本と旅とそれから チア男子!!/朝井リョウ

本と旅とそれから

チア男子!!/朝井リョウ

ひゃ~(≧∇≦)ノ彡!!
また1冊。青春スポーツ爽やか小説。
爆笑したりうるうるきたりするので、電車の中で読むときは要注意な本です。
「バッテリー」(感想文►コチラ)、「風が強く吹いている」(►コチラ)、「一瞬の風になれ」(►コチラ)、などと同じカテゴリーに入る、汗と涙と友情の物語。
チア男子!!

チア男子!!/朝井リョウ(集英社文庫)

野球、駅伝、短距離走&リレーときて、本書はチア・リーディング。・・・正直なところ、私はチア・リーディングを「スポーツ」だとはほとんど認識していませんでした。スポーツの「応援」行為だと思ってました。でも、本書に描かれるチアは、まさにスポーツ。近いところで、体操でしょうか。

そして、チアというとふつうは女子の姿を思い浮かべると思うのですが、本書に描かれるのは、タイトルの通り、チアに打ち込む男子たちです。

本感想文の冒頭で名前を挙げた小説のすべてに当てはまることでもありますが、本書でも、主要登場人物たちがみなキャラ立ちが抜群(←この表現は、巻末解説からイタダキ)。
柔道一家に生まれ育ちながら、自分の才能に限界を見て柔道を離れ、チアに転向する大学1年生・晴希(ハル)が主人公。設定としては、サッカーを離れて陸上を始める「一瞬の」の新二とかなり似ています。才能ある兄のいた新二と同じく、晴希にも優れた柔道選手の姉がいたり。

そして、常に晴希の隣りにいる親友・一馬(カズ)。
この二人を軸に、次第に彼らの周囲に仲間が集まり、最初は7人のグループで大学祭でチアを披露。それを見たという大学生が集ってさらに人数が増え、最終的には16人のチーム・BREAKERSが結成されて、彼らが県予選、全国選手権を目指して奮闘する姿が描かれています。

キャラクターとして私が特に好きなのは、トンかな。
イメージ的には、くまのプーさんがチアやってるみたいな。おデブちゃんで、運動神経もあんまりなし。高校時代は周囲にずっとバカにされていて、ちゃんとした友人がいなかったのです。口ぐせは「ごめんね」。謝るのがクセになってます。
この彼がね~。いいんですよ。チアを始めて、初めて「仲間と一緒に目標に向けて頑張る」ことを経験し、もうほんっと、全力を傾けて頑張るんです。

あとは、カズ。彼は幼いうちに両親を事故で亡くし祖母と暮らしていましたが、その祖母が入院してしまい、一人暮らしをしています。入院当初はまだかなり元気だったそのおばあちゃんが、次第に元気がなくなっていき、やがてはカズの顔さえ忘れてしまう。この世にたった一人の家族であるそのおばあちゃんに見てもらいたいと始めたチアだったのに、もうそれもかなわない。
その悲しみに押しつぶされてチアを捨てようとしたカズを支えたのは、仲間たちだった。
・・・うぅ、ぐっすん。

そのほかにも、溝口も、イチローも、弦も、サクも、ほかの彼らも、綴られるそれぞれの物語を読んでいくと、ひとりひとりが愛しくて、応援せずにはいられません。

ところで、本書を半分ちょっと読んだ頃、まったく偶然にNHK-BSでチアリーディングの日本選手権大会(JAPAN CUP)を中継しているのを見ました。「なんという偶然!」と興奮しつつ見たのですが、おかげで小説の中のチアの描写が非常にビジュアルに納得できました。いやー、今年優勝した、大分県の日本文理大学のチーム、上手だったわー。
最初は社会人のトップ3のチームの演技が放送されたのですが、これはどれも上手で失敗もなくて、初めて見た私にはまったく優劣がわかりませんでした。でも、その後、大学のチームで決勝に残ったところをすべて見たところ、スタンツに失敗してトップがピラミッドから落っこちてしまったり、タンブリングの着地が上手くいかなくてよろけてしまったりするチームが結構あったんです。「なるほど、これが失敗か」と納得。

それにちょっと意外だったのは、チアって、女子だけのチームと男女混成チームとが、一緒に競うんですね。テニスも卓球も、ミックスダブルスはそれ単独の競技になってるのに、チアは一緒なので驚きました。ちなみに、JAPAN CUPには出ていなかったけど、現実にも男子だけのチアのチームってあるんですね。朝井さんは早稲田大学の男性チームで取材されたそうです。

そして、作中にも何度となく語られますが、チアというのは、観客、そして競い合うライバルチームとの間にさえ一体感を作り出す、ある意味特異な競技なのだ、ということがTVを見ていてもわかりました。演技をするそれぞれのチームを、すべての観客が熱心に応援しているんです。応援用のボードとか使って。上手なチームほど、自然とそうした一体感が大きく形成されるらしい。



今回、初めて朝井リョウさんの本を読みましたが、これは続けて読まねば!と思っているところです。
本書は、図書館の文庫棚でまったく偶然に見つけた1冊ですが、作者紹介を読むと、をを、あの「桐島、部活やめるってよ」の人なのか。って、それ読んでないし、あらすじも知りませんが。アニメ化されたのかな?かなり話題になっていたな、というぐらいの記憶しかありませんが。
それに、直木賞も取っておられるうえ、23歳での受賞とは!

冒頭に挙げた、これまで私が読んで感動した青春スポーツものは、どれも女性の作家さんが男性の友情&スポーツを描いたものだったので、ずっと「ここには、女性の視点から見た、憧れの、あるいは理想の青年とその友情の形が描かれているんじゃないだろうか」と思っていました。

でも、今回の「チア」の作家は男性。しかも、描かれている主人公たちとほぼ同年代の人です。物語の中の世界は、作者にとっては別に「憧れ」とか「理想」というわけではなく、かなり「リアル」なのかしら。朝井さんも早稲田大学のご出身なので、同じ大学のチアのチームに取材したってことですから、すごく身近でしょうし。
そういえば、佐藤多佳子さん(「一瞬の」)の描き出した陸上部の高校生も、理想のようで実在する人々だということでしたっけ・・・。

「桐島」も「何者(←朝井さんの直木賞受賞作)」も読まねばっ!


webcitron01.gif


My Favorite Books(お気に入りの本のブクログ)
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  1. 2016/09/16(金) 22:00:01|
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