審な火事で親友を失った少年・夏貴が、その原因をつきとめようと探るうち、身の回りでさらに人が死に、自分の出生にまつわるとんでもない秘密を知ることになる、といった物語です。

推理小説であり、夏貴が生まれた産婦人科病院の不妊治療をめぐる、ちょっとしたSFでもあります。
SF、であって、海堂尊さんの小説のような医療ミステリでないのは、ひと言で言ってしまえば、かなり荒唐無稽な要素が含まれているから。

もちろん、海堂さんは本職のお医者さんで、畠中さんは違うわけですが、それが理由で、というわけじゃなくて、畠中さんは医療モノを書きたかったわけじゃない、と、単にそういうことなんだと思います。

筆力のある作家さんなので、飽きさせることなく最後まで読ませてしまいますし、面白い小説なのですが、それこそ、雰囲気が似ているということで宮部作品と比べて考えると、僭越ながら、「粗いな~」という感じが強くします。

いろいろな要素が盛り込まれているのですが、多くが中途半端、という印象。
死んでしまった後で携帯電話の中に復活する親友。その親友の実は妹であったとわかる少女。少年の特異な出生のためにおかしくなった母子関係。
物語を面白くするために使われた道具たちが、途中でぽいっと投げ捨てられてそれっきり、という感じがするんですね・・・。

でも、畠中さんにとってこれはこのジャンル(つまり、時代モノでない、という)の「初期の」作品、ということになるのでしょうから――なんか、そのうちもっとパワフルになりそうです。




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  1. 2009/12/08(火) 20:34:00|
  2. 2009
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図書館に文庫の棚があるなんて、うらやましいです。私の住むところは車に乗る人が多いせいか(単に交通網が発達していないからだけど)、単行本しかありません。文庫本は自腹で購入するしかないので、悲しいです。「うらやましい」「悲しい」という語彙の短絡さに、自分ながらがっかりする今日このごろです。
  1. 2009/12/09(水) 22:09:00 |
  2. URL |
  3. barnes_and_noble #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To barnesさん、
やっぱり、地域性ってものが図書館にも出るんですね~(しみじみ)。
作品の傾向とかはそうだろうな、と思ってましたが、本の形態もそうなんですね!
うちの方は、都心に出るために40分ぐらい電車に揺られることになるので、その間の読み物は需要が大きいと思います。電車で本を読んでいる人をちらっと見ると、図書館のラベルの貼ってある本だってことも多いように思います。

でも、先週末に図書館に行きそびれてしまい、今はでっかいペーパーバック(ペーパーバックって紙質が悪いので嵩張るものが多いです・・・T_T)を持ち歩いているため、荷物になって・・・あ゛あ゛。
  1. 2009/12/10(木) 00:09:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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