本と旅とそれから 真夜中のパン屋さん/大沼紀子

本と旅とそれから

真夜中のパン屋さん/大沼紀子

ひゃ~、ハマりました!楽しかった(≧∇≦)ノ彡
もしかすると、もう1冊ぐらいは続編が出るかも知れません。是非もっと読みたい♪
これ、タイトルがちょっと軽い感じだったり、表紙がコミック画だったりするため、もしかするとライトノベルかと思いましたが、気紛れ的に手に取ってみて、かなりしっかりした筋立ての小説なのがわかりました。
一方でパン屋さんが舞台ということで、ちょっとメルヘンな甘い雰囲気も持っていて、色々な意味でとても楽しませて頂きました。
「真夜中のパン屋さん」

真夜中のパン屋さん/大沼紀子
(ポプラ文庫)
  午前0時のレシピ、午前1時の恋泥棒
  午前2時の転校生、午前3時の眠り姫


タイトルの通り、午後11時に開店し、翌朝午前5時まで営業する風変わりなパン屋・ブランジェリー・クレバヤシを舞台に、オーナーのクレさん、ブランジェの弘樹、仔細あってここに居候となった高校生・希実(のぞみ)を中心とする人々が繰り広げるドラマの数々を描いた物語です。

サブメインのキャラとして、変態(!)の斑目(まだらめ)氏、小学生の「こだま」、ニューハーフのソフィアさん、さらにサブサブメインぐらいの感じで、変態予備軍(!)の高校生・孝太郎、半分闇稼業の多賀田、その他、こだまの母・織絵や孝太郎の父・美作、一卵性双子の片方・綾乃などなど、いろいろ登場します。


ちなみに、幸太郎の父・美作はこだまの父でもあり(しかし、孝太郎の母は織絵ではない)、綾乃の双子のもう一方・佳乃は弘樹の元カノだったりと、人間関係は少々フクザツです。

1巻目は、読者への状況解説、物語世界の構築という必然から、ブランジェリー・クレバヤシの描写が多く、それが大変楽しめます。パン屋さんってそれ自体が幸せ要素の多い存在ですものねえ。パン作りの行程や、いろんな種類のパンの描写もあって、もれなくパンが食べたくなります!
これを読んでいる途中で京都にお花見旅行に行ったのですが、おかげで、京都ではやたらとパンを食べました。特に、物語の中で希実の思い出のパンとして頻繁に登場するフルーツサンドをあちこちで購入。ああ美味しかった。

あとは、コーヒーとクロワッサンという鉄板の組み合わせも頻繁に登場し、これにも心惹かれ・・・。あ、あと、アイスパンってどんなんだろう?ふつうにパン屋さんで売ってるものですか?ものすごく美味しそうなんだけど・・・。

パンの話は楽しい一方ですが、登場人物たちの人生の方はホロ苦い物語がいっぱいです。
そもそも、ブランジェリー・クレバヤシの成り立ちからして、オーナー・クレさんの妻・美和子が準備していたパン屋を、その美和子が事故で急死してしまったため、夫・クレさんと、美和子を恋い慕っていた(自他共に認める)天才ブランジェ・弘樹が遺志をつぐ形で開店した、というものなのですね。同じひとりの女性を愛していた二人の男性が力を合わせて開いたパン屋。それ自体、物語性抜群といえます。

そしてそこに居候することになる高校生・希実。言うまでもなく、彼女にも他人に倍する、いや、十倍する物語があります。さらに、そんなパン屋に集まって来る人々も然り・・・。

私の好きなキャラはね~、弘樹とソフィアさん。あ、あと、斑目氏♪
弘樹は、すごいイケメンの天才ブランジェ。難しい十代を過ごした後、闇の世界に足を踏み入れる直前に美和子と出会いパン職人の道を歩むこととなります。何かというと「ちげーよ、バーカ」などと口の悪いにーちゃんですが、実は愛情深く、パンと人間を愛するステキなキャラ。

ソフィアさんは、ものすごく美しく、優しく、そして背が高く逞しいニューハーフ。ブランジェリー・クレバヤシの常連さんです。なんか、物語に出てくるニューハーフのキャラたちって、「お友だちになりたい!」と思うような人が多い気がする。新宿鮫シリーズとか、乃南アサさんの音道貴子シリーズとか・・・たまたまかしら。ソフィアさんも、とても愛情深くて、困っている人を見るとついつい声をかけてしまうという人物。

そして斑目氏。属性は――変態(≧∇≦)ノ彡って~!
それにしても、なんとまあ節度ある能力の高い愛すべき変態なんだ、斑目氏。文中でも頻繁に、肯定的な形容詞と「変態」というブキミな名詞が組み合わさって出てきて、くすっと口元が笑います。
多少、物語の進行のために都合よく使われているように見えることもあるほど、情報収集能力に優れた人物です。何しろ、何が変態かといえば、彼は望遠鏡(後に双眼鏡に持ち替える)を使った「のぞき」、そして抜群の根性を発揮したストーキングを得意(っていうのか?)としているんです。本業は脚本家。ネットを駆使した情報収集もお手のもので、クレバヤシの面々が情報を必要とするときには、メールひとつであっという間にいろいろ調べてくれるのです。もちろん彼も常連客。まあつまり、天才ブランジェ・弘樹のパンに餌付けされてしまった人間のひとりということでしょうか。

