本と旅とそれから 黄金の丘で君と転げまわりたいのだ/三浦しをん 岡元麻理恵

本と旅とそれから

黄金の丘で君と転げまわりたいのだ/三浦しをん 岡元麻理恵

黄金の丘=コート・ドール(Côte d'Or)とは、フランスはブルゴーニュ地方のワインの名産地だそうです。・・・偶然に、この本を読んでいたとき、カルディで買ったチョコバーを食べていたのですが(たまに、私も食べます)、それがベルギーのコート・ドールっていうメーカーのものだったのです。
何か関係があるのかしらとググってみたけれど、チョコの方は、カカオの産地、アフリカの黄金海岸から来ているんですね。全然関係なし。
・・・ま、それはさておき。
黄金の丘で君と転げまわりたいのだ

黄金の丘で君と転げまわりたいのだ 進め マイワイン道!/
三浦しをん 岡元麻理恵(ポプラ文庫)


黄金の丘チームと名付けられた、作家・三浦しをんさんと出版関係者の4人組が、ワインの専門家・岡元麻理恵さんを師に迎え、ワインのわかる舌を手に入れるべく、各回テーマを設定して様々なワインを教材に学んでいく。その様子を三浦さんがレポし、岡元さんが専門知識を添える――それが本書でございます。

というとおとなしく聞こえるけれど、当然そんなわけはなく、三浦さんはそれぞれの回で教材となるワインに、香りや味や由来等々からあだ名をつけ、香りや味にも「さっ、さすが三浦しをん!」と驚愕せずにはいられない形容と描写をくり広げます。
ワインを飲んで「若干下水っぽいというか・・・、汲み取りが十分でない公衆便所のにをいがします!」って、専門家を前に明言できる三浦さんってスゴい。まあ、この発言が出る頃には、三浦さんと岡元さんの間にある種の信頼関係が出来ているということもありますが。

黄金の丘チームの面々はいずれも酒豪。毎回毎回、実によく飲む。まあ、三浦さんが酒豪っていうのは、これまで何冊も読んできたエッセイで十分わかっていましたが、類は友を呼ぶ。彼女の周りに集う人々も、ホント、お酒好きったら。本来、ワインのテイスティングというものは、酔ってしまわぬために、口に含んだワインを飲まずに吐き出すものだということですが、黄金の丘チームにとって、いったん口に入れたお酒を飲まずに吐き出すなんて、あり得ないことのようです――っていうか、利き酒とかもそのようにすると聞いたことはありますが、お酒であれ何であれ、食品を口に入れておきながらそれを出すっていうのは、そもそもものすごく不自然な行為だと思いますけど。

そんなわけで、どうやらワインを学ぶ会は、始まってそう時間も経たないうちに、メンバーがいずれもへべれけになっているようなのですが。ちなみに、先生の岡元さんも飲んでるらしいのですが、この方は、三浦さんによれば、いくら飲んでも酔ったふうにならない方なのだとか。ワインの専門家としては、なんかカッコいい。
しかも、三浦さんの傍若無人なレポにすぐ続く岡元さんのワイン知識についての文章、大変読みやすい。文筆業は本職じゃないのに、と思いましたが、プロフィールを見ると、ワイン関連の著作がたくさんおありなのですね。なるほど。

私は、近年めっきりお酒に弱くなってしまい、二日酔いの具合悪さを恐れるあまり飲酒量はかなりセーブするようになりました。ワインなんていうと、ときどき家でペッシェビーノ(白)を飲むだけよ~。
そんな私にも楽しめるワイン本。特に岡元さん執筆部分は、ちゃんと学びたい人のニーズにも応えるだけの情報量だと思いますが、私は学ぶ気はまったくありません。なので、特に巻末の真面目なワインについての説明部分はかなりナナメ読みになりましたし、ちゃんと読んだ部分についても、翌日にはほぼ忘却していました(←見栄をはって「翌日」と言いましたが、白状すれば本当は10分後ぐらい!^^;)。

それでも面白く楽しく読めたのは、ひとつにはもちろん、三浦さんのエッセイ部分が相も変わらず笑えて楽しかったのと、あとはやっぱり、ワインを飲んで美味しかったな、楽しかったな、という記憶があれこれあるからかしらね。そして、これからも時々はワインを楽しむことがあるだろうな、と思うからかと。

かつて「赤ワインはまずいから嫌」とか言ったら、人生の先輩のオジサマ(←裕福)に、「その程度の赤しか飲んでおらぬからじゃよ」と憐れまれたことがありました。まあね。ワイン通は赤を好む、などとも聞きますが。
渋い、とか苦いとか言って赤ワインを苦手とする私ですが、アバウトにすべての赤をひとくくりにして苦手だと言うのは、もったいない――というか、面白くないかもな、と、本書を読んで思いました。

それにしても、やはり三浦さんはプロの物書きさんだな~、香りや味についての表現がとても豊か。もちろん、岡元さんの専門的アドバイスとして、教科書的なワインの香りや味の描写方法や、比喩表現が提示されるんだけれど、三浦さんはそれを踏まえつつも、自由に表現者の力量を発揮されます。それが大抵、笑い(ときに爆笑)を引き起こすようなものなのです。脱線もするしねえ。ソーヴィニヨン・ブランの香りの特徴が「スナフキンの香り」になるって笑える。あそこが面白い、あの表現が笑えた、を挙げていったら、三浦さんのエッセイではいつものことですが、きりがありません。

ワインが好きな人、興味がある人、ちょっと知識を仕入れたい人、これから学ぼうと思う人には楽しく読め、特にそのいずれでもない人には――やっぱり楽しく読める1冊だと思いました^^。


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  1. 2016/03/11(金) 22:00:00|
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