本と旅とそれから ワーキング・ホリデー/坂木司

本と旅とそれから

ワーキング・ホリデー/坂木司

先日読んだ「ウィンター・ホリデー(感想文は►コチラ)」の前編。
そう、続編じゃなくて前編。
「ウィンター・ホリデー」が、すでにばっちり状況設定が出来上がっているところから始まっていたので、前編の存在はうっすら予想されていたんですけど。
「ワーキング・ホリデー」

ワーキング・ホリデー 坂木司 (文芸春秋)

「ウィンター」は、宅配便会社で働くもと暴走族にしてホストの主人公・ヤマトと、最近突如その存在を明らかにした彼の7歳の息子・進、そして彼らを取り巻く人々の物語でした。
本書も、そこのところは同じ。登場人物もほぼ同じだし、最後に進の行方がわからなくなってみんなで探すというあたりも同じです。

ただ、続編である「ウィンター」は、それが少々大がかりな展開になったり、意外な成り行きをたどったりする――というわけで、続編は前編のパワーアップ・バージョンになっているわけですね。

で、本書は、「ウィンター」ではすでに出来上がっている設定が、いかにして出来上がったか、という話が大半をしめます。つまり、ホストをしていた主人公の元に、ある日突然「息子」がやって来る。その息子のことを、最初は「なんだコイツ」と思っていた主人公が、次第に父性愛に目覚め、熱血とーさんへと変貌していくまでのお話です。

登場人物までがほとんど変わらないので、「ウィンター」を読んだ後では目新しいことはないのですが、それでもこの主人公を取り巻く人間関係の優しさにはほんわかさせられつつ楽しく読めます。
まあ、このテのお話には、こうした羨ましい人間関係が不可欠ですね。

これって一種の小説のジャンルなんだろーか。
「青春小説」・・・ていうには主要登場人物たちの年齢が高すぎるしねぇ。
このあり得ないような「基本的にはいい人、優しい人」ばかりが結びつく世界・・・小さいサークルではまあ、あるのかもねぇ。有川浩さんの小説なんかもまさにそうだしねぇ(って、前にも書いた気がします)。
広い一般社会では絶対あり得ないものの。

「ワーキング・ホリデー」というタイトル、ホストから宅配便会社の社員に転じた主人公にとって、最初のうちまだお遊び気分が抜けない状態を指していうのかしらと思ったけれど、これは息子・進の視点のタイトルかな。小学生の進にとって、今は夏休みなわけだけど、初めて会う父親の元で、まるで主婦のように家事をこなし、あまつさえその職場に昼ごはんの出前までしてのける進。
でも、進にはそれが楽しくてたまらない。
くくっ、なんていい少年なんだ。

「ウィンター」の次をもう1作ぐらい読みたいかなと思います。


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  1. 2014/06/22(日) 22:00:00|
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