本と旅とそれから 風に舞いあがるビニールシート/森絵都

本と旅とそれから

風に舞いあがるビニールシート/森絵都

今回同時UPの3冊は、どれも読んでいてとても楽しめ、シリーズの続きや同じ作家さんの別の作品を読んでみたいという気もわいていて、今後につながるラッキーな本読み体験となりました。というわけで、本書。

先日、初めて読んだ森絵都さん。「カラフル」は中学生が主人公ということもあって、青少年向け小説の雰囲気もありましたが、直木賞作家だったと知り、とりあえずまずは、受賞作を読んでみました。
風に舞いあがるビニールシート

風に舞いあがるビニールシート/森絵都(文春文庫)

短編集でした。本書の帯の文言によると(巻末解説に紹介されています)、「大切な何かのために懸命に生きる人たちの6つの物語」。
そうそう。さすがピタリ。
どれもかなり面白かった。

言葉を変えれば、特にどれかひとつ印象に残る作品があったわけではない、ということにもなるかも知れませんが・・・。敢えて挙げれば、最後に収められた表題作でしょうか。
2009年にNHKでドラマ化されているんですね。主演は吹石一恵さん。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の東京事務所の職員である主人公・里佳と、アメリカ人の同僚(というか上司)・エドの恋物語。まあ、純粋あるいは単純な恋物語ではないのですが。
タイトルの「風に舞いあがるビニールシート」というのは、「それが取返しのつかない彼方へ飛んで行ってしまう前に誰かが手を差し伸べて引き留めなくてはならないんだ」という、エドの口癖から取ったフレーズ。それは、UNHCRで働くことを選んだ彼の信念を表す言葉。そうして彼は、難民たちのいる危険なフィールドに常に身を置こうとするのですね。

危険なフィールドとは対極にある、東京の、妻の待つ温かな家。
愛し合いながらも、自分の活動する世界を諦められなかった二人が辿った道を描いた物語です。
国連職員、のぁんていかにもカッコいい、その国際結婚のお話なんて、設定からしてすでに、現実的であると同時におとぎ話のようでもあります。

ときどき、テレビや新聞で、国連で活躍する日本人について見聞きしますが、UNHCRなんて、事務所勤務のうちはよいけれど、現場に出るとなるとアフガニスタンやらエチオピアやら、ひたすら危ないところですものねえ。最近は、国連職員も狙われるようですし。煌めく学歴・経歴を持ってなお、志願して紛争地帯に赴くって――うぅむ、心構えからして違う。

まあ、そんなピントのズレた感想を抱きつつ読んだのですが、設定は国連職員といういわばエリートの物語ですが、ほかの、スナックでバイトする主婦や、親方に怒鳴られながら修行する仏像修復師などの物語と同じに、懸命に生きる人の姿が魅力的、というところでしょうか。すごーくぼんやりした感想ですが^^;。


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