本と旅とそれから いつまでもショパン/中山七里

本と旅とそれから

いつまでもショパン/中山七里

「いつもポケットにショパン」というくらもちふさこさんの少女マンガは、かつて大人気の作品だったと思うのですが、そうと認識しつつも私はそれを読んだことがないのでした。たぶん、掲載されていた雑誌が私の読んでいなかったものだったんでしょうね。「フレンド」か?・・・といっても、大和和紀さんなんかは結構読んでいるんだけど。

・・・少女マンガと本書は全然関係ないんですけど、なんかタイトルが連想させたもので。
「いつまでもショパン」

いつまでもショパン/中山七里(宝島社)

ドビュッシー、ラフマニノフときて今回はショパンか。
好きな作曲家が続くな~。・・・などと言いつつ、それほど聴くわけでじゃないけれど。でも、ショパンは結構CD持ってるし。特にアルゲリッチさんので。
(が、現時点で私が手持ちのCDを聴こうとしたら、PCか車のプレーヤーしか手段はないのでした^^;。)


これまでの二作はいずれも日本を舞台に日本人たちが日本語で繰り広げる物語でしたが、今回は全編舞台はポーランド。そして、日本語で表記されてはいるものの、現場での会話はすべてポーランド語で交わされているようなのです。なんとな~、ショパン・コンクールで上位を狙うピアニストはポーランド語まで学ぶのか!そしたらチャイコフスキー・コンクールに出ようとしたらロシア語なのかしら・・・。

岬洋介は今回このショパン・コンクールのコンテスタントとして登場します。
そして物語の時点で、ポーランドにはテロの嵐が吹き荒れているのでした。冒頭、大統領専用機のテロによる撃墜から始まり、ショパンの調べが満ちるワルシャワの町は、日々爆弾テロの頻発する、恐怖の町でもあるのでした。

・・・てな具合に、これまでの二作よりスケールが格段に大きくなる第三作なのですが、面白かったです!これまでで一番私には面白く思えました。
ますます「のだめ」な感じが強くなっていたようにも思えますが。
ショパン・コンクールって、TVドキュメンタリーなどで見たことがあったり、有名ピアニストのショパン・コンクールでの録音を聴いたことがあったりと、私にとってはほかの有名な国際コンクールよりちょっとだけ親近感があります。

ショパンの曲は、ふたつの協奏曲は何度も聞いたことがありますが、あとのピアノ曲は番号だけで認識できないのがちょっと情けないです。ノクターンぐらいはたぶん自分でも弾いたことがあるはず。ワルツとかも。あとは、タイトル(通称というべき?)がついているものぐらいはわかるんだけど・・・。
という程度の楽曲に関する知識レベルなので、例によって曲の演奏描写の部分は、イメージがわくところとさっぱりなところとあるのでした。

それにしても、たとえばバレエの話などで、踊り手の解釈次第でそのパフォーマンスがかなり変わるというのはわかるように思いますが、楽器の演奏でもそうなんですね。もちろん、奏者のテクニックに大きな差があれば、さすがに私にもわかるだろうけど、テクニック(つまり、音をはずさないとか、テンポを保つとか)が同じレベルにあってしかもそれが高いとなったら、「ピアニズム」なるものの違いで演奏ってどう違ってくるんでしょう。

・・・うーん、じゃあ私はなぜマルタ・アルゲリッチさんの演奏があんなに好きなんだって話ですね。
国際的なピアニストとなれば誰でもテクニックはとても高いのに、同じ曲を違うピアニストが演奏するとそこに聴く者の好き嫌いが生まれるのは、やっぱり「ピアニズム」の差というものなのでしょうか。
CDの解説などでよく見る「ピアニズム」って言葉も、実はよくわかってないんですけどね^^;。

岬洋介シリーズなどと呼ばれる割には、この人は探偵役ではあるもののいつも脇役的存在。今回の主人公は、同じコンテスタントのひとり、ポーランド人の青年ピアニスト。ショパンの祖国ポーランドの代表として、また音楽家一家の期待を担う者として、様々なプレッシャーやプライドと共に演奏に臨むヤン青年。悩み、迷い、失望したり感動したりと忙しい彼です。コンテスタントたちの国籍もいまや様々で、ヨーロッパ諸国はもちろん、最近はアジアからの参加も多い。ショパンの祖国たるポーランド人からすれば、日本人や中国人にショパンがわかるものか――などといった偏見を、ばしばし打ち砕いていく、アジアのピアニストたち。

岬洋介と共に日本から参加し決勝まで残るピアニストに盲目の青年がいます。辻井伸行さんをモデルにしているのでしょうね。彼の天才ぶりについても非常に詳細に描写されています。もちろん、岬洋介についても。アメリカ人のショパン。ロシア人のショパン。ショパンはポーランド人が弾いてこそ、と思っていたヤン青年は、コンテスタントたちの見事な演奏にどんどん目を開かれていきます。

そんなコンクール会場で殺人が。

殺人者の通称は「ピアニスト」。どうやらコンクール関係者らしい。それは誰なのか。
その謎を引きずったままコンクールは進んでいきます。そして、公園や、他のコンサート会場に出掛けるコンテスタントたちを襲う爆弾テロ。
物語全体が、とてもスリリングな緊張感に満ちているのでした。

コンクールの優勝者は?犯人は?

うひひ。
最後にちょっとしんみりさせるのは、前二作と同様です。


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  1. 2014/05/15(木) 22:00:01|
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