本と旅とそれから 森崎書店の日々、続・森崎書店の日々/八木沢里志

本と旅とそれから

森崎書店の日々、続・森崎書店の日々/八木沢里志

この2冊を借りて来たのは、大雪が降った翌日の日曜日。駐車場の雪かきまで手が回らなかったため、いつもは車で行っている図書館に、電車に乗って出掛けたのでした。
図書館は開いていたけれど、さすがにガラガラでした。図書館の駐車場も、申し訳のように2、3台分雪かきしてあるだけだったから、車で行かなくてよかったんだけど。
それで、心なしか、文庫棚の品揃えがいつもよりよかったような・・・気のせいかしら。だね。

そしてまず「森崎書店」1冊目を読み、つづいて「かばん屋」と「光圀」を同時に読み始め、「かばん屋」を読み終えたところで「死神」の予約が回って来たためこちらを優先して読み(予約がつまっている本なので)、「光圀」は引き続き読みつつ「続」を読み始めて、読み終わった、という次第。
「(続)森崎書店の日々」

森崎書店の日々、続・森崎書店の日々/八木沢里志(小学館文庫)

神保町にある小さな古本屋・森崎書店を舞台にした、えーっとこれは、和み系・・・かな?、の、お話。
「神保町の小さな古本屋」という、そのセッティングだけでもうオッケー、と思うのは、おそらくワタシひとりじゃないことでしょう。


神保町は私にとって、セピア色の思い出の地でございます。
中学、高校時代――そう、有史以前って感じですね。ですから、今現在の神保町とはちょぉーっと違う神保町を知っているんですよ、私は。
・・・軽く威張りたいっていうのもありますが、それだけじゃなく、ホントに懐かしくって。
だって、三省堂本店が現在のビルに建て替えられる前の古いたてもの知ってるし。天井がやたら高くて、ちょっと暗くて、上の棚の本を取るための可動式のハシゴがあって・・・ああ、二度と帰らない日々。

書泉の栞集めに熱中した日々。
知ってる?神保町の書泉って、オリジナルの栞が素敵なのよ――って、今もそうなのかとか、全然わかりませんけど。シリーズものとかあってねー。コンプリートを目指して毎日のように文庫本(とか、マンガの単行本)買いに行ったっけ。
戸棚の奥のどこかに、今も当時のコレクションが眠っているはずです。うくく。

いかん。
神保町に関して脱線し始めると際限なくなる・・・。

いや、でもですね~。
神保町っていうところは、やっぱり本読みには一種の天国ですね。神保町の古書店で働きたいと考える本読みさんって結構いそうな気がします。その辺りの神保町描写は、本書の中にも出てきて、楽しく読めます。

「和菓子のアン」と、雰囲気的にはちょっと似てるかな?その業界のことも、商品のこともほとんど知らない主人公がいきなり飛び込んでいくという物語の始まり方などね。
主人公の叔父である店主、その奥さん、常連のお客さん、ご近所さんなどとの和やかな人間関係をメインに、さり気ないドラマが展開していくのです。

でも、喜怒哀楽の振れ幅は、「森崎書店」の方が大きい。
大切な人が死んでしまうっていう話は、いつでもどこでもとにかく悲しいものですから。
(あまり意味ないかも知れませんが、一応、ネタバレを避けるため、誰が死んでしまうかはナイショ。)

このテの話になるといつも思い出すのが(ああ、また脱線だ・・・)、「大草原の小さな家」のあるエピソード。あ、原作本ではなく、TVドラマの方の。
といっても、私が「大草原」のTV放映を見ていたのはそれこそ神保町日参時代すなわち有史以前なので、覚えている部分以外はすべて忘れています(当たり前か)。
なんかね、ある親子の話なんだけど、まだ幼い子供(2人かな?)を残してお母さんが病気で死んでしまうんですよ。で、そのお母さんが子供たちに遺言を残すんですね。私の死を悲しまないでくれ、と。私については楽しいことだけを思い出してくれ、と。そして最後に、もし、私のことを思い出すとどうしても悲しくて泣けてしまうというのなら、いっそ私のことは忘れてくれ、と。

この、「そのときは、私のことを忘れて下さい」という最後のひと言が泣けてね~。
よく、誰かの思い出の中に永遠に生き続ける、と言うじゃないですか。誰かが覚えていてくれる限り、本当の意味で死ぬことはないのだ、とか。
なのにこの母親は、子供たちが悲しまなくてすむのなら、その「思い出の中の命」すら望まない、というのですね。その大いなる母の愛に、もう泣かずにはいられなかったのでした。

というようなことまで思い出していたら、電車の中でこの「続・森崎書店の日々」を読んでいて、泣けてきて困りました。
オーラスの、主人公とその叔父さんが、閉店した後の夜の古書店で抱き合って泣くシーン。
まるで、小さな古書店全体が亡き人の死を悼んでいるようだった、という・・・。

でも、そうやって泣いたあと、叔父さんは再び立ち上がる。思いっきり泣けたから。
そうしてまた神保町の小さな古本屋は店を開けて、本を愛するお客さんたちを迎え入れるのでした。
完全に立ち直ることはできなくても、でも前を向く。

本書の物語は映画化されたそうなのですが、その中で、このサトル叔父を演じているのが内藤剛志さんなのだそうです。・・・これは、私としてはちょっとイメージ違う感じ。内藤剛志さんって、強い人のイメージがあります。たとえ外面はちゃらんぽらんでも、内に秘めた「自分」は決して揺らがない、というような。
「森崎書店」のサトル叔父さんは、もっと頼りない、でもそこが魅力でもある人物だと思うんだけど。

最後にもひとつだけ脱線しちゃうと、物語に出てくる「すぼうる」って喫茶店、たぶん「さぼうる」のことだと思うんですが、ここ、ずーっと、入ってみたいと思いつつ、果たせていないのです。
私の神保町時代からあるお店だと思うのですが、中高生にはちょっと入れない大人の雰囲気だったんですよね。大学生になってからも神保町には何度も行きましたが、その時もなぜか入りそびれていて。
最近は、神保町には滅多に行かなくなってしまったのですが、その滅多にない機会が、落ち続けている某検定を受けるとき。駿河台の明治大学が会場なので。ところが、検定試験はいつも日曜日の実施で、「さぼうる」は日曜・祝日は休みなんです~(T_T)。ああ、チーズドックを食べに行きたい。

懐かしさいっぱいの「森崎書店」でした。

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