本と旅とそれから 世界地図の下書き/朝井リョウ

本と旅とそれから

世界地図の下書き/朝井リョウ

「チア男子!!」(感想文►コチラ)がとても面白かったので、その後少しずつ読んでいる朝井リョウさん。有名作「桐島、部活やめるってよ」(感想文►コチラ)は、楽しめたもののいまひとつと思えました。そして3作目が本作。
「世界地図の下書き」

世界地図の下書き/朝井リョウ (集英社文庫)

結論を先に言うと――えーっと、中の上、ぐらい?
ぐいぐいと読ませるし、心に迫ってくるものも感じるのですが、作品のテーマというか、設定があまり心地よく受け止められないものだった、というところでしょうか。

児童養護施設に暮らす少年少女たちの年月を描いた物語です。
主人公の少年・太輔が、突然の事故で両親を亡くし、小学3年生で施設にやって来るところから物語が始まり、6年生を終えるところで終わります。

その施設で彼と同じ班になり、日々を身近に暮らしていく同じ小学生の少年少女。彼らもそれぞれに難しい背景を背負っているのですが、それでも彼らは、仲間というか、兄弟姉妹にも通じるような繋がりを培い、お互いの存在を頼みに毎日を過ごしていくようになります。

そんな子供たちの日々。

親がいない、あるいはいてもちゃんと自分を守ってくれないという子供たちが主役なので、それがそもそも私には、読んでいてちょっと、何とも言えない苦味のようなものを感じるのです。
…親のいない子供の物語はこれまでもいくつか読んでいるはずなのですが、「施設」という設定が嫌なのかしら…。

施設で暮らす子供。どんな気持ちなのかと思いをめぐらせると、何だか苦しくなってくるのです。
寂しさとか不安とかその他もろもろ。
そして、小学校でのいじめ。

物語の舞台がどこなのか、地名は書かれていないのですが、神奈川県あたりかしらと想像します。東京は遠いというけれど、人々の言葉に訛はなし。東北、北海道でもなさそうなので。

主人公と同じ班に、関西弁を話す兄妹がいます。
おとなしく、妹の面倒をよくみる兄・淳也と、天真爛漫なおちびの妹・麻利。
この二人が、学校でいじめられるんですよね―…。

可愛らしい二人だけに、もう、いじめる子供たちが許せん。
弱い者いじめというのは人間の本能の一部なんじゃないかと思うのですが、だからこそ、人間として生きていこうというのなら、それを矯める努力をしなければならない。子供が未熟でそれができないというのならば、周囲の大人がちゃんと導かなければダメだろう!
あの小学校の先生、仕事ちゃんとしてない。

最後に、この兄妹は、いじめから逃げるために転校し、施設を去ることになるのですが、その行動を物語は全面的に支持しています。
よく、「逃げても道は開けない、立ち向かえ!」をメッセージとするドラマなどありますけど、ここでは、逃げることをむしろ勧めています。

逃げるか立ち向かうかの選択は、人それぞれでいいし、問題次第でもある。
ただ、まだ幼い子供たちが、自分たちでその選択をしなければならないという境遇は、本当にかわいそうだと思うのでした。


webcitron01.gif


My Favorite Books(お気に入りの本のブクログ)
BOOKS INDEX(作家別感想文一覧)

関連記事
tag: 朝井リョウ 
  1. 2017/01/11(水) 22:00:02|
  2. 2017
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

トラックバック

トラックバック URL
http://lazymiki.blog110.fc2.com/tb.php/1925-acf2500b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する