本と旅とそれから ゴーストハント 1~7/小野不由美

本と旅とそれから

ゴーストハント 1~7/小野不由美

十二国記も当初そうだったような記憶ですが、本書はヤングアダルト向けというかライトノベルというか、内容もさることながら本の装丁などが、いい年した(ワタシのよーな)読者には、手を出すのがちょっとだけ気恥ずかしいような本です。
というか、本書はもともとティーンズ向けで、小野不由美さんとしてはごくごく初期の作品だったようなのですね。それがかなりリライトされたものだとか。
「ゴーストハント」

ゴーストハント 1~7/小野不由美(メディアファクトリー)

途中、ときどき貸出しの順番待ちなどもしながら、昨年末ぐらいから楽しく読み続けてきたシリーズもとうとう読了。ちょっと、篠田真由美さんの建築探偵シリーズを思い出させるようなところもあるシリーズでした。頭と顔はバツグンによいけど愛想がやたらと悪く秘密に満ちたリーダーと、彼の仲間たちが事件に挑む、という形式ですね。
建築探偵では神代教授を入れてもメインのメンバーは4人でしたが、本シリーズは・・・最終的には7人。まあ、そのくらいの人数はいた方が、何となく読んでいて安心感があるような。


というのも、本シリーズの仲間たちが立ち向かうのが、超常現象やら霊やらといった、何とも怖いものだから。仲間が二手に分かれてもまだ3、4人はいてくれた方が安心。7人中、3人は女性で、うち2人は高校生という若さ。その片方がシリーズの主人公にして語り手である、麻衣です。
で、この麻衣は比較的非力で、ゴーストハントに際してはあんまり戦力になりません。

妙な関西弁を使うオーストラリア人のエクソシストとか、本業はスタジオミュージシャンという高野山出身のお坊さんとか、いかにもワガママ者のおねーちゃんって感じの巫女さんとか、アクの強い面々が、時に互いのワルクチを言い合ったり、助け合ったり励まし合ったりしながら、結果的にはリーダーの実力に引率される形で霊を払ったり解放したりして事件を解決していくのでした。

リーダーの副官的な役割のキャラにリン(さん)という人物(男性)がいるのですが、これが何となく十二国記の景麒を思い出させます。ゴーストハントの方が十二国記より先に成立しているので、リンさんの人物像が景麒に発展したかな、というところですね。表面的には無表情で、でも実は温かいものを秘めていて、実力があって、頼りになる。何より、「式」と呼ばれる使い魔を操るところ。十二国記の麒麟が使う「使令」みたいな感じのものです――あまり力はないようですが。

第1巻で「学校の怪談」的な始まり方をして、1巻完結スタイルで話は段々と大きくなっていきます。
それに従って、メンバーの数もひとりまたひとりと増えて行く。多少、話の運びが都合よすぎるように思えるところもありますが、そのあたりはそもそもがラノベ的物語世界なので、さらりとスルー。
その一方で、リーダーのナルがウンチクを傾ける形で、超常現象に関する数多くのテクニカルタームやエピソードが語られますが(この辺も建築探偵と同じ)、これはそれなりに難しく、一応全部読みますが、すぐにそのほとんどを忘却してしまいます――私は、ですけど^^;。

まあ、本シリーズや建築探偵に限らず、頭のよい探偵役っちゃ、ウンチクを傾けるものですね。京極堂なんかすごかったしね。京極堂の場合は、なぜこんなにもウンチクを語らねばならぬのだ、ということの正当性まで、しっかり関口巽氏によって語られていましたからね。その長々としたウンチクが、やがて真相を正しく理解するための背景知識となるのだ、みたいな。
本シリーズの場合は、語り手・麻衣が心霊分野にまったくの初心者で、入門編から解き明かしてあげないと話についてこられないから、という設定のもとに、麻衣同様のド素人である読み手にも、心霊現象のイロハが解説されていくのでした。

一応ホラーということだと思いますが、怖さの方は、仲間たちの冒険のスリルの前に少し和らぎます。作品の全体的な雰囲気からして、少なくともメインキャラは死んだりしまい、と思えるし。とはいえ、7人もメンバーがいると、もしかして1人2人は・・・という不安はぬぐいきれず、だからやっぱりドキドキもする。
その、怖さとワクワクとドキドキが、まさにエンターテインメントって感じです。マンガ的・・・というより、アニメ的な雰囲気のストーリー展開ですが、楽しかったです。


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  1. 2015/03/16(月) 22:00:02|
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