本と旅とそれから エンジェル エンジェル エンジェル/梨木香歩

本と旅とそれから

エンジェル エンジェル エンジェル/梨木香歩

本が薄いのが、とても物足りなく思えます。よく、薄くても印象的な本、などと言いますけれど、基本的に長編好きな私は、そのような本に遭遇した経験は――ない、ような。
本書など、まさにあっという間に読み終えてしまった感じです。
エンジェル エンジェル エンジェル

エンジェル エンジェル エンジェル/梨木香歩(新潮文庫)

本が薄い、つまりページ数が少ないことに加え、すべてのページの上部余白が常の本と比べて広いのです。というわけで、物語自体が短いのでした。
あまり文字がびっちり詰まっているのも息苦しい感じですが、余白の多い白々した本もあまり好きではないかなぁ。


物語はふたつの部分からできています。
コーヒー中毒で熱帯魚を飼いたがる女子高校生を主人公とする現在の物語と、女学校の女教師やクラスメートに淡い恋心を抱く良家の娘を主人公とする昔の物語。
この昔の少女が現代の高校生の祖母なのですが、現在の物語の中で、彼女はいわゆる恍惚の人となっているのでした。

梨木さんの物語というのはどれもとても不思議な雰囲気を持っていて、夢と現実が混じりあっているような感じ。本書もそんなふうです。

何より印象に残るのが、さわこ、つまり現在の祖母、昔の夢見る少女。
恍惚の人である彼女は、孫の少女とまるで友人同士のように言葉を交わし、おそらく孫娘の目に、その姿はどこかがおかしくなってしまった老女と映っていると思われますが、その内には、とても豊かな物語が秘められているのです。

そんな彼女はまるで天使のよう。彼女と縁ある少女が密かに彼女に残した天使の像。そして、彼女の孫娘が飼ったエンゼルフィッシュ。
この三つの天使が物語のタイトルになっているのでしょうが、特に魚のエンゼルフィッシュの動向に表われているように、おそらくこの天使というのは、「常に悪魔と共に存在するもの」を表しているのではないでしょうか。

ほんわりと優しい気分をもたらしてくれる物語ですが、やっぱりちょっと短すぎて、何となくそのうち忘れてしまいそうな気もするのでした。

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  1. 2017/01/11(水) 22:00:00|
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