本と旅とそれから 千羽鶴/川端康成

本と旅とそれから

千羽鶴/川端康成

京都旅行の話をずーっと続けてきたし、さらにずーっと続けていく予定ですが、下書きブログに本の感想文がたまってきたので、京都の方は3日目が終わったところで、まとめてUPします。
ちょっと前からためてしまっていまして、読んでから感想文を書くまでに時間が空いてしまったものなどもあるのですが・・・まあ、とりあえず。

作家さんとしては、川端康成氏と畠中恵さんだけなんですが。


千羽鶴/川端康成(新潮文庫)

これまで読んだ川端作品で、何の違和感もなくわかったような気がしたのは、最初の1冊「古都」だけ。しかもそれさえ、今振り返ると勘違いだったような気がしてきます・・・。

どの作品も、描写されている出来事自体はわかります。でも、それがわかっただけでは何にもわかったことにはならないのよ、というのも同じくらいよくわかるのでした(T_T)はぁ~


表面的に出来事だけを描写した、いわゆる恋愛小説としてこの作品を見たら、むしろ、状況描写は粗く、登場人物も妙に直情径行かつ湿っぽい人が多い・・・ように思えてしまいます。
たとえば谷崎潤一郎の小説のように、その場の雰囲気やその人の持ち味が(たとえ勝手な思い込みにしろ)、無理なく伝わってくる、という感じとはずい分違うと思います。

きっと、主要な登場人物たちは、それぞれの人間であると同時に何かを抽象的あるいは象徴的に表わしているのでしょうね・・・。

巻末解説(もう、これなしに今の私には川端作品の感想文は書けまへん・・・T_T)で評論家・山本健吉氏は、たとえば、太田夫人が「女の最高の名品」として描かれ、それが作中に登場するある茶道具の名品とかぶる、といったことを書かれています。

・・・そうなんですか(あ、反論してません)。

ふと、川端作品の時代が、加速度的に遠ざかりつつあるような感覚を持ちました。
もちろん今の時代にも、微妙な心の動きや、容易に言葉に表わすことのできない心情はあるはず。ですが、そのひとつひとつをこれほど貴重なものとして扱う人間の姿勢が、どれほど残っているでしょうか。

それとも、私の昨今の本読みの傾向が、そういう大雑把な作風のものばかりに流れているのかしら。
・・・その可能性もあながち否定できないなぁ。
繊細な表現力とか、繊細な表現に相応の反応を示す感受性とか、そういうものもそれなりに日々使わないと、足腰の筋力と同様、減退してしまうんでしょうか。

「千羽鶴」は、「雪国」ほどの不可解感はありませんでした。
やっぱり書かれた年代の違いもあるかしら・・・(「雪国」昭和12年、「千羽鶴」27年、「山の音」29年、「古都」37年)。

そして、川端康成って耽美主義者なんだな、ということもここのところの数冊を読んでしみじみ思うのでした。

あ~、おいそれとは、読むことも感想文を書くことも出来ぬとは。
それでもまだ川端康成を読もうという気が起きるのもこれまたなぜ?




My Favorite Books(お気に入りの本のブクログ)
BOOKS INDEX(作家別感想文一覧)

関連記事
tag: 川端康成 
  1. 2009/12/08(火) 20:43:00|
  2. 2009
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:9

トラックバック

トラックバック URL
http://lazymiki.blog110.fc2.com/tb.php/170-80b65ac0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメント

