本と旅とそれから 雷神の筒/山本兼一

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雷神の筒/山本兼一

「利休にたずねよ」(感想文は►コチラ)の山本兼一さんの小説。この作家さん、私が当初思っていたよりは著作数は多かった。和田竜さんと混同しちゃってるところがあるかしら・・・^^;。
「火天の城」(感想文は►コチラ)の次に書かれた、山本兼一さんとしては比較的初期の作品ということになるようです。それにしても、60歳を待たずに昨年亡くなってしまって・・・ホント、本読み的には惜しい方を亡くしたものです。
「雷神の筒」

雷神の筒/山本兼一(集英社文庫)

茶道の「利休に」、築城の「火天の」ときて、本書のテーマは鉄砲。織田信長に仕えた鉄砲撃ち・橋本一巴(いっぱ)を主人公に据えた物語です。

・・・正直なところ、茶道や城造りと違い、鉄砲造り・鉄砲撃ちというのは、読んでいて重苦しさを感じる主題です。何といっても武器ですから。人を殺す道具ですから。


その改良を目指すというのは、いかに上手く人を殺すか、ということを目指すのに等しい。最初のうちは、民のため、平和をもたらすために鉄砲を使うのだ、戦をするのだ、と信じている主人公・一巴ですが、読んでいる方はどうにも白けた気分になってしまいます。偽善だ、という気がどうしてもします。
それがやがて主人公も、あれもこれも結局は自分のためにやってるんだ、と開き直りとも諦めともとれる心持に変化していくのでした。

人の命の重さって――昔は軽かった、と思ってすぐに、いや、じゃあ今は重いのかと自分の内で反問してしまいます。ひとりの人を殺した犯人を国中探し回る国がある一方で、何千人もの人間を、崇める神が違うからといって殺す国(?)がある。戦争をする人間の映像を見るたび、噴霧される殺虫剤で大量に殺される虫のイメージが思い浮かんで・・・。

人間は戦争しないではいられない生き物なんでしょうかね・・・。個人のレベルでケンカせずにはいられない生き物は、集団のレベルで戦争せずにはいられないのかなあ。人間は過去に戦争をし、今もし、今後もやめそうには見えない。それとともに、武器はどんどん進化していく。人間という生き物の進化のスピードより、武器の進化のスピードの方がはるかに速い。

現在もどこかで、どうやったら人をより効率的に殺せるか、を日夜真剣に考えている人が、かなりの数いるのだ、と思うと、恐ろしいというよりも不思議な気がします。そういう人たちって、どうやって正気をたもっていられるんだろう。これは仕事だ、お金を稼ぐための方策なんだ、と割り切って・・・?

それにしても、やっぱり好かん、織田信長。戦国ブラック企業トップ。
偉大なカリスマだったことは間違いなさそうですが、お知り合いにはなりたくないわ。同じ時代に生きてなくてよかった。平然と大量殺戮を何度も命じた人間ですものねえ。信長をヒーローに描くドラマとかだと、そうした信長の非道な行いにもいろいろ正当化するような理由づけがされていますが、どうしても苦しい。やっぱ、冷酷だったんでしょ、信長。

本書は、作者の筆力に引力を感じはするものの、なかなか受け入れにくいテーマなだけに、読み終えるのに結構努力が必要でした。ちらりと、途中でやめようかしらと思ったり(やめませんでしたが)。
おかしなものです。現代モノの、ギャングの闘争なんかは割とへらへら読めるのに。やはり、実在した人物の行為として読むから心理的な抵抗が大きいのかなあ。橋本一巴は、実在した人物として記録が残っているとはいえ、物語はほぼすべて作者のフィクションなのだそうですが。

人を殺す、という行為を物語の中の空想の話として読むことができれば、もっとさらりと読めるのでしょうが・・・。

webcitron01.gif


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  1. 2015/05/16(土) 22:00:01|
  2. 2015
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今日のニュースで、マンハッタン計画に参加していた女性科学者のインタビューをやってたよ。で、この記事を思い出した。
当時、原爆開発にたずさわっていた多くの科学者が、どうしてもやむを得ない事情がない限り使わないで欲しいと嘆願書を提出したことや、時勢が時勢だけに、おそらく日本に対して使われるのだと思うと苦しかったということを語っておられたよ。
70年以上も葛藤してきて、今も葛藤しているということだった。
正解なんてない難しい問題だけど、人類はこれからも争い続けるんだろうね。。。
  1. 2015/06/04(木) 23:29:21 |
  2. URL |
  3. しの #2nAugjbc
  4. [ 編集 ]

しのちゃん、

む、そのニュース、断片だけちょっと耳にしたけど、よく見なかった。
しかしさー、原爆の開発には、ものすごく優れた頭脳や粘り強さを必要としたと思うんだけど、それだけの資質を、ほかのことに向けることができなかったって、何とも不幸だよね。
実際に開発に成功した人たちが仮にそれを成し遂げなかったとしても、いずれは誰か別の科学者が成し遂げたのだろうから、客観的には、その人たちが罪悪感に悩まなくてもよいのだろうけど。
でも、そうはいかないのが人間ですねえ。
それにしても、原爆って人間の限界を示すものって感じがして恐るべき負の引力を感じるわ。
  1. 2015/06/05(金) 21:55:13 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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