本と旅とそれから ロズウェルなんか知らない/篠田節子

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ロズウェルなんか知らない/篠田節子

かなり久しぶりに、篠田節子さんの小説を読みました。
このかたの作品を何冊かまとめて読んだのは――ブログを始める前のこと?てことは10年以上前、ってぐらい・・・えー、そんなに昔のことになるのか。ちょっと信じがたい気分です。
「聖域」、「神鳥」、「弥勒」、「ハルモニア」、「女たちのジハード」は読んだことをしっかり覚えていますが、ほかにももう少し読んでいるような・・・「贋作師」、「カノン」あたりはどうだったかなぁ。
いずれにしても、読み応えある芯までずっしり詰まった感のある作風かと。
「ロズウェルなんか知らない」

ロズウェルなんか知らない/篠田節子(講談社文庫)

本書については、分厚いのと、口語的なタイトルとで図書館の文庫本の棚でずーっと気になっていました。今回手に取ったのは・・・たまたま、で~す。篠田さんの作品なので、退屈する心配はなし――うん、楽しめました。

テーマは、村(町)おこし。
で、タイトルから推察できるように、村おこしのネタはUFOです。


村おこしがテーマの小説といえば、最近読んだものでは有川浩さんの「県庁おもてなし課」(感想文は►コチラ)があります。
「県庁」の自分の感想文を読み直してみてふと思ったのは、村おこしと観光振興って同じ・・・なのかな?まあ、観光じゃなくても、たとえば国際会議や企業を誘致するとかして人を呼ぶ、ってことも村おこしと言えるのかも知れないけど。要するに、村の過疎化を止めて、人を集めれば村おこしですね。

舞台となる駒木野は、新幹線の駅からも高速道路の出口からも離れ、ロクな観光資源もないショボい町。かつてはスキー場が人を集めていたのですが、これが潰れて以降、遊園地を作ってみたりもしたけれど上手くいかず、ゴルフ場を作る案は反対運動が起きてポシャり、今となっては土木作業員の飯場代わりに使われる民宿村が残るばかり。このままでは生活が成り立たない、と村の青年会(といっても会員はアラフォー)は焦りをつのらせる日々。

そこから、あれやこれやの後、駒木野は「四次元の町」なんちゃって、UFOや怪しい光や不気味な人影が目撃されたり、リアルおばけ屋敷みたいなたてもののある、オカルト事件の舞台として次第に話題になっていきます。
しかし、あれこれの怪異の裏には青年会の仕掛けた数々のインチキや、不思議な体験をしたいという受け手側の願望が作り出すマボロシがあるのでした。

同じ町おこし(あるいは観光振興)がテーマでも、「県庁」と決定的に違うのはこの点。
「県庁」は、決してインチキを扱わない。「県庁」の舞台となる高知県は、そもそも溢れるほどの観光資源に恵まれており、それをいかにPRしていくかに知恵をしぼる過程が物語です。
しかし、「ロズウェル」の駒木野町には、売込むべきものがない。両隣の町には温泉が出たり景勝地があったりするのに、駒木野には何も・・・と困ったあげく、主人公と青年会の仲間たちは、不思議や怪異をでっちあげてしまうのでした。

この、駒木野がいかにして四次元の町として人々の注目を浴びるようになっていくか、がひとつひとつ細かく描写されるのですが、この辺はやっぱり篠田さんの筆力がお見事。次々と大小のエピソードが語られるのですが、バラバラ感はなく、かといってワザとらしいほどでもなく、自然な感じにつながり、いつの間にやら町は怪奇スポットに変貌しているのでした。

それにしても、篠田さんってこんな文体の作品もあるのね。最初のうちは、ユーモアの漂う、あちこちでくすっと笑える文体だと思って読んでいましたが、雑誌やテレビの取材が町に押しかけるようになり、青年(また言うけれど、アラフォー)たちがどんどん自分たちの創り出したウソに自らはまっていくあたりは――ブラックユーモアいっぱい。読んでくすっと笑うというよりは、何だか落ち着かなくなってくるのでした。なんといっても私は小心者の読み手ですので・・・^^;。

ちなみに、ちょうどそこらあたりを読んでいてたまたまテレビをつけたら、「歴史的ミステリー!宇宙人の頭蓋骨か?!」なんていうのをやっていて、1分ぐらい見ましたが、いや、まさに本書に登場するイカサマTV番組そのものなんで笑ってしまいました。

「県庁」は――というか、有川さんの物語は、読んでいて楽しいし好きでもありますが、やはりどこか童話めいた非現実的ハッピーエンディング・ストーリーです。現実はどちらかというと「ロズウェル」なのかな、やっぱり・・・などと思いながら、いくぶん居心地悪い気分で読んでいきました。
そして、予想通り青年(?)たちのインチキはバレて破綻します。どん底まで直滑降。
ハッピーエンドがほぼ約束された有川さんの小説と違い、結末が読めない篠田作品の場合、ヘタすると、ど~んと落ち込んだまま終わる可能性もあるため、600ページ読んで読後感がどんよりというのはカンベンして!と念じておりましたら――。

幸い、読後感どんより、は免れました。駒木野の未来に幸あれかし。
ホロ苦い人間関係いっぱいの地方の町が、読んでいて正直なところさほど好きになったとは言えませんが、郷土愛というよりはただただ生活に懸命な青年たちの姿に、ついエールを送りたくなるのでした。


webcitron01.gif


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  1. 2015/04/22(水) 22:00:00|
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