lazyMikiさん、こんにちは
三島に越してきて天城に出かけるとそこら中に伊豆の踊り子の銅像が建ってます。中学生の頃しか記憶になかったので、どんな物語やったんやろって思って読んでみました。ああ、こういう物語やったんや、結局金がなかったから帰ったの?ってちょっとしょぼい終わり方。
雪国も中学生の頃の記憶しか。。。。汽車の窓の反射の描写、昔はインパクトあったのかもしれないけど、今なら誰でも描写しそう、というのが正直な印象。川端さんもオバマさんもノーベル賞では苦悩したんやなあ、僕では無理やけど。
読まないといけない本が多すぎて最近は小説は読みませんが、日曜の晩、家族とドラマは見ます。JINは見てますか?これ最高にワクワク、うるうる。日曜日の晩が楽しみです。
。。。。映画は、SWを今でもiPhoneに入れてあるのでたまに見ます。Vです。ハンソロの凍結される時、レイアがアイラブユーっていうと、ハンがアイ ノーって言って凍結される場面、ルークにベイダーが告白し(愛じゃなくって)、ルークがノーって泣き叫ぶ場面があまりにジーンと来ちゃいます。男はロマンとアドベンチャー!?
  1. 2009/12/10(木) 00:37:00 |
  2. URL |
  3. アッキーマッキー #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

こんにちは~
むむむ!川端康成。。。 中学生のとき気に入って読んでいたんですよね~
意味も分からずワケも分からずに。
いえ、分かろうともしていなかったことが、Mikiさんのレビューを読んで、分かりました。
『現象から省略という手法…』脳みそじゃぶじゃぶしても私のアタマは追いつけまへん!

大学で「好きな川端作品は?」と聞かれ、正直に「みずうみ」と答えたところ、「それなら三島由紀夫の'沈める滝'を読んでおくといい」と言われたのを思い出しました。 どういうチョイスなのか… これまたよく分かりません;;;
  1. 2009/12/10(木) 11:31:00 |
  2. URL |
  3. たこΩ #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To アッキーマッキーさん、
そこら中に銅像・・・というと・・・伊豆の舞踊団状態なのでしょうかね・・・。
川端康成、何というか、とてもとても綺麗で・・・文章とか情景描写とか。その何とも言えない清浄な煌めきみたいなものは、やはり素晴らしいと思えました。
ただ、深い読み方が全然できてないゾ、私、という感じで。
別に学者じゃないんだからいいじゃない、と言えばそうなんですけど・・・でっもー。

TVドラマって基本的に見ないんですよ~~。
・・・なのに、なぜかJINは見ております(たぶん、大沢たかおさんがちょっと好きなの)。
面白いですねー、アレ♪ただ、ここ2週は、「坂の上の雲」と、30分かぶっちゃって困るんですが。司馬遼も好きでして。

アッキーマッキーさんがノーベル賞取ったら、私はご学友ならぬブログ友としてエキサイトのインタビューに答えてもいいですか。
(節約しながら書いたつもりでしたが、やはり文字数超過になりましたので、次につづく)
  1. 2009/12/10(木) 23:44:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To アッキーマッキーさん(つづき)、
SW、やっぱV(私なんか、ついIIとか言いそう)ですか^^
あれ、見どころ満載のうえに、最後は「ここで終わるか!そりゃあんまりだ」ですからね。
私の好きなシーンは~、I・・・じゃなかったIVの、デススターに突入したルーク危機一髪!をハン・ソロが助けてくれるとこと~、VIで、皇帝にやられそうになるルークが「お父さん、助けて!」と叫んで、ダースベイダーが逡巡の末(見事な仮面の演技)皇帝をぶん投げて助けてくれるとこと、とかです(^0^)やっぱこう、「ああ、やっぱり期待に応えてくれた!」てシーンが好きかなっ。
  1. 2009/12/10(木) 23:45:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To たこさん、
中学・高校の頃って、知識欲が旺盛というか、ともかくいろいろ読んだり何だりする時期なんですよね、きっと。
私はその頃、手当たりしだい絵画展とか行ってました。今では好きなのしか行きません(それもごくたま~に)が、当時はもう、中世の宗教画から、ピカソまで行ってました^^;

「みずうみ」、まだ読んでまへん。でも、近々読みますね。
三島も読む。
私ってホント、読んでない本いっぱいです。
三島と川端って、確かかなりつながってるんですよね。よく知り、まへんが(T_T)。

アタシだって・・・塩水じゃぶじゃぶぐらいじゃ・・・「まだどろどろです~」な感じだす。
  1. 2009/12/10(木) 23:51:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

