本と旅とそれから 有頂天家族 二代目の帰朝/森見登美彦

本と旅とそれから

有頂天家族 二代目の帰朝/森見登美彦

愛すべき毛玉(=タヌキ)たち再び!
とことん楽しい1冊。森見さんの近著としては、「聖なる怠け者の冒険」(感想文は►コチラ)に続いてまたも京都どっぷりのファンタジーですが、主人公が人間でなくなるだけでこんなにステキになるとは。

いつの間にそういう話になっていたのかわかりませんが、この「有頂天家族」は三部作なのだとか。にしても、第一部に当たる前作を読んだのって(感想文は►コチラ)、2008年の4月ですよ。7年も前!詳細はほとんど忘れているし、この本はハードカバーで一時持っていたのですが、今はどうも本棚に見つけられず・・・どこかに売ったかしら。
「有頂天家族 二代目の帰朝」

有頂天家族 二代目の帰朝/森見登美彦(幻冬舎)

分厚い本でしたが、読み終えるのが惜しいと思える楽しさでした。
そういえば、以前京都に出かけたとき、バスだったか嵐電だったかの車体に有頂天家族のタヌキの絵が描かれていて、アニメ化でもされたのかなと思ったのですが――。続編がどこかの雑誌に連載されているということは聞いていたものの、その後長くお目にかからなかったので、段々と印象が薄れてきていたところでした。


とにかく、タヌキが可愛いっ(≧∇≦)ノ彡。
子狸でなくても、大人の狸でも可愛い。
下鴨家(狸ですよ)の四兄弟の三男、下鴨矢三郎が主人公。狸社会って、何だか古風なんです。

物語世界は、天狗と人間、そして狸の三種族から構成されており、どういうわけか狸は天狗を自分たちより上位にあるものとして彼らに対し畏敬の念を抱いています。矢三郎たちは赤玉先生という老天狗を師とあおいでおり、すでに落ちぶれて天狗としての超能力もほとんど失ってしまった赤玉先生の世話を甲斐甲斐しくやいているのです。

出町柳商店街の裏のオンボロアパートに暮らす赤玉先生のもとを訪れるたびに、「下鴨矢三郎、参上いたしました」ときっちり名乗るのが可愛いわー。先生に対してだけでなく、初対面の目上の者にきっちりご挨拶するところなんて、江戸時代の武家の子供みたい。
家族愛も微笑ましい。ケンカはするけど兄弟の結びつきも強い。口うるさいけど、狸鍋に落ちて食べられてしまった父に代わって家族を守らんと奮闘する長兄。自らの生き方を懸命に模索するあまりカエルに姿を変えてしまいながらも、家族の心の安らぎとなっていた次兄。理系少年でちょっと気が小さく、家族皆に可愛がられる末っ子。そんな中にあって、三男にして主人公のキャラクターは「阿呆」。家族の皆に、呆れられつつ愛される破天荒な息子なのでした。

そして今回新たに登場したステキなキャラクターが、副題ともなっている「二代目」。
赤玉先生の息子であり跡継ぎとも目される、英国帰りの紳士である天狗。ちなみに、天狗といっても別に顔が真っ赤でも鼻が長くもありません。超能力を持っており、自分以外のすべての者を見下しているというだけです。

でもこの二代目、デジャヴ感満載の素敵な人物(天狗ですが)。
え~?一体どこで見たようなキャラだろう・・・。見た目がよくて、涼やかな英国紳士で、天狗的実力はバツグンで、いつも超然と周囲を見下しているようでいて、最後にちょっと情けにほだされちゃう。でもって、微かに幼児性を残している・・・。

前作も、ラストに向けて怒涛のなだれ込みがあったようですが、今回も最後に、この二代目と、天狗のマドンナ(?)「弁天」が大乱闘を繰り広げる次第となります。そのすべてが終わったのち、二代目が「まるで恥じらう乙女のような小声で」矢三郎に「我々は友人になれるだろうか?」と言うシーンは、読んでいて何だかふと涙が出そうになりました。

それに、この物語に描かれている京都が好き!
そういえば、前作を読んでから、物語の舞台を見たいと思って訪れた京都のあちこちがありました。六道珍皇寺とか。狸谷不動尊とか。糺の森ですら、前作を読んだときの私はまだ訪れたことがなく、その直後に初めて行ったときは、狸の姿が見えないかと実は目で探していたのでした。

矢三郎の義理堅いところも大好きだな~。
自分を守って必死に戦ってくれる淀川教授(この人が「ぽんぽこ仮面」だというのですが、それって「聖なる怠け者の冒険」とちゃんとつながってます?)の姿に感動した矢三郎が、もし結局自分が死ぬことになったとしても、霊魂になったとしても教授の枕元に立ってお礼を言おうと心に決める、なんて場面はじーんときちゃいます・・・。

矢三郎と二代目が、天狗と狸の垣根を越えて親友になることを大いに期待します。
そして第三部が、あまり待たずに世に出ることも。「天地鳴動、執筆未定」だそうですが、「天狗大戦」だとか。
あー、面白かった。

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tag: 森見登美彦 京都の本 
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