物語は、巻を重ねるにつれ、中心人物たちからその親戚、知人へと範囲を広げてゆき、段々と複雑になり、深刻さも増してゆきます。それにつれてパンの話の割合が低くなっていくのが残念とも言えるのですが、それでも、折に触れて美味しいパンが登場し、登場人物たちと、読み手の心をふっと和ませます。




ところで、この「真夜中のパン屋さん」は、NHKでドラマ化されています。
このシリーズを読み始めてふと気づくと、遅い時間帯にドラマの再放送をやっておりました。気づくのがちょっと遅れ、途中から見たのですが――。

BSで放映されたときは見なかったのですが、滝沢秀明さんが主演ということは何となく知っていました。なので、本を読んでTV版は、弘樹が主人公なのかな?」と思っていたんですよね。弘樹はイケメンだからして・・・。
ところが、滝沢さんはクレさんの役なのでした。弘樹は、桐山照史さんという関西ジャニーズの人が演じてました。この人もそれなりのハンサムさんですが、滝沢さんと比べると、ふつうな感じ。

TVドラマはドラマとして楽しめました。夜中にポッとオレンジ色の灯りをともすブランジェリー・クレバヤシの映像はなかなかステキでしたし、滝沢さんのしっとりした語り口もいい感じでした。
私のお気に入りキャラ、斑目氏は六角精児さん、ソフィアさんはムロツヨシさんが好演。私は六角さんもムロさんも結構好きな俳優さんなんです。ただ、口をきかなければ男とバレるl心配のない、ものすごく美人なソフィアさんの設定にムロさんはちとハマってなかったかなー。ムロさんのソフィアさんは、絶対女性に見えまへん!でも、仲良くなりたいキャラではありましたけど。

主人公の希実は、現在朝ドラヒロインの土屋太鳳さんだったのですが――見ていないけれど、朝ドラでも高校生の役なんでしょ?髪型とかもあるのかもしれませんが、「まよパン(と、略されるらしい)」の土屋さんはちと大人すぎる雰囲気で、あんまり高校生っぽく見えませんでした。(でも、あのかた、現在20歳なのだそうですね。ということは、「まよパン」TV化の頃は、リアルで高校生ぐらいの年だったのか・・・。)

そして、原作と比べると、TV版はストーリーが非常に単純。主に原作の2巻目までをベースにしているようですが、話の展開が――うーん、比較すると少々ちゃちに見えてしまいます。脚本ですかねー。原作を読まなければ特に違和感はないかも知れませんけど。原作では、たとえば希実の精神的な変化がかなりきめ細かく描かれているんですよね。高校生にしては、妙に達観したような諦めたような、表情をストレートに表わすことのほとんどなかった少女が、ブランジェリー・クレバヤシで日々を過ごすうちに、屈託のない笑顔を見せるようになっていく。そんな様子は、無理もないことながら、TVドラマではまったく見て取れません。

ドラマ最終回で、滝沢さん演じるクレさんが、希実の母(ともさかりえさんというのが、原作より美しすぎ)に、「希実ちゃんは、うちで大切にお預かりしています」と語るシーンがじーんときました。一方で、クレさんと弘樹が仲違いするシーンはちと薄っぺらい感じが・・・。どちらのシーンも、原作にはないのですが。
いずれにしても、TVはTVとして割り切って見るべきなんでしょう。

とにかく、楽しませて頂きました^^。

webcitron01.gif


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  1. 2015/04/22(水) 22:00:01|
  2. 2015
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コメント

これ、(当たり前といえば当たり前だけど)原作があったのね。というか、LM君の記事を読んで、原作はもっと深いストーリーなんだなっていうことを理解したよ。機会があれば読んでみよう。
ドラマ化って切り捨てないといけない部分が多くて難しいんだろうけど、原作を先に知ってると映像化作品をどうしても敬遠してしまう理由が、まさにそれなんだよねえ。
私、実は桐山照史くん好きなんだよね。ドラマを観た時はジャニーズウエストだとは知らなかったんだけど。(ぐっさんも好き♫ちょっと太めが好みだ♪)弘樹に深いエピソードがあることは、ドラマに反映されてなかったよね。
斑目氏は六角さんでイメージぴったりだとして、ソフィアさんはムロさん以外なら、いっそ女優さんが演じてしまうとかどう?
  1. 2015/04/28(火) 21:29:56 |
  2. URL |
  3. しの #2nAugjbc
  4. [ 編集 ]

しのちゃん、

桐山照史さん、しのちゃん、知っていたのか。・・・どころか、好きだったのかー。
私はこのドラマで初めて知ったし、その後もまだ他所で見てないから、あんまり認識できてない・・・。私って、人間の顔認識力が低いような気がする・・・。

ソフィアさんの、「黙って立っていたら美しい女性にしか見えない、しかし実は男性で、結構たくましい」って、かなりハードル高い設定な気がする。
確かに、美形の女性アスリートとか、いいかもね^^;。声をちょっとガラガラにしてもらって。
  1. 2015/05/05(火) 18:40:11 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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