何とも素敵な読書をされてますね~。
なんかこう、『この作家がわかりたい!』みたいな読み方してみたい!
…ってそれ、今年初めの読書目標だった気もしますが、もう忘れた。
それどころか、年間100冊の目標も危ういです。
もう12月も1/3来てしまったし。

川端康成、私も来年は読んでみたいと思います。
それにしても読みたい本がたくさんありすぎて困ります~~。
  1. 2009/12/11(金) 15:43:00 |
  2. URL |
  3. yurinippo #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

lazyMikiさん、こんにちは
そうそう、あのVの終わり方はないよね。ホント、初めて見た時はメッチャ腹が立ったんですが、何度も見るとシリーズの中でもこの作品が最高傑作って思います。IVのハンソロがお助けに来た時も、VIのベイダーの涙ちょちょぎれるシーンも大好きなんやけど、IVの、次、何が起るかわからへんみたいな、安心できるよりもアドベンチャー!が、いいんですね。これは男と女の違いかも?。。。。
すみません、川端康成さんのコーナーでしたね。最初に、雪国読んだ時は純真だったので、その描写の繊細さにしびれたて結構川端さんの小説は中学時代に読んだ覚えが。。。
それと、ノーベル賞。2年前に、とあるラウンドテーブルディスカッション(座談会)で1時間以上ずっとノーベル医学生理学賞を受賞したメローさんの隣でした。主催者のサイトに約1年この画像がアップされてました(僕のサイトにはいまだに載ってますが。。。)。ともかく、顔のやたらでかいメローさんでした。顔がでかいとノーベル賞取れるんでしょうか?隣だったからと言って次は僕がノーベル賞をもらえたわけではないのは言うまでもありません。
  1. 2009/12/11(金) 23:36:00 |
  2. URL |
  3. アッキーマッキー #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To yuriさん、
「足ながおじさん」で、ジュディが、孤児院育ちなせいで、ふつうの家の子が子どもの頃に読んでいるような本を全然読んでいなくて、大学に入ってから毎晩そういう本をせっせと読む、っていうくだりがあるでしょー。
あたしゃ孤児院育ちじゃなくてただのぐーたらなだけですが、今になって川端とか読んでいるのは、ちょっとそれに似てます。だははー^^;
外国人作家はね、もう、いいんです。諦めたから。
日本人作家は、これからせっせと読んでいこうと思ってます。
これから感想をUPするたびに、「えっ、この本読んだことなかったんだ!」と、驚かれてしまいそうですが・・・はずかしー。

yuriさんが読みすすめておられる池澤夏樹さんの文学全集、図書館で眺める度に、「すごいー、分厚い~」とたじろぎます。
あれを全巻読破される日もそう遠くないと思うと、尊敬ですよ~。
  1. 2009/12/12(土) 23:22:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To アッキーマッキーさん、
確かに、Vはシリーズ中最高な感じしますね!

>安心できるよりもアドベンチャー!

男女の差・・・も、あるかも知れませんが、アッキーマッキーさんはまだご存知ないでしょうが、アタクシって世界に誇る日本の小心者でして。
完全に先の読めないハラハラドキドキは苦手なのです。
だから、スポーツの重要な試合とかってダメで~。
サッカーの同点でロスタイムとか、野球の1点差9回で日本人クローザー登板とかって、絶対チャンネル変えちゃいます・・・。

あ、川端・・・は、この際飛ばして、ノーベル賞。
すごいっ!ノーベル賞学者と座談会?!アッキーマッキーさんって医学生理学系でらっしゃるんですか・・・いや、分野はこの際何でも・・・。
まだまだこれからじゃないですか。こないだのアメリカ在住の先生みたいに、忘れた頃に受賞することだってあるみたいだし。
そんなことを考え始めると、ついつい下心で親しくなろうとしたりするワタシです!
めざせ、ノーベル賞学者のブログ友(^0^)/
  1. 2009/12/12(土) 23:36:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する